看護教育 52巻6号 (2011年6月)

特集 チーム医療を培うIPE

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 医療は,それぞれの専門職が参加する「チーム」で取り組むもの。その中心は,患者。21世紀にスタンダードとなった大前提です。看護界に専門職連携教育(Interprofessional Education;IPE)の概念が紹介されてから15年が経ちましたが,ただその具体的な連携法を学生が学ぶ機会はまだまだ少ないのが現状です。それでも,“鉄は熱いうちに叩け”――医療者の基盤づくりは,基礎教育から始めるほかありません。「IPEがチーム医療を培う」のではなく,臨床現場の要請が,学校機関に及んでいるのが現在の流れです。

 看護職が他職種と協働する基盤になる資質は,自らを知ることで,それを他者に伝えられるコミュニケーション能力がカギです。薄井坦子さんが50年前に模索された「看護って何だろう」を問う道のりが,現代の皆さんにも最初の道標になるのではないでしょうか。

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「私はやっぱり“教員”なんです」

─ご退職直前の時節にありがとうございます。

薄井 こちらこそ。昨日が1年生の締めくくりの授業で,来週は私の最終講義という時期なのですが,年度末になると1年生の成長が見えて,その変わりように,「やっぱり教育だなあ」と感慨を深めているところです。

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 薄井坦子先生の『科学的看護論』には,看護学生のころ課題図書として出合い,のちに教師になって,今度は学生に教えていく立場として読むことになりました。以前は難解だと感じたまま放り出していた本に,自分が臨床の頃に悩んでいたことの答えがそこに出ていて,“ナースをしていた時に開けばよかった,もっと勉強して臨床に出ればよかった!”と思いました。だからこそ教員になったときには,学生には「看護になる」ための考え方の道筋を身につけてもらいたいと思い,今も一緒に読んでいます。

 今回,先生が教育の第一線からは退かれると聞き,質問は,“日本の看護の状況は先輩方が退いていき大丈夫かしら……”と考えて寄せました。まだまだ教えていただきたいことがあるのにという思いからです。でも先生は,本文のように「若い世代の人たちが自分のもっている力を信じて進んでいけば,看護学の未来は明るい」という思いを前向きに話してくださっており,私たち教員は学生が『自分のもっている力』に気づけるように教えていけばいいのだなと思いました。また,これから若い世代に向けての新著も準備されているとのこと。楽しみにしています。

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コミュニケーション能力が医療者の土台

 医療現場では,全人的医療・チーム医療が実践できる医療人養成が求められている。これからの医療は,すべてのスタッフが患者さんの抱えている病気だけを診るのでなく,その背後にある家庭環境や経済状況なども含めて,人として向き合える医療人でなくてはならない。そのためには,患者さんや家族とコミュニケーションをとり,相手を理解することが大切である。また全人的医療を提供するには,患者さんを中心として,医師をはじめ看護師,検査技師などのメディカルスタッフもが連携して,チーム医療を展開しないといけない。ここでも医療者はより良い医療を行うために優れたコミュニケーション能力が必要とされる。豊かな人間性や優れたコミュニケーション能力は,全人的医療を実践する医療人にとって“大地にどっしりと根を張る土台”となる,最重要の資質なのである。

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 看護部の教育担当となり,新人教育に携わって1年が経つ。当初,「教育をしなければ!」と過剰に力が入り,新人にかかわっていた。そのためか,“(口うるさい)ただチェックをしに来ている人”と思われていた。今は,看護師としてどう成長させるかを考え,できる限り一人ひとりの能力を伸ばしたいと思い,かかわるようになった。そのきっかけとなったのが髙塚先生のセミナーである。“人間関係は,自分を知ることから始まる”と言われ,さまざまなプログラムを行った。初めて知り合う人と行った「気づきの体験学習」【本文と同内容】では,コミュニケーションの難しさを実感した。話し手も聴き手も自分のことで精一杯になり,お互いの考えや気持ちを理解し合おうとしていなかった。「聴き手は目標がないから,わからない。まず伝えることは,これから何をするかである」「大事なことは言葉できちんと伝える」と諭され,一方通行ではわかり合えないということがわかった。

 コミュニケーションとは,お互いの考え,気持ちを理解し合うことである。相手の立場に立つ,しかし,まったく同じ立場には立てない。立場が違うと見えるものが違う。それは当たり前,違う人なのだから。それなら,どうする?─相手に関心をもつようにする。「関心をもつ」とは,「みる・きく・伝える」ということだ。これは看護師教育においても重要なことだと思う。新人の成長を望むなら,相手をよく見て,相手の言うことをよく聴いて,そして相手にわかる言葉を使って伝えるということをする必要がある。

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 私は助産師として臨床で勤務した後,15年間看護学校で看護教育に携わった。担当は基礎看護技術及び母性看護学,臨地実習は成人・老年・母性看護学実習であった。2008年より,再び臨床に戻り院内助産に取り組み現在に至る。

 看護教育において,コミュニケーション能力育成は必須であり,看護の基盤となる。基礎教育のテキストには,「医療者は,どのような患者や家族に対しても適切に対応できなければならない。コミュニケーション技術の基本はひたすら『聴く』ことに終始すること。『言葉』を通じて聴くだけでなく看護師自身の目や手や耳や鼻などを使い全身全霊を傾けて聴くことであり,一人ひとりの患者の体験や感情を最大限尊重する姿勢に支えられた技術である」1)と記されている。

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医学教育でのIPEの認知

 チーム医療の必要性と,そのための教育の必要性については,もはや議論の余地はない。そして,そのチーム医療のための教育を「専門職連携教育」(Interprofessional Education;IPE)として取り組むことについて,現在,特に医学教育の分野での認知・チャレンジは高まっている。IPEとは,「複数の領域の専門職が連携およびケアの質を改善するために,同じ場所でともに学び,お互いから学びながら,お互いの事を学ぶこと」1)であり,2010年の日本医学教育学会大会ではIPEのシンポジウムや多数の関連セッション・演題が発表され,熱心に議論されていた。東日本大地震によって中止になってしまったが,今年4月の第28回日本医学会総会では,初めてIPEのシンポジウムが多職種を招いて開催される予定であった。

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多職種連携のジレンマ

 多職種連携は,現代医療のマストアイテムです。患者は多様を極めますから,さまざまな職種の知識と技術をもちより,患者のケアにあたらざるをえないためです。他方,多職種連携は,さまざまな職種による連携という方法そのものによってうまく機能しなくなる運命にあります。それは現代医療の希望であると同時に,大きな問題でもあるのです。

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「チーム医療推進協議会」発足の経緯

 2007年,拙著『がん闘病とコメディカル 医療最前線からの提言』(講談社現代新書)では,がん医療に携わるメディカルスタッフ15職種17人を取材し,「どんなときに,どのように患者をサポートしてくれるか」についてエピソードを重ねた。医療ソーシャルワーカー,管理栄養士,作業療法士など,長年病院で働いてきた職種から,遺伝カウンセラー,リンパドレナージセラピスト,音楽療法士など新しいものまで取り上げ紹介した。看護師は,がん専門看護師を取り上げ,その役割と仕事内容とともに,取材を受けてくださった方の職務上の葛藤や悩みを綴った。

 出版のきっかけは,患者会の取材時,患者が悩みを抱えたまま右往左往していたことだった。よく聞いてみると,その悩みとしては例えば,医療費,闘病中の病状変化に伴う食事,自宅でのリハビリ,家族の患者との向き合い方や看取りなどで,そのほとんどは病院でメディカルスタッフに聞くことができれば解決する。だが,患者に「病院にはこういう人がいますよ」と伝えても,「そのような職種があることを知らなかった」と口を揃えて言われた。

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はじめに

 本学で専門職連携教育(Interprofessional Edu-cation;IPE)を立ち上げた2005年,日本でこの概念を前面に出して先行実施していた施設は少数に留まり,また現在本学で行っているように医療系学生全体の必修としてIPE科目を展開している大学はなかった。当時,学内外の方々に「本当に医学部が1~4年生まで必修科目に?」「本当に看護学部が医学部と一緒に?」という質問を多く受けた。それだけ国立大学の「学部」は,概して研究志向であり,独立性,自律性が非常に強い背景がある。本稿では,国立大学法人において唯一の看護学部を有する本学でどのように看護,医学,薬学3学部によるプロジェクトが進展したのかを振り返り,現在取り組んでいること,将来に向けた課題について報告する。

連載 学生の目 教員のまなざし・6

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 助産診断学「褥婦のヘルス・アセスメント」の単元でOSCE(客観的臨床能力試験)を取り入れた演習中。褥婦役の女性はボランティアの協力者。学生は1週間前に課題シナリオを配付され,予習して臨んでいる。

 助産師役の学生が検温に訪室すると,褥婦が暗い表情で椅子に座っている。学生は予習してきた問診事項をひとまず置き,腰を落として「どうなさったのですか?」……すると,褥婦役がぽつりぽつりと話し出す。学生は対象者が何か問題を抱えているということを察知し,ヘルス・アセスメントの優先順位を瞬時に変更できたのだ。きっと,内心は予定が狂って慌てているかもしれないが,ゆっくりと構え,褥婦役から授乳がうまくいかず,会陰部の縫合痛もつらいというネガティブな気持ちを聞くことができた。臨床実習では,こうした感受性や柔軟性がさらに求められる。

連載 「形態機能学」で看護教員が教えられること・5【最終回】

トイレに行く 小林 美智子
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本連載では,東京都立看護専門学校7校で計画・立案した「形態機能学」のなかから5項目について,その具体的内容とその実行過程での教員の葛藤を紹介する。なお,計画・立案にあたっては,聖路加看護大学の授業内容や同大学編『形態機能学演習の手引き』を参考にさせていただいた。

単元のとらえ方および授業計画

 本単元は,形態機能学IV1単位(30時間)のうち8時間の配分で教授している(表1)。また,関連単元として形態機能学V1単位(30時間)のうち4時間の演習が行われる。本稿では「トイレに行く」のうち排尿についての授業内容について述べる。

 「トイレに行く」という日常生活行動には,日々繰り返し無意識に行っている動作も多い。しかし,その行動様式や排泄物は多様で,食生活や生活習慣等の影響を受けている。排泄物,とりわけ尿は,恒常性の維持に重要な役割をし,健康状態を判断するうえでの情報を提供してくれる。排尿機能に関わる身体の機能は,腎臓の機能と関連する血液の流れ,尿の再吸収過程,蓄尿や排尿に関わる尿路系や排尿に関与する神経系などの働きの理解が必須となる。そのため一度学習はしていても,外部講師に依頼している内容を活用し,理解の定着を図りながら進める必要がある。形態機能学「トイレに行く」の授業では,「トイレに行く」という日常生活行動との関連を学ぶために,自分の行為を形態機能の視点で意識化させ,自分の排泄物に対しても興味や観察の視点を意識化したりできるよう教授する。また,排泄に係わる日常生活の行動のなかで「あ! そういうことある」「そういうことだったのか」と実感できるような事例を提示しながら授業を進める(表2)。

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現代の学生への授業には工夫と努力が必要

 看護教員として学生に授業を始めて,4月で4年目に突入しました。新入生も入ってきて,心新たにしたいところ! ですが……今の若者はよく理解できません。何を考えているのやら……。

 実は,年度末直前くらいの時期に担任をしていた学生数名と,ゆっくり話す機会があり,「最近,みんなゆるい(=やる気がないという解釈をしてください)感じがするのだけれど,どうなのだろう?」と聞いてみたことがあります。すると,かえってきた答えはこうでした。「この学年は,怒られるとへこむんです。そして,それがだんだんと怒りに変わるんです,『こんなにがんばっているのに,なんで怒られなきゃいけないんだ』って。だから,成績が良くないからと言って,怒ってしまうと,だんだんとやる気をなくすことになってしまうんです。だから先生,怒っちゃだめですよ。誉めて伸ばすんです。そうするとできる子たちなんです(笑)」。「最近の若い人たちは親にも怒られたことがない人たちばかり」とはよく耳にしていましたが,ここまでだったなんて,正直びっくりしました。社会に出ると,患者さんや先輩看護師から怒られてばかりです。でも,そんないろいろな経験があるから新人看護師は育っていくのです(かくいう私もそうでした)。それが,怒られると『怒り』に変わるのだなんて,この先が心配です。この学生たちが世の中に出て,私たちは看護をしてもらうのかと思うと「……」となってしまいます。現代の学生に対して,授業をして,それを理解してもらうために,私たちはさまざまな工夫と努力を必要とされているのだなと痛感しました。

連載 誌上FD 自己決定できる「女性」を育てる 気づきと目覚めのジェンダー教育・18

「母性」ってあるの? 沼崎 一郎
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 今回は,母性について取り上げます。ここでは日常語の母性について考えたいと思います。日本国語大辞典によると,母性とは「女性が,子どもを守り育てようとする母親としてもつ本能的な性質や機能」だそうなので,だいたいこのような意味に受け取られているのではないでしょうか。そして,女性なら「生まれつき」子どもを可愛がるものだとか,女性なら「生まれつき」子育てが上手なはずだといった「思い込み」が,社会に広がっているのではないでしょうか。

 さらには,それが拡大解釈されて,子どもだけでなく,夫に対しても,慈しみ深く,思いやりがあり,細やかなケアをすることが母であり妻である「女性」に求められるようになってはいないでしょうか。そして,「女性」であるからには,そのように振る舞わなければいけないとプレッシャーを感じている「女性」が多いのではないでしょうか。

連載 教育と研究,臨床をつなぐメッセージ やっぱり私は,看護師だった!・6

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 「ギプス巻き介助1件お願いします!」。行ってみると,三角巾で右手を固定した老婦人が背広の男性に付き添われ,車椅子に座っている。右橈骨遠位端骨折で帰宅予定。ギプス巻きの準備をしながら尋ねてみると,彼女は会社経営者で,付き添う男性は重役の方。杖歩行で一人暮らし。利き手の右手で杖を使えなければ歩行もできない。骨折は4週間の固定で治癒の見通し。整形外科的に入院適応はない。経済的にゆとりがあり介護者確保はできるが,移動と排泄が問題。MSWと連携し,車椅子とポータブルトイレリースへつなげる。

 イレオストミーを抱える患者が食あたりで下痢。補液して帰宅予定。でも,ジャバジャバの水様便で,1時間ごとのストーマケアに追われ眠れない。WOC看護師と連携して,貯留パック装着型のストーマパウチを入手。

連載 Mail from USA 『JNE』を読み,世界の看護教育の流れを知る・26

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●【東日本大震災医療支援のための緊急帰国】学業を中断すること,そして現場で

 今回の東日本大震災で,大勢の医療者も命を落とされました。謹んでお悔やみ申し上げます。そして,たとえご無事であったとしても家族や友人を失いながら,震災直後から今まで職務に就く被災地のすべての医療従事者に心からの尊敬の念を表します。私は3月14日から28日までで計2回,NPO法人TMATを通して宮城県気仙沼市階上地区で,ささやかですが災害医療支援をして参りました。マサチューセッツ総合病院救急医である日本人医師2名と13日にボストンを立ち,14日に成田から直接宮城に入り,その後合流した米国人医師とチームを組みました。震災が起きたのは米国東海岸時間で夜中だったのですが,翌朝から教員や友人から「家族や友人は大丈夫か」と安否を気遣うメールが大量に届き始めました。大学には日本に戻ることに対して許可を取るのではなく,「医療支援のために1か月間日本に戻ります」と言い切る形で報告メールを送りました。履修中の4コースの担当教授の反応はまちまちで,基本的には全員が私の決断を支持してくれましたが,そのサポートには程度の違いがありました。看護学部の,特に倫理や急性期に関心の高い先生がたは「後のことは気にしないで行ってこい」と背中を押してくれる感じでしたし,神学部の教授には「4回欠席するので期末のペーパーの枚数を増やすように」と出発前に条件を提示されました。また中国出身の統計学の教授は,不在中のアパートのことや細かいことまで何かあれば相談するようにと心から親身に心配して下さり,出発前に学業のことで不安になった私を励まして下さいました。

 この記事を書いているのは4月上旬で,まだ私は日本にいます。最初は,2回目の活動の直後に帰国便を早めることも考えたのですが,想像していたよりも心身両面で疲労し,帰国を早めず日本で自分自身の休養を取ることを決めたのです。アメリカとの“温度差”のようなものを感じたのはそれからです。ボストンの友人とのチャットで「どうして帰国する日を早められないのか?」と聞かれたときは少なからずショックでした。彼女は災害医療のことは専門外ですから,医療支援後はある程度の休養期間をおいて,必要ならばカウンセリングを受けないといけないということも知りませんし,ただ単純に学業が遅れることを心配してくれていただけなのだと思いますが……。米国東海岸は地震が起きることがまずなく,「余震」という概念も知らない方が多いのです。リビア情勢が急変したことも相俟って,米国での震災報道はその直後の約1週間ほどで,日に日に取り上げられる規模が小さくなりました(原発危機のほうがセンセーショナルに取り上げられていることも影響しているでしょう)。ですから“311”の後にも間断なく体感地震が頻発していることも,米国では多くの人は知らないようです。

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 「大学における看護系人材養成の在り方に関する検討会」の最終報告は,弊誌52巻5号(2011年5月号)の384~389ページに掲載したが,今回はその報告の添付資料を掲載する。なお,最終報告書はhttp://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/koutou/40/toushin/1302921.htmにおいて見ることができる。(本誌編集室)

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“人は誰でも死ぬのだ”という事実

 皆さんがこれまでの人生で一番驚いた瞬間はいつですか? ボクの場合,それは幼稚園の頃,姉から“人は誰でも死ぬのだ”という事実を聞かされたときでした。ボクはそれまで,「人が病気や怪我で死ぬのだ」ということは知っていました。しかし,「すべての人に」いずれ死が訪れるのだということは,考えたことがなかったのです。

 “病気や怪我をしなくても,年をとれば人はみんな死ぬのよ”─姉は何気なく話してくれたのですが,幼児期のボクは,その言葉に天地がひっくりかえるような衝撃をおぼえたのです。「家族もそして自分自身も,いつかは死なねばならないのか……!」。子どもの頃に好きだった『ゲゲゲの鬼太郎』の影響でしょうか,その瞬間,頭の中に墓場で腐敗していく自分の姿が広がり,恐ろしくて気が狂いそうになったことを覚えています。

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はじめに

 看護基礎教育の課題として,学生の基本的生活能力や常識・学力の変化,コミュニケーション能力の低下傾向が挙げられる。特にコミュニケーション能力が低下している背景として,看護学生自身の自尊感情や自己肯定意識の低さが要因として考えられている。池田ら1, 2)の研究でピアの概念やスキルを学び,思春期の対象者理解をすることでピア・カウンセラー自身の自尊感情,自己肯定意識が高まると報告されている。

 本稿では,岩手県立二戸高等看護学院(以下,本校)(表1)で2004年より学生サークル「ピア缶」として,思春期の若者を対象に取り組んでいるピア・エデュケーション(仲間教育)の実際について紹介する。

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新刊案内

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 アクションリサーチとは,目標をフィールドである地域の人々の手で設定し,生み出す結果は地域にとって最も適した形で活用できるように提供される研究手法である。研究者の役割は,地域住民が個々の持つ問題を意識化できるように支援し,自治体や行政担当者への通訳者としての役割を担うことである。医療従事者は,各々の領域における専門的な知識により地域住民の生活をコントロールし,地域の自己効力感を損ね,エンパワメントのプロセスを阻害しかねない立場である。自然主義的調査に比べると長い時間がかかり,コミュニティ内部等での対立など予期せぬ問題が生じることも考えられる。しかし,地域住民と調査者相互の信頼と連帯感を育み,パートナーシップを形成する方法としては非常に有効なリサーチと考える。アクションリサーチを通じて,人々が自ら問題を顕在化させ,行為の結果を理解する思考や行動の仕方を学習し,より解決を探求するプロセスの継続へ導いてゆくことができる手法として,看護における教育や研究に有用であろう。

 なお“人類学モデル”とは,既知の事実から因果関係を引き出す“疾病モデル”とは違い,文化,環境,教育,治安,経済政策など社会的視座に立ち,総合した影響関係を明らかにすると筆者は述べている。人々が自身の健康状態を理解し対処できるかは,必要とする保健医療サービスの種類との関連がある。

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 本書は認知行動療法入門とありますが,認知行動療法を患者さんに行うための本ではなく,ケアする人々(特に看護者)自身の心身のセルフケアに活用できるようにするための解説書です。手に取ると,イラストがかわいらしく,忙しい合間にも短時間で読み切ることができる内容になっています。2冊組で,『認知行動療法入門BOOK1』では,認知行動療法の考え方と手法を具体的に紹介し,臨床で看護師が出くわすであろうストレスフルな事例を取り上げて,その実際を学習することができます。このなかで著者は認知行動療法の適応と限界,実施に当たっての注意事項も丁寧に述べており,読者自身が安全に使うツールとして活用するように注意しています。どのようなストレスフルな状況にも効く万能薬というものはどこにもないですから,当然といえば当然ですが,きちんと記載されているところに好感がもてます。

 また,『認知行動療法入門BOOK2』では実際によくある事例のストーリーで,読者自身が「自分だったらどうするだろうか」と考えながら読むことのできる展開となっています。「無能な同僚管理職に腹が立って仕方がないカオルコさん」「キレる医師のいる職場で恐怖を感じるサチコさん」「精神的に不安定な看護学生とのかかわり方に悩むタマキさん」といった事例において,相談者の相談の経緯,認知行動療法の導入,展開,その後がストーリーになっているので最後まで読まずにはいられません。振り返ってみると,自分自身の身の回りにも似たようなことがあると感じます。

基本情報

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看護教育
52巻6号 (2011年6月)
電子版ISSN:1882-1391 印刷版ISSN:0047-1895 医学書院

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