特別記事
─臨床判断を拓く評価に向けて─ラサター臨床判断ルーブリック日本語版の作成
細田 泰子
1
,
根岸 まゆみ
2
,
キャシー・ラサター
3
Kathie Lasater
3
1大阪府立大学大学院看護学研究科 地域保健学域看護学類
2静岡県立大学看護学部
3オレゴン健康科学大学看護学部
pp.40-47
発行日 2018年1月25日
Published Date 2018/1/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663200902
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臨床判断モデルにもとづく評価
ラサター臨床判断ルーブリック(Lasater Clinical Judgment Rubric : 以下,LCJR)1)は,クリスティン・タナー(Christine A. Tanner)氏が提唱した臨床判断モデル(図)にもとづき,臨床的思考について,学生をはじめ教員や実習指導者が話し合うための「共通の言葉(common language)」を提供するものとして,キャシー・ラサター(Kathie Lasater)が開発したものである。このルーブリック(rubric)は,学習者の臨床判断の発達を評価するために,多くの国で活用されている。本稿では,LCJR日本語版を紹介するとともに,その背景や特徴,活用の可能性について述べる。
10数年前,ラサターはどうしたら学生が看護師の思考を学べるように支援できるのだろうかという問いを抱き,米国のオレゴン健康科学大学(Oregon Health & Science University:以下,OHSU)の同僚であるタナー氏に相談した。そのとき,タナー氏は「看護師のように考える:研究にもとづく看護の臨床判断モデル」2)という論文の草稿を机から取り出し,「これを読み,理に適うと思いますか」と尋ねた。その内容は,ラサターにとってまさに腑に落ちるものであった。
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