特集 チーム医療を培うIPE
【コラム】―看護教育者の声―人とかかわり,成長する
橘 緑里
1
1独立行政法人国立病院機構四国がんセンター教育担当
pp.430
発行日 2011年6月25日
Published Date 2011/6/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663101774
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看護部の教育担当となり,新人教育に携わって1年が経つ。当初,「教育をしなければ!」と過剰に力が入り,新人にかかわっていた。そのためか,“(口うるさい)ただチェックをしに来ている人”と思われていた。今は,看護師としてどう成長させるかを考え,できる限り一人ひとりの能力を伸ばしたいと思い,かかわるようになった。そのきっかけとなったのが髙塚先生のセミナーである。“人間関係は,自分を知ることから始まる”と言われ,さまざまなプログラムを行った。初めて知り合う人と行った「気づきの体験学習」【本文と同内容】では,コミュニケーションの難しさを実感した。話し手も聴き手も自分のことで精一杯になり,お互いの考えや気持ちを理解し合おうとしていなかった。「聴き手は目標がないから,わからない。まず伝えることは,これから何をするかである」「大事なことは言葉できちんと伝える」と諭され,一方通行ではわかり合えないということがわかった。
コミュニケーションとは,お互いの考え,気持ちを理解し合うことである。相手の立場に立つ,しかし,まったく同じ立場には立てない。立場が違うと見えるものが違う。それは当たり前,違う人なのだから。それなら,どうする?─相手に関心をもつようにする。「関心をもつ」とは,「みる・きく・伝える」ということだ。これは看護師教育においても重要なことだと思う。新人の成長を望むなら,相手をよく見て,相手の言うことをよく聴いて,そして相手にわかる言葉を使って伝えるということをする必要がある。
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