特別記事
『ナイチンゲール伝』を物語る前に―「自分嫌い」のナイチンゲール
茨木 保
1
1いばらきレディースクリニック
pp.465-467
発行日 2011年6月25日
Published Date 2011/6/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663101784
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“人は誰でも死ぬのだ”という事実
皆さんがこれまでの人生で一番驚いた瞬間はいつですか? ボクの場合,それは幼稚園の頃,姉から“人は誰でも死ぬのだ”という事実を聞かされたときでした。ボクはそれまで,「人が病気や怪我で死ぬのだ」ということは知っていました。しかし,「すべての人に」いずれ死が訪れるのだということは,考えたことがなかったのです。
“病気や怪我をしなくても,年をとれば人はみんな死ぬのよ”─姉は何気なく話してくれたのですが,幼児期のボクは,その言葉に天地がひっくりかえるような衝撃をおぼえたのです。「家族もそして自分自身も,いつかは死なねばならないのか……!」。子どもの頃に好きだった『ゲゲゲの鬼太郎』の影響でしょうか,その瞬間,頭の中に墓場で腐敗していく自分の姿が広がり,恐ろしくて気が狂いそうになったことを覚えています。
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