第2特集 看護学生論文―入選エッセイ・論文の発表
論文部門
パーキンソン病患者のQOL向上を目指した援助
白岩 享子
1
1国立療養所長島愛生園附属看護学校
pp.666-669
発行日 2011年8月25日
Published Date 2011/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663101847
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
はじめに
パーキンソン病患者は,症状の悪化に伴い,自らの意思で行動することが困難となり,受け身となってしまう傾向がある。身体像の変化に伴い,さまざまな不安やストレスを抱えやすくなる。そのため,日々の生活の中に生きる価値や楽しみを見いだし,気持ちの充実をはかることが必要であると言われている。
今回受け持った患者は,無動,寡動があり,自らの意思で行動することもなく日々を過ごしている状態だった。このままでは,意思表示もしなくなり意欲低下,活動低下につながるのではないかと感じた。なんらかの関わりをもつことで,患者の気持ちを引き出し,自ら行動することができるのではないかと考えた。初めは,状態を探る日々が続いたが,日内変動(on・off現象)があることに気づき,その時の状態に合わせた援助を行った。自己決定を促す,できることは見守る,好きなことや興味のあることを勧めるといった援助を行った。その結果,状態の良い時は自分のペースで活動する姿がみられ,また,好きなことをする時には表情が和らぐなど,変化をみることができた。
事例を振り返ることで,パーキンソン病患者のQOL向上を目指した援助とは何かを考察したのでここに報告する。
なお,患者が特定されないように配慮した。
Copyright © 2011, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.