連載 誌上FD 自己決定できる「女性」を育てる 気づきと目覚めのジェンダー教育・18
「母性」ってあるの?
沼崎 一郎
1
1東北大学大学院文学研究科
pp.488-492
発行日 2011年6月25日
Published Date 2011/6/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663101790
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今回は,母性について取り上げます。ここでは日常語の母性について考えたいと思います。日本国語大辞典によると,母性とは「女性が,子どもを守り育てようとする母親としてもつ本能的な性質や機能」だそうなので,だいたいこのような意味に受け取られているのではないでしょうか。そして,女性なら「生まれつき」子どもを可愛がるものだとか,女性なら「生まれつき」子育てが上手なはずだといった「思い込み」が,社会に広がっているのではないでしょうか。
さらには,それが拡大解釈されて,子どもだけでなく,夫に対しても,慈しみ深く,思いやりがあり,細やかなケアをすることが母であり妻である「女性」に求められるようになってはいないでしょうか。そして,「女性」であるからには,そのように振る舞わなければいけないとプレッシャーを感じている「女性」が多いのではないでしょうか。
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