連載 「形態機能学」で看護教員が教えられること・5【最終回】
トイレに行く
小林 美智子
1
1東京都立青梅看護専門学校
pp.476-480
発行日 2011年6月25日
Published Date 2011/6/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663101787
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本連載では,東京都立看護専門学校7校で計画・立案した「形態機能学」のなかから5項目について,その具体的内容とその実行過程での教員の葛藤を紹介する。なお,計画・立案にあたっては,聖路加看護大学の授業内容や同大学編『形態機能学演習の手引き』を参考にさせていただいた。
単元のとらえ方および授業計画
本単元は,形態機能学IV1単位(30時間)のうち8時間の配分で教授している(表1)。また,関連単元として形態機能学V1単位(30時間)のうち4時間の演習が行われる。本稿では「トイレに行く」のうち排尿についての授業内容について述べる。
「トイレに行く」という日常生活行動には,日々繰り返し無意識に行っている動作も多い。しかし,その行動様式や排泄物は多様で,食生活や生活習慣等の影響を受けている。排泄物,とりわけ尿は,恒常性の維持に重要な役割をし,健康状態を判断するうえでの情報を提供してくれる。排尿機能に関わる身体の機能は,腎臓の機能と関連する血液の流れ,尿の再吸収過程,蓄尿や排尿に関わる尿路系や排尿に関与する神経系などの働きの理解が必須となる。そのため一度学習はしていても,外部講師に依頼している内容を活用し,理解の定着を図りながら進める必要がある。形態機能学「トイレに行く」の授業では,「トイレに行く」という日常生活行動との関連を学ぶために,自分の行為を形態機能の視点で意識化させ,自分の排泄物に対しても興味や観察の視点を意識化したりできるよう教授する。また,排泄に係わる日常生活の行動のなかで「あ! そういうことある」「そういうことだったのか」と実感できるような事例を提示しながら授業を進める(表2)。
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