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書評 ―『ケアする人も楽になる認知行動療法入門 BOOK1,2』―看護者自身が心身のセルフケアに活用する認知行動療法の入門書
鈴木 啓子
1
1名桜大学人間健康学部看護学科
pp.483
発行日 2011年6月25日
Published Date 2011/6/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663101788
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本書は認知行動療法入門とありますが,認知行動療法を患者さんに行うための本ではなく,ケアする人々(特に看護者)自身の心身のセルフケアに活用できるようにするための解説書です。手に取ると,イラストがかわいらしく,忙しい合間にも短時間で読み切ることができる内容になっています。2冊組で,『認知行動療法入門BOOK1』では,認知行動療法の考え方と手法を具体的に紹介し,臨床で看護師が出くわすであろうストレスフルな事例を取り上げて,その実際を学習することができます。このなかで著者は認知行動療法の適応と限界,実施に当たっての注意事項も丁寧に述べており,読者自身が安全に使うツールとして活用するように注意しています。どのようなストレスフルな状況にも効く万能薬というものはどこにもないですから,当然といえば当然ですが,きちんと記載されているところに好感がもてます。
また,『認知行動療法入門BOOK2』では実際によくある事例のストーリーで,読者自身が「自分だったらどうするだろうか」と考えながら読むことのできる展開となっています。「無能な同僚管理職に腹が立って仕方がないカオルコさん」「キレる医師のいる職場で恐怖を感じるサチコさん」「精神的に不安定な看護学生とのかかわり方に悩むタマキさん」といった事例において,相談者の相談の経緯,認知行動療法の導入,展開,その後がストーリーになっているので最後まで読まずにはいられません。振り返ってみると,自分自身の身の回りにも似たようなことがあると感じます。
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