連載 「教え方」の本を読む!・6
いい講義は,講師と生徒の共同作業によって作られる―『誰でもまねできる 人気講師のすごい教え方』
山岡 美納子
1
1福井県立看護専門学校
pp.484-487
発行日 2011年6月25日
Published Date 2011/6/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663101789
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
現代の学生への授業には工夫と努力が必要
看護教員として学生に授業を始めて,4月で4年目に突入しました。新入生も入ってきて,心新たにしたいところ! ですが……今の若者はよく理解できません。何を考えているのやら……。
実は,年度末直前くらいの時期に担任をしていた学生数名と,ゆっくり話す機会があり,「最近,みんなゆるい(=やる気がないという解釈をしてください)感じがするのだけれど,どうなのだろう?」と聞いてみたことがあります。すると,かえってきた答えはこうでした。「この学年は,怒られるとへこむんです。そして,それがだんだんと怒りに変わるんです,『こんなにがんばっているのに,なんで怒られなきゃいけないんだ』って。だから,成績が良くないからと言って,怒ってしまうと,だんだんとやる気をなくすことになってしまうんです。だから先生,怒っちゃだめですよ。誉めて伸ばすんです。そうするとできる子たちなんです(笑)」。「最近の若い人たちは親にも怒られたことがない人たちばかり」とはよく耳にしていましたが,ここまでだったなんて,正直びっくりしました。社会に出ると,患者さんや先輩看護師から怒られてばかりです。でも,そんないろいろな経験があるから新人看護師は育っていくのです(かくいう私もそうでした)。それが,怒られると『怒り』に変わるのだなんて,この先が心配です。この学生たちが世の中に出て,私たちは看護をしてもらうのかと思うと「……」となってしまいます。現代の学生に対して,授業をして,それを理解してもらうために,私たちはさまざまな工夫と努力を必要とされているのだなと痛感しました。
Copyright © 2011, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.