medicina 40巻2号 (2003年2月)

今月の主題 臓器感染と抗菌薬のえらび方

抗菌薬のえらび方

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ポイント

 ・発熱は必ずしも感染症の症状とは限らない.

 ・ウイルス感染症には抗菌薬は無効である.

 ・抗菌薬投与を開始した後,発熱が持続する場合,身体所見と培養結果から抗菌薬の的確さの判断をする.

 ・抗菌薬投与を開始した後,発熱が数日後に出現したときには,薬剤熱も考慮する.

 ・抗菌薬投与前に培養を行う.

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ポイント

 ・高齢者は,薬物副作用(有害反応)の発生頻度が20歳台の患者より約7倍高い.

 ・高齢者では,抗菌薬の薬物動態,特に腎排泄機能が低下する.

 ・高齢者の抗菌薬応答性は,患者側要因により個人差が大きい.

 ・高齢者では併用薬が多いので,薬物相互作用には注意が必要である.

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ポイント

 ・採用抗菌薬の整備は,医療従事者の混乱を防ぎ,各種感染症に対する最適な治療を可能とし,感染症の知識の向上と治療のレベルアップをもたらす.

 ・院内採用抗菌薬の整備には,抗菌薬管理委員会の存在が不可欠である.

 ・採用抗菌薬の選択時には,各種感染症治療に対応可能な抗菌薬を揃え,採用抗菌薬数を必要最少限とする点に留意すべきである.

 ・採用抗菌薬リストは,常に更新されていくべきものである.

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ポイント

 ・マクロライド系抗菌薬は,主にグラム陽性菌,およびマイコプラズマ,クラミジアなどの非定型病原体に対して有効である.

 ・ニューマクロライドの一部はヘリコバクター・ピロリや非定型抗酸菌にも抗菌力を有する.

 ・びまん性汎細気管支炎を代表とする難治性慢性下気道感染症に対しては,その長期投与が有用である.

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 1984年にノルフロキサシン(norfloxacin:NFLX)が初めてニューキノロン薬として発売されたが,全身投与で臨床応用できるニューキノロン薬は,2002年10月の時点で11種類に及んでいる.これらはニューキノロン薬という同じカテゴリーであっても,適応疾患,抗菌力,投与方法,体内動態などに違いがみられるため,薬剤の選択にあたっては,これらの特性を十分把握しておく必要がある.本稿では,ニューキノロン薬を選択する際のポイントを,呼吸器感染症と尿路感染症について概説する.

 ニューキノロン薬とは

 グラム陰性桿菌のみに抗菌スペクトルをもつナリジクス酸(nalidixic acid:NA),ピロミド酸(piromidic acid:PA),ピペミド酸(pipemidic acid:PPA)などをオールドキノロンという.図1に,キノロン薬の一般構造を示す.1984年に発売となったNFLXでは,6位にフッ素が導入されることによって,グラム陰性菌だけでなくグラム陽性菌にまで抗菌スペクトルが拡がった.これ以降のキノロン薬を総称して,ニューキノロン薬と呼んでいる.本邦では,11剤のニューキノロン薬が全身投与として用いることができる.経口剤として,NFLX,オフロキサシン(ofloxacin:OFLX),エノキサシン(enoxacin:ENX),塩酸シプロフロキサシン(ciprofloxacin:CPFX),トシル酸トスフロキサシン(tosufloxacin:TFLX),塩酸ロメフロキサシン(lomefloxacin:LFLX),フレロキサシン(fleroxacin:FLRX),レボフロキサシン(levofloxacin:LVFX),スパルフロキサシン(sparfloxacin:SPFX),ガチフロキサシン(gatifloxacin:GFLX)の10薬剤が,注射剤として,CPFX,メシル酸パズフロキサシン(pazufloxacin:PZFX)の2薬剤がある.その基本骨格は,ENX,TFLXがナフチリジン系であるが,その他のニューキノロン薬はすべてキノリン系である.この基本骨格にさまざまな側鎖がつくことによって,抗菌力,体内動態,副作用などに違いがみられることになる.

気道感染と抗菌薬のえらび方

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ポイント

 ・基礎疾患のない成人の急性気管支炎はウイルス感染で生じることが多く,抗菌薬の有効性は証明されていない.

 ・基礎疾患のない全身状態の良好な成人の急性気管支炎では,患者に十分説明することにより,不必要な抗菌薬の使用を避ける必要がある.

 ・高齢者や慢性閉塞性肺疾患などの基礎疾患をもつ患者の急性気管支炎では,抗菌薬の使用を考慮する必要がある.

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ポイント

 ・日本呼吸器学会ガイドラインは,初診時における細菌性と非定型の鑑別を基本にしている.

 ・抗菌薬使用の手引きでは,患者状態から診断・治療を進めている.

 ・米国胸部疾患学会ガイドラインは,患者条件のみで治療を選択し,起炎菌検査は不要の姿勢をとっている.

 ・米国感染症学会ガイドラインは,起炎菌診断を重要視しており,患者区分はポイント制で評価している.

 ・それぞれのガイドラインの特徴を理解したうえで,市中肺炎の治療向上のため,多くの医師に利用されることが望まれる.

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ポイント

 ・呼吸数30/min以上,拡張期血圧60mmHg以下,BUN20mg/dl以上のうち,2つ以上がある市中肺炎は重篤である.

 ・50歳未満で,合併症(悪性腫瘍,うっ血性心不全,脳血管障害,腎疾患,肝疾患)や身体所見異常(精神状態の変化,脈拍125/min以上,呼吸数30/min以上,収縮期血圧90mmHg未満,体温35℃未満または40℃以上)のない市中肺炎は,きわめて予後が良い.

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ポイント

 ・ペニシリン耐性肺炎球菌(PRSP)という場合,時にペニシリン中等度感受性肺炎球菌(PISP)を含んで表現されていることがある.

 ・PISPとPRSPが肺炎球菌に占める割合は,世界の平均では36%であり,日本では64%と高い傾向がみられた.

 ・耐性菌を作らないための抗菌薬の適正使用が重要である.

 ・肺炎球菌ワクチンの普及が今後の課題である.

 ・ペニシリン耐性肺炎球菌感染症は第4類感染症(定点把握)である.

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ポイント

 ・高齢者や慢性呼吸器疾患を有する患者では,肺炎合併のリスクが高い.

 ・4~5日以上高熱が続く,あるいはいったん解熱後の再発熱は肺炎を疑う.

 ・肺炎の起因菌としては肺炎球菌,次いで黄色ブドウ球菌,インフルエンザ桿菌などであり,ペニシリン系抗菌薬,第1,第2世代セフェム抗菌薬,マクロライド系抗菌薬を選択する.

 ・基礎疾患のある例ではグラム陰性桿菌も考慮し,ニューキノロン剤,第3世代セフェム系抗菌薬,カルバペネム系抗菌薬を選択する.

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ポイント

 ・非定型肺炎には,一般にβラクタム系抗菌薬は無効である.

 ・マイコプラズマ肺炎ではマクロライド系抗菌薬,テトラサイクリン系抗菌薬が第一選択で,ニューキノロン剤も有効である.それによって病期は40%短縮されるが,咳嗽期間は短縮されない.

 ・レジオネラ肺炎にはマクロライド系抗菌薬,リファンピシン,ニューキノロン剤を用いる.

 ・クラミジア肺炎にはテトラサイクリン系抗菌薬,ニューマクロライド系抗菌薬,ニューキノロン剤が第一選択である.

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ポイント

 ・院内肺炎は,頻度も死亡率も高い.免疫不全状態,誤嚥,人工呼吸管理下という特殊病態下の患者では,特に死亡率が高い.

 ・しっかりと効く広範囲スペクトルの抗菌薬を,初めから,十分量を短期間に用いる.

 ・肺炎の重症度や基礎疾患の種類と程度により,抗菌薬のえらび方を変える.免疫不全患者では,抗真菌薬やST合剤などの投与も考慮する.

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ポイント

 ・胸腔内感染の病原微生物としては黄色ブドウ球菌や肺炎球菌,肺炎桿菌や緑膿菌,嫌気性菌などのほか,最近ではストレプトコッカス・ミレリー群が注目されている.結核性胸膜炎も比較的多く,ウイルスや真菌なども病原となる.

 ・治療には,胸腔移行のよい十分量の抗菌薬を早期から全身投与することと,適切な時期に胸腔ドレナージを行うことが重要である.

血管内感染,敗血症と抗菌薬のえらび方

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ポイント

 ・基礎に心内膜疾患があり敗血症が疑われたときは,必ず感染性心内膜炎の発症に注意する.

 ・活動期であっても抗菌薬無効例は外科適応を考慮する.

 ・アミノグリコシド系抗菌薬(ゲンタマイシンなど)と塩酸バンコマイシンを投与するときは,腎障害,聴覚器障害に注意し,薬物血中モニタリング(TDM)を行う.

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ポイント

 ・敗血症は,感染症が原因で起こる全身炎症反応症候群である.

 ・抗菌薬投与前に,できる限りの培養を採取する.

 ・敗血症は,内科緊急症であり,直ちにバイタルサインを安定化させ,抗菌薬による治療を開始する.

 ・原因(感染巣)を探り,必要ならドレナージやデブリドマン(de´bridement:創傷切除)を行う.

院内血管内感染への対応 佐竹 幸子
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ポイント

 ・院内血管内感染症であるカテーテル関連静脈炎が疑われたカテーテルを抜去する.

 ・滲出液のグラム染色,末梢静脈からの血液培養とカテーテル先端の半定量培養をする.

 ・経験的治療薬として塩酸バンコマイシンを使用し,検査結果が得られたら使用抗菌薬を検討する.

 ・血管内留置カテーテルに関する感染予防策を遵守する.

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ポイント

 ・近年の化学療法の進歩に伴い,日常診療でも好中球減少症の発熱を目にする機会が増えている.従来,グラム陰性菌感染が死亡の原因菌の多くを占めることが示されていたが,グラム陽性菌感染の頻度が増加している.

 ・これらをもとに提唱されたガイドラインおよび管理のポイントを述べる.

消化器系感染と抗菌薬のえらび方

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ポイント

 ・H. pylori感染診断と治療が保険認可されている疾患は,胃潰瘍と十二指腸潰瘍である.

 ・認可されている除菌治療はPPI+CAM+AMPCの1週間投与で,除菌率は80~85%である.

 ・除菌失敗の最大要因はCAM耐性である.

 ・服薬コンプライアンスも除菌の成否には重要である.

 ・CAM耐性H. pyloriは増加傾向にある.

 ・CAM耐性菌をPPI+CAM+AMPC治療で再除菌しても,除菌率は50%以下である.

 ・初回除菌失敗症例のPPI+MNZ+AMPC3剤治療による除菌率は,約80%である.

 ・PPI+CAM+AMPC除菌治療で失敗した場合,除菌失敗要因を考慮し,薬剤感受性試験を実施した後,再除 菌法を選択する.

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ポイント

 ・抗菌薬投与後の下痢には,最も頻度の高い一過性下痢症と,抗菌薬起因性腸炎として出血性大腸炎・偽膜性大腸炎・MRSA腸炎がある.

 ・一過性下痢症と出血性大腸炎は,起因薬剤の中止のみで軽快することが多い.

 ・偽膜性大腸炎とMRSA腸炎は,起因薬剤を中止し,塩酸バンコマイシンの経口投与を行うが,重症例では厳重な全身管理を必要とする.

 ・抗菌薬起因性腸炎を予防するには,抗菌薬の投与量,投与期間を必要最低限とし,漫然とした投与を避けることが重要である.

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ポイント

 ・消化管感染症においては,ポイントを押さえた詳しい病歴が診断への手がかりとなる.

 ・便培養を提出しないで抗菌薬を投与するのはbad practiceである.

 ・抗菌薬を使うべきケースと使わないで経過を見るケースを見極めることが大事である.

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ポイント

 ・海外渡航者の下痢の原因は多様である.毒素原性大腸菌が最も多いが,時に,赤痢菌などの二類感染症原因菌や赤痢アメーバなどの原虫も検出される.

 ・A型肝炎や熱帯熱マラリアでも下痢がみられることがある.

 ・確定診断は,主に便の細菌培養による.便,血液塗抹の鏡検や血液の細菌培養によって診断されることもある.

 ・治療には,脱水の補正,整腸薬の投与などの対症療法と病原体に対する化学療法がある.

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ポイント

 ・胆道感染症の起炎菌としてE.coli,Klebsiella属が多い.

 ・胆道感染症には,第2あるいは第3世代セフェム系抗菌薬が第一選択である.

 ・Pseudomonas属やB.fragilisが検出された場合には,カルバペネム系の抗菌薬を考慮する.

 ・重症急性閉塞性化膿性胆管炎では,速やかに胆道ドレナージを行う.

尿路感染と抗菌薬のえらび方

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 尿路感染症は解剖学的な構造の違いにより,女性で発症する割合が高い感染症であり,呼吸器感染症や,消化管感染症に次いで,外来においてもしばしば認められる疾患である.軽症例が多く,治療は比較的容易であることから軽視されがちであるが,繰り返し発症する例も認められ,そのような例では何らかの背景要因が潜んでいる場合もあるので注意が必要である.

 尿路感染症の病態

 尿路感染の経路としては,尿道からの上行感染,血液を介する血行性感染,リンパ行性感染の3つの経路が存在するが,血行性感染,リンパ行性感染は腎実質の膿瘍などの限られた病態の場合であり,上行性感染が最も一般的である.尿路感染症は,男性と比較して女性に頻度が高い.その原因として,女性は構造的に尿道が直線的で短いこと,尿道口が肛門や腟口に近いことなどから,上行性に尿路感染症に罹患しやすくなっているためである.したがって,尿路感染症の原因菌としては,尿道口を汚染しやすい腸管内細菌や腟・外陰部の常在細菌によることが多い.尿路感染症は性交が誘因になりやすく,性的活動期にある女性の頻度が高いのが特徴である.

前立腺炎の治療法 菅野 治重
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前立腺炎の種類

 1. 急性前立腺炎

 急性前立腺炎は,若い男性や膀胱カテーテル留置例に好発する.症状は,発熱,悪寒,排尿困難,頻尿などがみられる.直腸診で,痛みを伴う腫大した前立腺を触れる.放置すると,膿瘍化,副睾丸炎,敗血症などに進展するおそれがあるため,迅速な治療が必要である.膿尿と細菌尿を伴う例が多く,Escherichia coli,Klebsiella pneumoniae,Proteus mirabilisなどのグラム陰性桿菌や,Staphylococcus aureusが主に原因となるが,稀にChlamydia trachomatis,Ureaplasma urealyticumも原因となる1).

 2. 慢性前立腺炎

 慢性前立腺炎は,排尿困難,残尿感,会陰部痛,頻尿などの症状がみられるが,急性前立腺炎に比べて症状が弱いため,診断が困難な例も多い2).尿中に少量の細菌しか検出されないが,沈さでは多数の白血球を認める例や,男性で尿路感染症を繰り返す例などは,本症を疑う必要がある.原因菌は急性前立腺炎と同様である.

皮膚・軟部組織・骨感染と抗菌薬のえらび方

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ポイント

 ・治療の原則は,適切な抗菌薬と免荷,壊死組織の除去,膿の貯留が疑われた場合,切開排膿である.

 ・菌種が同定されるまで,潰瘍の大きさ,蜂窩織炎,骨髄炎の有無を参考に抗菌薬を選択する.

 ・骨髄炎があれば,腐骨の除去が原則である.

 ・血管障害性壊疽の場合,血行再建術の適応につき血管外科に早めに相談すること.

 ・保存的治療で感染症が管理できない場合は,下肢切断の適応につき,整形外科医と相談する.

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ポイント

 ・ブドウ球菌菌血症の初感染巣は,カテーテルなどの体内異物や重症皮膚感染が多い.

 ・二次感染巣として代表的なものは,心内膜炎,骨髄炎などである.

 ・発熱患者で腰痛を伴う場合には椎骨感染の存在を疑う.

 ・化膿性脊椎炎の画像診断はMRIが有効であり,単純X線より早期診断が可能である.

 ・治療薬は,黄色ブドウ球菌ならペニシリン系・セフェム系抗菌薬だが,コアグラーゼ陰性ブドウ球菌には塩酸バンコマイシンが第一選択である.

中枢神経系感染と抗菌薬のえらび方

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ポイント

 ・急性細菌性髄膜炎は,内科的緊急症であり,治療開始の遅れや抗菌薬の選択ミスは予後不良(死亡や重篤な後遺症)につながる.

 ・疫学的情報とグラム染色の結果から原因菌を推定して,抗菌薬を決定・開始する.

 ・培養結果に合わせて抗菌薬を変更・調整する.肺炎球菌は,抗菌薬に対する耐性を考慮に入れる.

 ・殺菌性で,髄液移行が良く,カバーすべき病原菌に対する感受性がある抗菌薬を,血中半減期を考慮して十分量投与する.

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ポイント

 ・緩徐な髄膜炎は非特異的な精神・神経症状を呈することが多く,まず疑うことが重要である.

 ・診断確定には髄液検査が必要で,墨汁染色,抗酸菌染色,クリプトコッカス抗原,VDRL(非トレポネーマ抗原)を追加する.

 ・診断・治療にあたって,免疫不全やHIV感染の存在を考慮する.

 ・適切な治療が行われないと,患者死亡や後遺障害,再発につながる.

治療困難な感染への対応

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ポイント

 ・耐性菌を早期に検出し適切な初期治療を開始するためには,病歴,身体所見,検体のグラム染色,培養,そして施設ごとの検出菌情報が重要である.

 ・臨床医は日々,耐性菌を作らない努力を怠ってはならない.

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ポイント

 ・腸球菌は健常人の腸管に常在する弱毒菌で,菌交代や日和見感染を起こす.

 ・塩酸バンコマイシンの使用増加,家畜飼料への抗菌薬投与にて多剤耐性化し,欧米では難治性感染症として深刻である.

 ・院内感染対策を行い,菌の感受性を検査し,感染症の治療にあたる.

 ・リネゾリド,キヌプリスチン/ダルフォプリスチンなどの新薬が国内外で使用されつつある.

抗真菌薬の使い方 前崎 繁文
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ポイント

 ・深在性真菌症は診断が困難であり,難治性感染症となる.

 ・治療に用いる抗真菌薬は薬剤によって有効な感染症があるため,原因真菌が不明の際も臨床病態から原因真菌を推察し,薬剤を選択することが必要である.

 ・抗真菌薬は,薬剤によって副作用や他の薬剤との相互作用などに注意が必要となるものも多いため,実際の使用に関しては,十分にその点を理解して治療を行うことが重要となる.

理解のための27題

演習・腹部救急の画像診断(8)

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Case

症 例:16歳,女性.

現病歴:道路を歩行中,乗用車にはねられ受傷し,救急車で搬送された.

来院時所見:意識清明,血圧80/50mmHg,脈拍120/min,呼吸数28/min.胸部理学的所見では明かな異常を認めなかった.図1に病院到着後の骨盤単純X線写真,図2に骨盤部造影CT像を示す.

救急神経症候の鑑別とマネジメント(2)

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頭痛例で見逃しやすい頭部CT所見(表1)

 CT所見の見逃しがきわめて重大な結末を招きうるのは,くも膜下出血である.図1Aのような典型例の診断は容易であるが,脳溝,脳槽(特に大脳脚間槽),くも膜下腔内に限局したくも膜下出血は非常に見逃されやすい(偽陰性例:図1B,C).一方,くも膜下出血と見誤る偽陽性所見は,高度の脳浮腫に伴う硬膜血流のうっ滞(図1D)やショック・腎障害例で他臓器検索のため造影検査を先に施行した例でみられる〔pseudo-SAH(subarachnoid hemorrhage)〕1)

 脳梗塞超急性期にみられうる所見として,中大脳動脈(MCA)内の血栓(hyperdense MCA sign)や虚血部灰白質のCT値低下,脳溝の不明瞭化があるが,これらについては「脳梗塞」の回で述べる.

カラーグラフ 手で診るリウマチ(2)

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―強皮症の浮腫期(systemic sclerosis, edematous phase)―

 強皮症(皮膚硬化症)は,皮膚に症状が強く現れる結合組織疾患である.患者には中年の女性が多い.その名の通り,皮膚は硬化萎縮し,進行すると板のように硬くなる.表皮層は薄くなり,真皮層にはコラーゲンの増生と,小血管周囲に慢性炎症細胞の浸潤を認める.基本的には皮膚の線維性硬化病変であるが,同様の変化は,滑膜,指小動脈,腎臓など一部内臓の実質や,食道,腸,肺,心臓,甲状腺組織にも現れる.

 皮膚の病変は手指末端から始まり,上行して,前腕,あるいは著しい例では前胸部など体幹部にも及ぶ.程度は上肢より軽いが,足趾や,下腿にも硬化がみられる.

 しかし,皮膚が硬くなる前の最も初期の症状は,硬化ではなく腫れである(図1).両側性に手指,手背全体が腫れ,前腕部にも及ぶ.腫れは通常無痛性であるが,皮下組織の炎症が強い場合,圧迫すると痛みが生じる.腫れは押さえると陥凹する例(pitting edema)と,そうでない例(non-pitting edema)とがある.98%以上の症例で,レイノー現象があるので,診断の重要なヒントとなる.レイノー現象が何年も前から先行している例も少なくない.約1/3以上の例では,関節痛,関節炎を伴っている.関節炎は,時に関節リウマチ様で,朝方に痛みが著しい.

プライマリケアにおけるShared Care 尿失禁患者のマネジメント・15【最終回】

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 福井(司会) 皆さんにお集まりいただきましてありがとうございます.まずアーノルド先生に海外でのShared Care,特にコメディカルを含めた医療スタッフが尿失禁の診断や治療の分担にどのようにかかわってきたかをご紹介していただき,これを基にわが国での失禁ケアをどのように分担することが適しているのかについて皆さんと討論を進めたいと考えます.そして,本日の討論がわが国の泌尿器科医や婦人科医,かかりつけ医,およびコメディカルの人たちの今後の指針になればと思います.

 本来,Shared Careという言葉自体は専門医とかかりつけ医の間に用いられたケアの分担を表す言葉でしたが,この連載では,コメディカルを含めてのShared Careということで企画させていただきました.

 それでは最初に今丸満美先生から自己紹介をお願いします.

内科医のためのリスクマネジメント 医事紛争からのフィードバック(11)

外来経過観察の落とし穴 長野 展久
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外来診療

 一般内科外来では,上気道炎や胃腸炎のように短期間の治療で終了する軽症・一過性の疾患から,高血圧や糖尿病のように長期にわたる経過観察を必要とするものまで,さまざまな疾患を担当することになります.そのなかでも専門領域外の疾患であれば,時機を逸することなく専門医へ紹介し,自らの守備範囲の患者を中心にフォローしていく,といった手法をとることが多いと思います.

 このような外来診療における問題点は,何といっても患者1人当たりに十分な時間をなかなか確保できないことにあります.入院患者であれば,比較的余裕をもって診療にあたることもできますが,例えば午前中の外来3時間に30名もの患者を受け持てば,単純計算して患者1人に割り当てることのできる時間はわずか6分です.そのような短時間に,問診,検査,診断,治療,患者への説明などをすべて網羅するのは,かなり難しい作業となります.しかも1人の患者に複数の外来担当医師が関与するような場合には,主治医が不明確となってしまい,少数ながらも存在する要注意患者を見落とすようなことにつながりかねません.

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適応■本態性高血圧症.

剤型■テルミサルタン20または40mgを含む硬カプセルで,両者の形状は,胴体は共通の白色であるが,20mgカプセルの頭部は青色,40mgカプセルのそれは淡黄色である.また,40mgカプセルは20mgより一回り大きい.

用法・用量■成人には,テルミサルタンとして40mgを1日1回経口投与する.ただし,投与は1日20mgから開始し,漸次増量する.1日最大投与量は80mgであるが,肝障害のある患者では40mgである.

作用機序■血管平滑筋にはアンギ(ジ)オテンシンⅡタイプ1(AT1)受容体が発現している.内因性アンギオテンシン(AG)は,AT1受容体に結合することにより血管収縮を生じ,昇圧効果を発揮する.テルミサルタンは,AT1受容体において内因性AGと拮抗する機序で降圧作用を生じる.テルミサルタンのAT1受容体結合親和性はきわめて高く,その受容体結合阻害定数(Ki=3.7nM)は治療量のテルミサルタン投与後の血中濃度(40mg投与後の定常状態での最高血中濃度は150nM前後である)と比較して著しく低いため,テルミサルタンは血中濃度が低下しても容易に受容体から遊離せず,そのため受容体阻害作用は投与後24時間以上持続する.また,アンギオテンシン変換酵素阻害薬(ACE-I)と異なり,ブラジキニン分解酵素であるキニナーゼⅡ(ACEと同一酵素)の阻害作用はないので,理論的には空咳の副作用は少ないはずである.

基本情報

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40巻2号 (2003年2月)
電子版ISSN:1882-1189 印刷版ISSN:0025-7699 医学書院

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