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1984年にノルフロキサシン(norfloxacin:NFLX)が初めてニューキノロン薬として発売されたが,全身投与で臨床応用できるニューキノロン薬は,2002年10月の時点で11種類に及んでいる.これらはニューキノロン薬という同じカテゴリーであっても,適応疾患,抗菌力,投与方法,体内動態などに違いがみられるため,薬剤の選択にあたっては,これらの特性を十分把握しておく必要がある.本稿では,ニューキノロン薬を選択する際のポイントを,呼吸器感染症と尿路感染症について概説する.
ニューキノロン薬とは
グラム陰性桿菌のみに抗菌スペクトルをもつナリジクス酸(nalidixic acid:NA),ピロミド酸(piromidic acid:PA),ピペミド酸(pipemidic acid:PPA)などをオールドキノロンという.図1に,キノロン薬の一般構造を示す.1984年に発売となったNFLXでは,6位にフッ素が導入されることによって,グラム陰性菌だけでなくグラム陽性菌にまで抗菌スペクトルが拡がった.これ以降のキノロン薬を総称して,ニューキノロン薬と呼んでいる.本邦では,11剤のニューキノロン薬が全身投与として用いることができる.経口剤として,NFLX,オフロキサシン(ofloxacin:OFLX),エノキサシン(enoxacin:ENX),塩酸シプロフロキサシン(ciprofloxacin:CPFX),トシル酸トスフロキサシン(tosufloxacin:TFLX),塩酸ロメフロキサシン(lomefloxacin:LFLX),フレロキサシン(fleroxacin:FLRX),レボフロキサシン(levofloxacin:LVFX),スパルフロキサシン(sparfloxacin:SPFX),ガチフロキサシン(gatifloxacin:GFLX)の10薬剤が,注射剤として,CPFX,メシル酸パズフロキサシン(pazufloxacin:PZFX)の2薬剤がある.その基本骨格は,ENX,TFLXがナフチリジン系であるが,その他のニューキノロン薬はすべてキノリン系である.この基本骨格にさまざまな側鎖がつくことによって,抗菌力,体内動態,副作用などに違いがみられることになる.
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