今月の主題 臓器感染と抗菌薬のえらび方
尿路感染と抗菌薬のえらび方
女性の尿路感染の入院治療と外来治療
戸塚 恭一
1
1東京女子医科大学感染症科
pp.280-282
発行日 2003年2月10日
Published Date 2003/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402102521
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尿路感染症は解剖学的な構造の違いにより,女性で発症する割合が高い感染症であり,呼吸器感染症や,消化管感染症に次いで,外来においてもしばしば認められる疾患である.軽症例が多く,治療は比較的容易であることから軽視されがちであるが,繰り返し発症する例も認められ,そのような例では何らかの背景要因が潜んでいる場合もあるので注意が必要である.
尿路感染症の病態
尿路感染の経路としては,尿道からの上行感染,血液を介する血行性感染,リンパ行性感染の3つの経路が存在するが,血行性感染,リンパ行性感染は腎実質の膿瘍などの限られた病態の場合であり,上行性感染が最も一般的である.尿路感染症は,男性と比較して女性に頻度が高い.その原因として,女性は構造的に尿道が直線的で短いこと,尿道口が肛門や腟口に近いことなどから,上行性に尿路感染症に罹患しやすくなっているためである.したがって,尿路感染症の原因菌としては,尿道口を汚染しやすい腸管内細菌や腟・外陰部の常在細菌によることが多い.尿路感染症は性交が誘因になりやすく,性的活動期にある女性の頻度が高いのが特徴である.
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