カラーグラフ 手で診るリウマチ(2)
手の腫れ(両側性),手の腫れ(一側性)
上野 征夫
1
1西村病院
pp.338-339
発行日 2003年2月10日
Published Date 2003/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402102533
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―強皮症の浮腫期(systemic sclerosis, edematous phase)―
強皮症(皮膚硬化症)は,皮膚に症状が強く現れる結合組織疾患である.患者には中年の女性が多い.その名の通り,皮膚は硬化萎縮し,進行すると板のように硬くなる.表皮層は薄くなり,真皮層にはコラーゲンの増生と,小血管周囲に慢性炎症細胞の浸潤を認める.基本的には皮膚の線維性硬化病変であるが,同様の変化は,滑膜,指小動脈,腎臓など一部内臓の実質や,食道,腸,肺,心臓,甲状腺組織にも現れる.
皮膚の病変は手指末端から始まり,上行して,前腕,あるいは著しい例では前胸部など体幹部にも及ぶ.程度は上肢より軽いが,足趾や,下腿にも硬化がみられる.
しかし,皮膚が硬くなる前の最も初期の症状は,硬化ではなく腫れである(図1).両側性に手指,手背全体が腫れ,前腕部にも及ぶ.腫れは通常無痛性であるが,皮下組織の炎症が強い場合,圧迫すると痛みが生じる.腫れは押さえると陥凹する例(pitting edema)と,そうでない例(non-pitting edema)とがある.98%以上の症例で,レイノー現象があるので,診断の重要なヒントとなる.レイノー現象が何年も前から先行している例も少なくない.約1/3以上の例では,関節痛,関節炎を伴っている.関節炎は,時に関節リウマチ様で,朝方に痛みが著しい.
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