新薬情報(28)
テルミサルタン(ミカルディス®カプセル20mg,40mg)Telmisartan
越前 宏俊
1
1明治薬科大学薬物治療学
pp.364-366
発行日 2003年2月10日
Published Date 2003/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402102537
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適応■本態性高血圧症.
剤型■テルミサルタン20または40mgを含む硬カプセルで,両者の形状は,胴体は共通の白色であるが,20mgカプセルの頭部は青色,40mgカプセルのそれは淡黄色である.また,40mgカプセルは20mgより一回り大きい.
用法・用量■成人には,テルミサルタンとして40mgを1日1回経口投与する.ただし,投与は1日20mgから開始し,漸次増量する.1日最大投与量は80mgであるが,肝障害のある患者では40mgである.
作用機序■血管平滑筋にはアンギ(ジ)オテンシンⅡタイプ1(AT1)受容体が発現している.内因性アンギオテンシン(AG)は,AT1受容体に結合することにより血管収縮を生じ,昇圧効果を発揮する.テルミサルタンは,AT1受容体において内因性AGと拮抗する機序で降圧作用を生じる.テルミサルタンのAT1受容体結合親和性はきわめて高く,その受容体結合阻害定数(Ki=3.7nM)は治療量のテルミサルタン投与後の血中濃度(40mg投与後の定常状態での最高血中濃度は150nM前後である)と比較して著しく低いため,テルミサルタンは血中濃度が低下しても容易に受容体から遊離せず,そのため受容体阻害作用は投与後24時間以上持続する.また,アンギオテンシン変換酵素阻害薬(ACE-I)と異なり,ブラジキニン分解酵素であるキニナーゼⅡ(ACEと同一酵素)の阻害作用はないので,理論的には空咳の副作用は少ないはずである.
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