内科医のためのリスクマネジメント 医事紛争からのフィードバック(11)
外来経過観察の落とし穴
長野 展久
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1東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科司法医学・東京海上メディカルサービス
pp.358-362
発行日 2003年2月10日
Published Date 2003/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402102536
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外来診療
一般内科外来では,上気道炎や胃腸炎のように短期間の治療で終了する軽症・一過性の疾患から,高血圧や糖尿病のように長期にわたる経過観察を必要とするものまで,さまざまな疾患を担当することになります.そのなかでも専門領域外の疾患であれば,時機を逸することなく専門医へ紹介し,自らの守備範囲の患者を中心にフォローしていく,といった手法をとることが多いと思います.
このような外来診療における問題点は,何といっても患者1人当たりに十分な時間をなかなか確保できないことにあります.入院患者であれば,比較的余裕をもって診療にあたることもできますが,例えば午前中の外来3時間に30名もの患者を受け持てば,単純計算して患者1人に割り当てることのできる時間はわずか6分です.そのような短時間に,問診,検査,診断,治療,患者への説明などをすべて網羅するのは,かなり難しい作業となります.しかも1人の患者に複数の外来担当医師が関与するような場合には,主治医が不明確となってしまい,少数ながらも存在する要注意患者を見落とすようなことにつながりかねません.
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