総合診療 28巻7号 (2018年7月)

特集 この薬だけは押さえておきたい! 総合診療医のためのSpecialist Drug 40

藤沼 康樹
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ヘルスケアシステムの変化により、これまでは「入院」あるいは「病院専門外来」で治療されていた疾患や病態を、総合診療医が外来や在宅で“継続治療”するケースが徐々に増えている。また、「病院専門外来」における専門的治療を継続しつつ、プライマリ・ケア外来で“shared care”を行う場面も急増しつつある。そのため、従来は病院ベースの専門医が処方していた薬剤「Specialist Drug」に、総合診療医が関わる状況が生まれている。そこで本特集では、私自身が出会ったSpecialist Drugで印象に残ったものを列挙してみた。自分では処方開始しない薬ばかりではないが、総合診療医の生涯学習の1コンテンツとしていただけたなら嬉しく思う。

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実践的な薬物治療学=「臨床薬理学」のススメ

 「臨床薬理学」の講座はほとんどの医学部には存在しないので、たいていの医師や医学生にとっては“薬理のようなもの”かもしれない。実はぜんぜん違っていて、薬物治療全般に関して、処方する医師が知っておくべき理論であり感覚であり、きわめて実践的な「治療学」である。

 臨床薬理学という名称は比較的新しいが、欧州では「Materia Medica」の名で数百年前から存在した。筆者は、もともと大学病院の内科で学んだが、診断や治療は横断的に学ばないと役に立たないと感じ、さらに研修医の時、薬剤の理論的な選択や用量設定について、当時は参考となる文献も少なく困っていた際、臨床薬理の教科書に出会い勉強を始めた。

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 総合診療医の“自家薬籠”1)には入っていない、専門医が使いこなしている薬剤を「Specialist Drug」と呼ぶことにしています。主として、次の2つのタイプの薬剤です。

❶専門科とのshared careにおいて処方されている薬剤(専門医から「日常的なフォローアップをお願いします」となりやすい疾患群の薬)

❷専門科からの逆紹介で目にしたり、自分で継続処方する薬剤(専門医から「落ち着いたので、そちら〔外来・在宅〕で診てください」となりやすい疾患群の薬)

専門医から「日常的なフォローアップをお願いします」となりやすい疾患群の薬

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ホルモン受容体陽性乳がんに使用される内分泌(ホルモン)療法薬の一種。閉経状態にかかわらず使用できる薬剤で、SERM(選択的エストロゲン受容体モジュレーター)に分類される。術後補助療法および転移・再発乳がんに使用される。

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ホルモン受容体陽性乳がんに使用される内分泌(ホルモン)療法薬の一種。アロマターゼ阻害薬であり、閉経後患者の術後補助療法・転移もしくは再発時に使用される。LH-RH(黄体形成ホルモン放出ホルモン)アゴニストと併用して、閉経前転移・再発患者に使用することもある。

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LH-RH(高活性の黄体形成ホルモン放出ホルモン)誘導体であるリュープロレリン酢酸塩の注射用徐放性マイクロカプセルのキット製剤である。LH-RHと比較して、LH-RHレセプターに対する親和性が高い徐放性製剤であるため、精巣の反応性低下をもたらし、下垂体-性腺機能抑制作用を示す。

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5-FU(フルオロウラシル)のプロドラッグの「テガフール」に、5-FUの分解阻害薬「ギメラシル」とリン酸化阻害薬「オテラシルカリウム」を配合したフッ化ピリミジン系の経口抗がん剤。

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2014年に承認された、わが国初のがん免疫療法薬。「免疫療法はがんに効かない」という常識に風穴を開けたブレイクスルー薬。腫瘍(PD-L1)とTリンパ球(PD-1)が反応すると、T細胞の免疫反応が抑制される機構をブロックすることで作用を発揮する「免疫チェックポイント阻害薬」の1つ(本剤は抗PD-1抗体)。免疫関連副作用(irAE)に注意を要する。適応疾患は新たな試験結果にて順次拡大中。

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核酸合成を阻害することで作用を発揮する、「殺細胞薬」といわれる通常の抗がん剤の一種。膵がんのみならず、幅広い適応疾患をもつ。主な副作用は「骨髄抑制」「間質性肺炎」「肝障害」だが、他にどのような副作用が出現してもおかしくない。「脱毛」が少ないことが特徴。

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「VEGF(血管内皮増殖因子)」という血管新生に関わる受容体のチロシンキナーゼを阻害する分子標的薬(チロシンキナーゼ阻害薬)。根治切除不能または転移性の腎がんの第一選択薬。VEGF阻害薬には「VEGF class effect」と呼ばれる一連の副作用があり、迅速な対応が必要。

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造血幹細胞移植以外では長期生存できなかった慢性骨髄性白血病(CML)を、内服のみで長期生存可能としたCMLの第一選択薬で、チロシンキナーゼ阻害薬(TKI)[O'Brien SG, et al:N Engl J Med, 2003]1)。効果があるかぎり終生服用し続ける薬剤であることから、内服状況と副作用の確認がプライマリ・ケアの役割となる。

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内服型デスモプレシン酢酸塩水和物。バソプレシンV2受容体に選択的に結合し、水の再吸収を促進し、尿産生を抑制する。プライマリ・ケア領域では就寝前投与により、尿浸透圧低下型(いわゆる多尿型)夜尿症に使用する。口腔内崩壊錠で、従来の経鼻スプレーに比べて投与しやすく、鼻粘膜の状況の影響を受けにくい。

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関節リウマチ診療において最も頻用されるアンカードラッグである。耐用性が良く、生物学的製剤との併用で使用される場合も多い。一方、週1〜3回という用法、副作用予防の葉酸内服などはユニークな点であり、頻度は低いが間質性肺炎、骨髄抑制などの副作用もあるため、特殊性を熟知したうえで処方する必要がある。

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関節リウマチの治療に用いられるTNF(腫瘍壊死因子)阻害薬の一種。ヒト型IgG1モノクローナル抗体製剤であり、4週間に1回投与で奏効する。診断早期の寛解導入には効果の立ち上がりが遅くやや不向きだが、免疫原性が低く二次無効が起こりにくい利点がある。2018年4月より「自己注射」が解禁となった。

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主に統合失調症の治療薬で、主にドパミン受容体に作用する非定型(第二世代)抗精神病薬である。ドパミン受容体を適度に(60〜80%)遮断する他の非定型抗精神病薬と違い、ドパミン受容体を部分的に刺激する、特徴的な作用機序をもつ。

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双極性障害の治療においては、抗うつ・抗躁のどちらの相でも、治療効果のエビデンスは最多。古くからあるシンプルな構造ながら、再評価されている薬剤である。反面、要注意な副作用も最多。

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てんかんの発作型スペクトラムは広いが、主に「部分発作」に使用する薬剤。効果はかなり高いが、他の抗てんかん薬と異なる副作用があり注意を要する。「抗Parkinson病薬」としての役割もある。

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持続的ドパミン受容体刺激理論(CDS)に基づき、レボドパやドパミンアゴニストを脳内で一定になるように投与することがドパミン補充療法の基本で、これにより長期経過後に出現する運動合併症の予防と精神症状などの非運動症状を最少化できる。経皮投与はCDSに最適であり、本剤はその唯一の貼付剤。

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抗HIV療法(ART)のキードラッグとして使われるインテグラーゼ阻害薬(INSTI)のうち、最も頻用される薬剤の1つ。早期に診断されARTによりウイルス量が抑制されているHIV感染者は生命予後良好で、「早期診断」と「安定期の併存疾患管理」が総合診療医の最も重要な役割である。

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多剤併用を原則とする抗HIV療法(ART)のバックボーンを構成する2成分として、最も頻用される組み合わせの合剤である。B型肝炎ウイルス(HBV)抑制効果もあるため、「HIV/HBV重複感染症例」における第一選択である。この場合、デシコビ®の中断によるHBV再燃に注意を要する。

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同成分のサンディミュン®の吸収性を改良した、T細胞性機能を広範囲に抑える免疫抑制剤(カルシニューリン阻害薬)。皮膚科領域では、中等症以上あるいは難治性の乾癬と、難治性のアトピー性皮膚炎に保険適応がある。使用期間と併用薬に注意する。

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急性閉塞隅角緑内障発作などの緊急時や、末期緑内障の手術待機時など、限られた場合にのみ眼圧下降目的で使用する。緑内障は「点眼薬」による治療が主体であり、アセタゾラミドを長期に内服することは稀である(長期投与服用による副作用リスクが高い)。

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C型肝炎ウイルス(HCV)のNS5A複製複合体の形成を阻害する、直接型抗ウイルス薬(direct acting antivirals : DAAs)の1つ。従来のC型肝炎治療はインターフェロン(IFN)の併用が必須で副作用が多く入院を要したが、2014年に「ダクラタスビル・アスナプレビル併用療法」が国内初のIFNフリー療法として認可された。

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抗HCV作用をもつDAASで、NS3/4A領域をターゲットとしたプロテアーゼ阻害薬である。ダクラタスビルとの併用療法は2014年に国内初のIFNフリー療法として「ゲノタイプ1」を対象に認可されたが、中等度〜高度の「肝障害」が時にみられ、非治癒例で「アミノ酸耐性変異」が出現することから、近年は新規プロテアーゼ阻害薬が使用されるようになってきている。

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C型肝炎の治療に用いられる直接型抗ウイルス薬(direct acting antivirals : DAAs)の1つで、核酸型NS5Bポリメラーゼ阻害薬に分類される。レジパスビルと併用すること(ハーボニー®配合錠)で、「ゲノタイプ1」に対しては耐性遺伝子変異によらず高い有効性を示し、12週間で治療を完遂できる。2018年には、「ゲノタイプ2」に対してもハーボニー®配合錠の適応が確定された。

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B型肝炎ウイルス(HBV)感染に用いられる最も代表的な核酸アナログ製剤で、肝炎の活動性と線維化進展を抑制し、肝硬変・肝細胞がんの発生を減らすことができる。一方で、HBVは感染が一度成立すると肝細胞の核内に鋳型となるcccDNA(covalently closed circular DNA)として存在し、感染が持続するにつれその量が増大するため、核酸アナログ製剤の投与で完全に駆除されることはなく、「投与中止」による再燃が問題となる。

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ホルモン補充療法に用いる代表的な経口エストロゲン製剤。ホットフラッシュをはじめとする更年期障害の治療、または無月経の女性や閉経後女性のヘルスメンテナンス(主に骨塩量維持)の目的で用いる。

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2008年に発売開始された抗線維化薬で、特発性肺線維症の肺活量低下を抑制する効果がある。2015年に改訂された特発性肺線維症の治療ガイドライン1)では、「条件に応じて推奨する」治療として位置づけられている。プライマリ・ケアにおいては、病状進行を抑えるための日常生活管理が重要である。

専門医から「落ち着いたので、そちら(外来・在宅)で診てください」となりやすい疾患群の薬

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P2Y12受容体阻害薬として、主に虚血性心疾患の二次予防および冠動脈ステント血栓予防に用いられる。従来のクロピドグレルより効果発現が早く、日本では出血が多くないとのエビデンスから、安定冠動脈疾患患者において、DES(薬剤溶出性ステント)留置を含むPCI(経皮的冠動脈形成術)後にも用いられてきている。

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Xa因子を選択的に阻害するNOAC(非ビタミン拮抗経口抗凝固薬)。高齢者/腎機能低下者でワルファリンより出血が少ないことから、高リスク例によく使われる。とはいえ、出血リスクが大きいことに変わりはなく、また他のNOAC同様に高価であり、適応決定と管理には十分な注意が必要である。

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アルギニンバソプレシンV2受容体を阻害する経口利尿薬。2017年改訂の日本循環器学会・日本心不全学会合同『急性・慢性心不全診療ガイドライン』1)に初めて記載された。他の利尿薬に抵抗性の心不全症例に使用される。難治性心不全、特に低ナトリウム性心不全患者がよい対象と考えられている。

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重篤な心室頻拍(VT)・心室細動(VF)・心不全または肥大型心筋症に伴う心房細動(AF)に使用する抗不整脈薬。多彩な分子標的(Naチャネル、Caチャネル、Kチャネル、Na/K-ATPアーゼ、β受容体など)をもつ。代謝産物(デスエチルアミオダロン)も同様に作用する。副作用として、重篤な肺毒性がある。

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尿糖排泄を促すことで血糖を下げ、「体重減少」も期待できるSGLT2阻害薬。尿糖増加による浸透圧利尿で「脱水」になりやすいので注意。本剤およびカナグリフロジンで、心血管リスクの高い2型糖尿病患者において、心血管イベント・腎症発症進展抑制効果があることが報告された1, 2)

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経口のDPP-4阻害薬と同様、インクレチン効果による血糖降下作用のあるGLP-1受容体作動薬。GLP-1アナログを1日1回自己注射することにより、薬理的濃度のGLP-1作用(インスリン分泌促進、グルカゴン分泌抑制、食欲抑制効果)をもたらす。低血糖や体重増加なく、DPP-4阻害薬以上の血糖低下作用および体重減少を期待できる。

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「結核」「非結核性抗酸菌症」治療のキードラッグ。プライマリ・ケアセッティングで処方を開始するより、結核/非結核性抗酸菌症を疑って救急や呼吸器内科に紹介し「診断を受けたあとの処方を継続する」というシチュエーションが多い。長期の処方になるため、「内服状況」と「副作用」の確認がプライマリ・ケアの役割となる。

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結核の標準治療薬の1つであり、「潜在性結核感染症(LTBI)」に対しても第一選択として用いられることが多い。プライマリ・ケアにおいては、他の抗結核薬と同様に「診断を受けたあとの処方を継続する」というシチュエーションが多い。

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結核の標準治療薬の1つであり、日本においてはリファンピシン、イソニアジド、エタンブトール(もしくはストレプトマイシン)の3剤とともに「4剤」で2カ月間治療し、その後リファンピシンとイソニアジドの2剤で4カ月継続する治療が第一選択とされることが多い。プライマリ・ケアにおいては、他の抗結核薬と同様に「診断を受けたあとの処方を継続する」というシチュエーションが多い。

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結核の標準治療薬の1つであり、日本においてはリファンピシン、イソニアジド、ピラジナミドの3剤に、本剤(もしくはストレプトマイシン)を加えた「4剤」を2カ月間使用し、その後リファンピシンとイソニアジドを4カ月間使用する方法が第一選択となっている。プライマリ・ケアにおいては、他の抗結核薬と同様に「診断を受けたあとの処方を継続する」というシチュエーションが多い。

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副甲状腺ホルモンのアミノ酸配列の一部を製剤化したもの。ビスホスホネート製剤が使用できない場合や効果に乏しい場合の切り札として使われる。また、ステロイド骨粗鬆症で椎体骨折を起こした場合も良い適応である。1日1回の自己注射剤(最大2年間まで)。

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エリスロポエチン製剤を総称して赤血球造血刺激因子製剤(ESA)と呼ぶが、慢性腎臓病(CKD)の診療のうえでは使い慣れてほしい薬剤である。緩徐に進行する貧血は症状が乏しく放置されやすいが、腎予後改善効果が示されており積極的に介入したい。本剤は、ESAのなかで作用時間が一番長く、月1回投与で安定して使用が可能。

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ヒト陰茎海綿体のcGMP(環状グアノシン一リン酸)分解酵素であるPDE5の活性を、選択的かつ競合的に阻害し、陰茎海綿体内のcGMP量を増大させる。増大したcGMPは、海綿体平滑筋を弛緩、海綿体洞を拡張させ、血液を陰茎に流入、伸展した陰茎白膜により流入静脈が圧迫されることで勃起を維持させる。

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世界で初めて5種類の微量元素を配合した高カロリー輸液。「ブドウ糖」「電解質」「アミノ酸」「ビタミン」「微量元素」が一剤化されているため、ビタミンや微量元素の投与忘れ、混合調製時の細菌汚染などのリスクを軽減できる。簡易なキット製剤のため、入院治療だけでなく「在宅中心静脈栄養」にも適している。

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脊髄小脳変性症における「運動失調」の改善に使用する。甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン誘導体であり、アセチルコリン、ドパミン、ノルアドレナリンおよびセロトニン神経系を活性化させるとともに、脊髄反射増強作用、神経栄養因子様作用、局所グルコース代謝促進作用により、運動失調を改善するとされる。

【トピックス】

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 総合診療医や家庭医にとって今後の重要な課題の1つは、分子標的治療をはじめとしたがん治療の進歩で、長期生存が可能になったがん患者のケアであろう。これは、術後合併症や、放射線や従来の抗がん剤の長期的な毒性への対応、分子標的治療を受けている患者のshared care、あるいは治療終了後のreferred careにおける毒性発現の診断、心血管イベント予防、がんサバイバーシップへの関与と多岐にわたる。本稿では、「分子標的薬」に関連する副作用に焦点を当てた。

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 日本では、オーファンドラッグ(orphan drug)は「希少疾病用医薬品」と呼ばれている。筆者は、10年前にこの臨床研究の一部をお手伝いした経験があり、また日常でも薬剤師としてその調剤・服薬支援に関わった経験から、私見ではあるが書きつづってみたい。

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処方カスケードとは

 薬物有害反応によりもたらされた身体症状が「新たな医学的プロブレム」と誤認されてしまい、その治療のために他の薬剤が追加で処方されることがあります1)

 たとえば、アムロジピンの薬物有害反応として下肢浮腫があげられますが、この浮腫がアムロジピンによるものと認識されずに、利尿薬が追加投与されてしまう、というような状況です。また、追加投与された利尿薬が頻尿症状をもたらし、さらに抗コリン薬の追加投与につながってしまうこともあるでしょう。

知っておきたいエビデンス一覧
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本欄は、p.904〜944の各薬剤における「知っておきたいエビデンス」他の文献情報を一覧化したものです。(以下、URLはすべて2018年6月11日現在)

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本問題集は、今月の特集のご執筆者に、執筆テーマに関連して「総合診療専門医なら知っておいてほしい!」「自分ならこんな試験問題をつくりたい!」という内容を自由に作成していただいたものです。力試し問題に、チャレンジしてみてください。

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 さまざまなタイプの総合診療系の教育イベントに呼ばれる機会があります。かつては、講演あるいはレクチャーといったやり方を期待されていました。最近は、むしろ具体的なケースを提示してもらって、議論の促しとコメントをつける、というようなやり方が好きです。それは、準備をほとんどせずに済むということと、当日ケースを提示してくれる医師をはじめとした医療者の語りのニュアンスや雰囲気から、本当のニーズがわかるということが多く、アドリブ的にそのニーズに合わせたコメントをするのが実はとても大事だな、という思いがあるからです。

 それでも僕なりの一定のやり方があって、今回はそれを紹介します。

What's your diagnosis?[187]

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病歴

患者:狭心症や陳旧性脳梗塞の既往があるものの、IADL(instrumental activities of daily living)まで自立した、70歳の非喫煙・非飲酒男性。

主訴:嗄声。

現病歴:来院約1カ月前に発熱と咽頭痛があり、近医で風邪として対処(詳細不明)されて4日程でそれらは改善した。来院14日前から嗄声が出現し、軽度のむせ込みや右耳痛も加わったため、近医耳鼻科を受診して喉頭ファイバーを受けたところ、「右声帯の動きが悪い」と言われ、メチルコバラミンが処方された。しかし2週間経過しても嗄声とむせ込みは改善しなかったため、精査目的で当科に紹介となった。発熱、盗汗、食思不振、体重減少、咳・痰、呼吸苦、頭痛、複視、構音障害、めまい・難聴、味覚障害、筋力低下、感覚障害はない。

既往歴:陳旧性脳梗塞(67歳、後遺症なし)、狭心症(67歳、PCI[経皮的冠動脈形成術]後)、高血圧症、脂質異常症、慢性便秘症。薬物・食物アレルギーはない。

薬剤歴:アスピリン、ランソプラゾール、アムロジピン、エナラプリル、アトルバスタチン、モサプリド、酸化マグネシウム、センノシド、メチルコバラミン。

もやもや処方の処方箋・4

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今月の処方箋

•ヘルベッサー®Rカプセル(ジルチアゼム塩酸塩徐放カプセル)200mg

 1回1カプセル 1日1回 朝食後

•プラビックス®(クロピドグレル)75mg

 1回1錠 1日1回 朝食後

•クレストール®(ロスバスタチン)2.5mg

 1回1錠 1日1回 朝食後

•タケプロン®OD(ランソプラゾール腸溶錠)15mg

 1回1錠 1日1回 朝食後

•ハーフジゴキシン®KY(ジゴキシン)0.125mg

 1回1錠 1日1回 朝食後

•エクア®(ビルダグリプチン)50mg

 1回1錠 1日2回 朝夕食後

•ペルサンチン®(ジピリダモール)25mg

 1回1錠 1日2回 朝夕食後

•アイトロール®(硝酸イソソルビド)20mg

 1回1錠 1日2回 朝夕食後

•アマリール®(グリメピリド)1mg

 1回1錠 1日2回 朝夕食後

•ビオフェルミン®(ビフィズス菌製剤)

 1回1錠 1日3回 毎食後

•マーズレン®S配合顆粒(アズレンスルホン酸ナトリウム水和物・L-グルタミン)

 1回0.67g 1日3回 毎食後

ジェネラリスト漢方Basics|東西2つの視点でアプローチ・7

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 漢方薬を活用するにあたっては、❶漢方の効きやすい適応疾患を選択すること、❷副反応や使用上の留意点を学ぶこと、❸病名や症状に対応した処方のレパートリーを増やすこと1)、❹漢方医学的視点を勉強して応用能力を高めること、の順で進めるのがよいと思う。今回から、❹の漢方医学的視点を深めていきたい。

 前回は「気・血・水がバランス良く混ざり合って、全身を上から下へ、中枢から末梢へ穏やかに回っている状態が、健康状態である」ことをお伝えした。今回からは気・血・水それぞれの異常を詳細にみていきたい。今月は、機能しない水が停滞して生じるとされる「水毒」について考える。

 ところで皆さん、「ふりけを病む」という言葉をご存知ですか?

診察で使える!|急性期Point-of-Care超音波ベーシックス・16

心原性肺水腫を疑った時 亀田 徹
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はじめに

Bラインというアーチファクト

 今回は、胸膜ラインから深部に伸びる線状アーチファクト「Bライン」を用いた心原性肺水腫の超音波診断について取り上げます。Bラインの臨床応用は、主にPoint-of-Care超音波を扱う救急・集中治療領域で進められてきました。

 心原性肺水腫は、病歴と身体所見で診断可能なことが多いですが、時に他の疾患との鑑別に難渋することがあります。X線はルーチンで施行されますが、約20%は受診時のX線で肺胞性浮腫像、肺血管のうっ血像、間質性浮腫像を認めず1)、胸部X線の各所見の感度は低いとされています。一方、Bラインによる心原性肺水腫の評価は習得が容易で2〜5)、診察の一環としての活用が期待されています。

 心原性肺水腫では、肺胞周囲の狭義間質、気管支血管周囲や臓側胸膜に連続する小葉間隔壁を含む広義間質に液体が貯留し、病態が進行すると肺胞内に液体が貯留します6, 7)。心原性肺水腫においてBライン発生のメカニズムは解明されていませんが、小葉間隔壁と肺胞内に液体が貯留することで顕在化すると推測されています8, 9)

*本論文中、[▶動画]マークにつきましては、関連する動画を見ることができます(公開期間:2020年6月30日まで)。

I LOVE Urinalysis|シンプルだけどディープな尿検査の世界・16

尿中ナトリウム 上田 剛士
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Case

患者:71歳、女性。

病歴:食欲低下で受診。既往に高血圧、心不全があり、利尿薬を服用している。

血圧142/86mmHg、脈拍数88回/分。

身体所見上は体液量に過不足はない。

BUN 26mg/dL

Cr 1.1mg/dL

尿酸 5.8mEq/L

Na 128mEq/L

K 3.1mEq/L

血清浸透圧 271mOsm/kg

尿比重 1.012

尿Cr 39mg/dL

尿Na 50mEq/L

尿尿酸 18.1mg/dL

オール沖縄!カンファレンス|レジデントの対応と指導医の考えVer.2.0・19

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CASE

患者:57歳、男性。

主訴:頭痛。

現病歴:入院する5日前から、左眼と左眼奥の部位の頭痛を自覚している。頭痛は徐々に出現しており、突発発症ではない。頭痛の性状は鈍痛であり、拍動性ではなかった。頭痛の程度は「人生で一番痛い」ほどではないが、これまでとは異なる痛みだった。症状の経過は徐々に増悪傾向であった。随伴症状として、嘔気と複視を伴った。光過敏や音過敏は認めなかった。入院3日前に近医を受診し、頭部CTを撮影し、頭蓋内疾患は指摘されなかったが、症状の軽快をみないため、当院を受診した。経過中の発熱や鼻汁、意識障害、顎跛行は認めなかった。

既往歴:片頭痛、左視床出血、心筋梗塞。アレルギーはない。

内服薬:ピタバスタチン4mg、アスピリン100mg、ボノプラザン10mg、カンデサルタン2mg、プラスグレル3.75mg、エドキサバン60mg、カルベジロール1.25mg。

家族歴:父親が高血圧。

生活歴:ADL(activities of daily living)は自立。

嗜好歴:喫煙は6年前まで、10本/日×28年間。飲酒なし。

来院時身体所見:血圧 151/101mmHg、脈拍数54回/分、呼吸数18回/分、体温35.6℃、SpO2 97%(室内気)。

全身状態:疼痛強く活気低下。GCS(Glasgow Coma Scale)はE4V5M6。左眼球結膜に充血あり。黄疸なし。咽頭発赤はなく、口腔内衛生環境は保たれている。髄膜刺激症状はなし。

胸部:心音は整・心雑音なし。呼吸音は清・左右差なし。

腹部:平坦で軟、腸蠕動音は正常、圧痛なし。下腿浮腫なし。

神経所見:視野異常はなし、左眼瞼下垂あり。瞳孔径は右2mm、左3mm。左眼の散瞳を認め、対光反射は緩慢だった。左眼の内転、外転障害を認める(図1)。

脳神経所見:異常は認めず。

四肢:体幹の筋力低下を認めず。四肢腱反射も正常で、病的反射は陰性であった。

来院時検査所見:

●血算:WBC 6,100/μL、RBC 416×104/μL、Hb 13.5g/dL、 Hct 39.8%、Plt 18.1×104/μL。

●生化学: Na 140mEq/L、K 4.3mEq/L、BUN 18mg/dL、Cr 0.82mg/dL、AST 18IU/L、ALT 19IU/L、LDH 228IU/L、RF 2.6IU/L、C3 108mg/dL、C4 18mg/dL、CRP 0.02mg/dL、ESR 2mm/hr。

●頭部CT:明らかな異常所見なし。

みるトレ Special・19

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患者:39歳、男性。医師。妻・子ども2人と4人暮らし。

主訴:右上眼瞼の違和感。

既往歴:特記すべきことなし。

薬剤歴:サプリメント・漢方・健康食品含めてなし。

現病歴:3日前は当直で忙しかった。1日前から右眼の違和感を自覚した。当日、右眼の開けづらさとじんわりした疼痛を自覚したため、隣の机の医師に相談した。自覚できる視野異常や羞明、霧視などは認めない。

身体所見:血圧126/78mmHg、脈拍数64回/分、体温36.3℃、呼吸数10回/分、SpO2 98%(室内気)。右上眼瞼に発赤・腫脹があるが(図1)、自覚的にも他覚的にも明らかな視野異常なし。その他、頭頸部・胸腹部・四肢に明らかな異常所見なし。

検査所見:擦過グラム染色所見(図2)。

国試にたずねよ・19

狐の手袋 山中 克郎
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 社会を震撼させた「和歌山カレー事件」が起こったのは、今からちょうど20年前の7月であった。医師であり作家の帚木蓬生が書いた『悲素』1)に事件の背景が詳細に語られている。ヒ素による毒殺には、長い歴史があることを知った。知識や経験がない疾患の診断は難しい。

 薬物の「効用」と「中毒」の境界は必ずしも明確ではない。朝起きてすぐにコーヒー豆を挽き、コーヒーをいれるのが日課になっている。コーヒーは1日5杯くらい飲むことが多いので、“カフェイン中毒”になっているのかもしれない。しかし、香りよいコーヒーを飲むとスッキリ目が覚め、勉強モードに切り替わる。

総合診療専門医(仮)セルフトレーニング問題・16

頭痛を訴える32歳女性 北村 大
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セッティング

あなたは約100床の病院で、日中の一般内科外来を担当している。

55歳からの家庭医療|明日から地域で働く技術とエビデンス・19

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 前回まで、家庭医療における「臨床的方法」に関して考察を続けてきました。そして、その目指すところは、家庭医が地域基盤型プライマリ・ケア担当ジェネラリストだとした時に、ジェネラリストならではの「卓越性(expertise)」を明らかにすることにありました。

こんなときオスラー|超訳『平静の心』・19

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◦“パン種”とは?

 “パン種”とはパン生地を膨らませるもので、通常イースト(酵母)が使われる。変化をもたらすもの、活性化するもの、影響を与えるもののたとえとして、オスラー先生は新約聖書から好んで引用していた。マタイの福音書には、「天国はパン種のようなものである」「あなたがたは、少しのパン種が粉のかたまり全体を膨らませることを、知らないのか」とある。

#総合診療

#今月の特集関連本

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#今月の連載関連本

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#医学書院の新刊

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 まず、本書を読む前の評者の気持ちを吐露しよう。1つは、私は大学教員の経験がなく学生に臨床を教えたことがないため、それを岩田先生がどのように実践されているのか知ることができるという“期待と喜び”である。他大学・他機関の講義がそのまま聴けるというのは、本当においしい。2つ目は、評者自身が「グループ学習」が非常に苦手であり、正直に言えば“いぶかしい気持ち”である。「さあ、隣の人と考えてみましょう!」という、声高でキラキラした笑顔のリーダーの呼びかけが本当に嫌いだからだ。最後に、4月の中頃に手にした本書、正直言うと多忙であり「(書評のためとはいえ)せっかく読むのだから、役に立つといいな」という“浅ましい気持ち”。以上、3つの気持ちである。

 そして読了後、これらの3つの気持ちはすべて裏切られた。書評の途中で恐縮だが、こういう書籍こそ読むべきである。何の裏切りもない本や、期待どおりの本などは、読む必要がない。

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 本書の著者の村上純子先生は、「臨床検査値のウラとオモテ」を理解する数少ない“真の臨床検査専門医”の1人であり、検査値のもつ深い意味を読み解くことのできる専門医です。

 RCPC(Reversed Clinico-Pathological Conference)は、1965年に日本臨床病理学会(現・日本臨床検査医学会)関東支部例会で初めて企画され、その時の演者のお1人である河合忠先生(元・日本臨床病理学会会長)が1967年から日本大学医学部臨床病理学教室(現・臨床検査医学)での卒前教育に導入されたのが先駆けです。村上先生はその教室に在籍し、RCPCのノウハウを修得するとともに、この素晴らしい教育技法を全国に普及させたお1人です。

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目次

『総合診療』編集方針
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 1991年に創刊した弊誌は、2015年に『JIM』より『総合診療』に誌名を変更いたしました。その後も高齢化はさらに進み、社会構造や価値観、さらなる科学技術の進歩など、日本の医療を取り巻く状況は刻々と変化し続けています。地域医療の真価が問われ、ジェネラルに診ることがいっそう求められる時代となり、ますます「総合診療」への期待が高まってきました。これまで以上に多岐にわたる知識・技術、そして思想・価値観の共有が必要とされています。そこで弊誌は、さらなる誌面の充実を図るべく、2017年にリニューアルをいたしました。本誌は、今後も下記の「編集方針」のもと、既存の価値にとらわれることなく、また診療現場からの要請に応え、読者ならびに執筆者のみなさまとともに、日本の総合診療の新たな未来を切り拓いていく所存です。

2018年1月  『総合診療』編集委員会

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基本情報

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総合診療
28巻7号 (2018年7月)
電子版ISSN:2188-806X 印刷版ISSN:2188-8051 医学書院

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