診察で使える!|急性期Point-of-Care超音波ベーシックス・16
心原性肺水腫を疑った時
亀田 徹
1
1安曇野赤十字病院救急科
pp.979-983
発行日 2018年7月15日
Published Date 2018/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1429201611
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はじめに
Bラインというアーチファクト
今回は、胸膜ラインから深部に伸びる線状アーチファクト「Bライン」を用いた心原性肺水腫の超音波診断について取り上げます。Bラインの臨床応用は、主にPoint-of-Care超音波を扱う救急・集中治療領域で進められてきました。
心原性肺水腫は、病歴と身体所見で診断可能なことが多いですが、時に他の疾患との鑑別に難渋することがあります。X線はルーチンで施行されますが、約20%は受診時のX線で肺胞性浮腫像、肺血管のうっ血像、間質性浮腫像を認めず1)、胸部X線の各所見の感度は低いとされています。一方、Bラインによる心原性肺水腫の評価は習得が容易で2〜5)、診察の一環としての活用が期待されています。
心原性肺水腫では、肺胞周囲の狭義間質、気管支血管周囲や臓側胸膜に連続する小葉間隔壁を含む広義間質に液体が貯留し、病態が進行すると肺胞内に液体が貯留します6, 7)。心原性肺水腫においてBライン発生のメカニズムは解明されていませんが、小葉間隔壁と肺胞内に液体が貯留することで顕在化すると推測されています8, 9)。
*本論文中、[▶動画]マークにつきましては、関連する動画を見ることができます(公開期間:2020年6月30日まで)。
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