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CASE
患者:57歳、男性。
主訴:頭痛。
現病歴:入院する5日前から、左眼と左眼奥の部位の頭痛を自覚している。頭痛は徐々に出現しており、突発発症ではない。頭痛の性状は鈍痛であり、拍動性ではなかった。頭痛の程度は「人生で一番痛い」ほどではないが、これまでとは異なる痛みだった。症状の経過は徐々に増悪傾向であった。随伴症状として、嘔気と複視を伴った。光過敏や音過敏は認めなかった。入院3日前に近医を受診し、頭部CTを撮影し、頭蓋内疾患は指摘されなかったが、症状の軽快をみないため、当院を受診した。経過中の発熱や鼻汁、意識障害、顎跛行は認めなかった。
既往歴:片頭痛、左視床出血、心筋梗塞。アレルギーはない。
内服薬:ピタバスタチン4mg、アスピリン100mg、ボノプラザン10mg、カンデサルタン2mg、プラスグレル3.75mg、エドキサバン60mg、カルベジロール1.25mg。
家族歴:父親が高血圧。
生活歴:ADL(activities of daily living)は自立。
嗜好歴:喫煙は6年前まで、10本/日×28年間。飲酒なし。
来院時身体所見:血圧 151/101mmHg、脈拍数54回/分、呼吸数18回/分、体温35.6℃、SpO2 97%(室内気)。
全身状態:疼痛強く活気低下。GCS(Glasgow Coma Scale)はE4V5M6。左眼球結膜に充血あり。黄疸なし。咽頭発赤はなく、口腔内衛生環境は保たれている。髄膜刺激症状はなし。
胸部:心音は整・心雑音なし。呼吸音は清・左右差なし。
腹部:平坦で軟、腸蠕動音は正常、圧痛なし。下腿浮腫なし。
神経所見:視野異常はなし、左眼瞼下垂あり。瞳孔径は右2mm、左3mm。左眼の散瞳を認め、対光反射は緩慢だった。左眼の内転、外転障害を認める(図1)。
脳神経所見:異常は認めず。
四肢:体幹の筋力低下を認めず。四肢腱反射も正常で、病的反射は陰性であった。
来院時検査所見:
●血算:WBC 6,100/μL、RBC 416×104/μL、Hb 13.5g/dL、 Hct 39.8%、Plt 18.1×104/μL。
●生化学: Na 140mEq/L、K 4.3mEq/L、BUN 18mg/dL、Cr 0.82mg/dL、AST 18IU/L、ALT 19IU/L、LDH 228IU/L、RF 2.6IU/L、C3 108mg/dL、C4 18mg/dL、CRP 0.02mg/dL、ESR 2mm/hr。
●頭部CT:明らかな異常所見なし。
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