総合診療 28巻6号 (2018年6月)

特集 聴診・触診×エコーで診断推論!—Point-of-Care超音波(POCUS)の底力

亀田 徹
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超音波(エコー)は耳で聞こえない音波を指しますが、その反射をもとに体内が視覚化され、半世紀近くにわたり診療に役立てられてきました。近年では超音波装置はポケットに入る大きさになり、point-of-care ultrasound(POCUS)という概念が広まってきました。検査室での超音波検査は一領域について系統的に走査が行われますが、POCUSでは、病歴と身体所見に基づいた診断推論をもとに、観察部位が絞られます。また、超音波を専門にしない臨床医でも、ベッドサイドで短時間に行える手法であることが望まれます。そのような観点で、POCUSは「診察の一部」としての利用が期待されています。

超音波検査中は、患者との対話を通じて適宜病歴が聴取され、プローブを用いて触診も行われますので、POCUSは診察の一部として、イメージしやすいとも考えられます。

POCUSを診察に組み込む意義としては、❶体内の視覚化を通じて身体所見を補う、❷診断推論がさらに深まる、❸身体所見取得スキルの向上に役立つ、などが挙げられます。

本特集では、聴診・触診とPOCUSとの対比や組み合わせ、POCUSを含めた診断推論を通じて、診療の質向上の可能性をお示ししたいと思います。なお、POCUSが診察の一部になっても、身体所見の重要性に変わりはありません。身体所見と超音波は互いに助け合う!

【総論】

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Point-of-Care超音波(POCUS)の歴史と現状

 2011年に発表された『New England Journal of Medicine』の総説によると、Point-of-Care超音波(point-of-care ultrasound ; POCUS、「ポッカス」と呼ぶ)は、「臨床医がベッドサイドで関心領域を絞って行う超音波」と定義され、検査室で超音波検査士によって行われる超音波と対比されます1)。つまり、日本ではこれまでもPOCUSが行われていたわけで、「なぜ、今になってPOCUSなの?」という声が聞こえてきても不思議ではありません。

 なぜ近年、世界的にPOCUSが注目されるようになったのでしょうか?

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Case1

患者:75歳、女性。

主訴:右顎下部腫脹。

既往歴・家族歴:特記すべきことなし。

喫煙歴・飲酒歴:なし。

現病歴:3カ月ほど前に右顎下部の腫脹に気づいた。その後増大傾向があり、当院を受診した。

身体所見:口腔内・咽頭喉頭・鼻腔を、視診およびファイバースコープで観察したが、異常所見は認めなかった。

触診所見:触診にて右顎下部に腫脹を認めたが、圧痛や自発痛はなかった。顎下部の腫脹が顎下腺実質の変化か、顎下腺内の腫瘍か、顎下腺周囲のリンパ節かを触診で判断することはできなかった。さらに口腔底の双指診を施行したが、舌下小丘、顎下腺管(ワルトン管)付近に硬結や結石などは触知されなかった。

Point-of-Care超音波(POCUS):右顎下部腫脹の原因を調べるために、まずPoint-of-Care超音波検査を施行した。超音波像では、右側の顎下腺がびまん性に腫大し、正常顎下腺に低エコー部分が混在する不均質な内部エコーとなっていた(図1Ⓐ)。唾液腺腫瘍を疑う結節性病変や、顎下腺周囲のリンパ節腫脹は認めなかった。カラードプラでは、右顎下腺内の低エコー部分で血流シグナルがやや目立っていた(図1Ⓑ)。また反対側である左側の顎下腺にも、ごく軽度ではあるが右側と同様の変化を認めた。以上の所見より、IgG4関連疾患を疑い精査を進めたところ、血清IgG 1,810mg/dL(正常870〜1,700)、血清IgG4 212mg/dL(正常4.8〜105)と高値で、組織生検の結果と合わせて「IgG4関連疾患」1)と診断された。

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Case1

患者:70代、男性。

主訴:労作時呼吸困難。

現病歴:最近、労作時の息切れを自覚し、外来を受診。

身体所見:胸部聴診;S1(→)、S2(↓)、S3(—)、S4(+)。胸骨右縁第2肋間を最強点とするLevine Ⅲ/Ⅵ度の収縮期駆出性雑音(動画1)を聴取。両側頸動脈への放散音あり。

Point-of-Care超音波(POCUS):ポータブルエコー装置を用いて、心エコー図検査を施行した。左室壁はびまん性に肥厚しており、肉眼的左室駆出率(visual LVEF)は60%で正常であった。傍胸骨短軸断面では、大動脈弁は3尖で、いずれの弁尖にもエコー輝度上昇および可動性低下を認め、収縮期雑音は大動脈弁狭窄が原因であると考えられた(図1、動画2・3)。

*本論文中、[▶動画]マークにつきましては、関連する動画を見ることができます(公開期間:2020年5月31日まで)。

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Case1

患者:79歳、男性。

主訴:発熱、咳嗽、喀痰。

既往歴:脳梗塞(78歳)。

現病歴:脳梗塞後遺症の診断で、通院中に38.2℃の発熱、咳嗽、膿性痰を自覚。受診当日も38.0℃の発熱が続くため、当院を受診した。家人の話では、食事摂取の際に、たびたびむせ込んでいたという。

身体所見:意識清明。血圧148/84mmHg, 脈拍数92回/分、呼吸数18回/分、体温38.2℃、SpO2 92%(室内気)。胸部聴診では、右下背部で気管支呼吸音と吸気時の湿性の断続性ラ音(pan-inspiratory+crackle)(動画6)を聴取した。

Point-of-Care超音波(POCUS):脳梗塞の既往のある高齢男性で、病歴と身体所見から右肺炎、特に誤嚥性肺炎が疑われた。気管支呼吸音と湿性ラ音が聴取される右下背部を、超音波診断装置で観察した。胸膜直下に呼吸性に頭尾方向に移動する肺内病変を認めた。同病変内には吸気・呼気により増減する多数の点状の高エコーが見られた(図1・動画7)。

*本論文中、[▶動画]マークにつきましては、関連する動画を見ることができます(公開期間:2020年5月31日まで)。

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Case1

患者:86歳、男性。

主訴:発熱、右腹痛。

既往歴:高血圧。

現病歴:受診3日前から胸やけがあり、その後、右腹痛が出現した。受診当日に発熱があり、近医受診後に当院へ紹介となった。

身体所見:意識クリア、血圧158/62mmHg、脈拍数73回/分、呼吸数20回/分、体温38.7℃、SpO2 93%(室内気)。呼吸音・清、腹部は平坦で軟、右季肋部に叩打痛、右上腹部に圧痛あり、Murphy's sign陽性。

Point-of-Care超音波(POCUS):病歴と身体所見より急性胆囊炎が疑われたので、まずポータブル装置で胆囊の観察を行うことにした。右肋骨弓下縁からの観察では、胆囊は短径47mm・長径111mmと腫大、壁は6mm程度に肥厚し、sonolucent layerを認めた(図1ⒶⒷ)。胆囊頸部に結石像を認めたが、嵌頓結石ははっきりしなかった。プローブで胆囊を圧迫すると強い疼痛が誘発され、圧痛は胆囊に限局していた(動画10)。

*本論文中、[▶動画]マークにつきましては、関連する動画を見ることができます(公開期間:2020年5月31日まで)。

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Case1

筋膜性疼痛症候群にhydroreleaseを行った1例

患者:46歳、男性。

主訴:腰痛。

既往症:特になし。

現病歴:受診3日前に冷蔵庫を運んだ。受診2日前に草むしり。受診日朝より右の腰部の痛みが増悪し、体動に制限があり、来院。

身体所見:意識清明、血圧・脈拍数・体温に異常なし。まっすぐ立っていれば歩行可能。右腰部痛のため、体幹屈曲伸展ともに制限あり。下肢のしびれなし、痛みなし。深部腱反射亢進・低下なし。SLR(straight leg raising test)70°で、右腰部に痛み。正中脊椎に圧痛なし、第3腰椎レベルで右側約3cmの部位に圧痛最強点あり。体幹右回旋、伸展にて同部位に痛みの増強あり、さらにその状態で頸部伸展にて痛み増強。

Point-of-Care超音波(POCUS):圧痛部位にプローブを当てると、最長筋であることが確認できる。最長筋内表層から約3cmの深さに、白く重積した組織を認める。同部位に、0.1%キシロカイン10mLで、エコー下トリガーポイント注射(fascia、hydrorelease施行)(図2、3)。直後に腰部伸展、右回旋の痛みは10→1となった。

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Case

患者:47歳、女性。

主訴:手首の痛み、こわばり。

既往歴:特になし。

現病歴:2カ月前より、朝起きた時に右手のこわばり・痛みがあり、その1週間後より左手にも同様の症状が出てきた。

身体所見:両側手関節に軽度の圧痛を認めるが、明らかな腫脹を認めず。他、特記所見なし。

Point-of-Care超音波(POCUS):右橈骨手根関節に中等度の滑膜肥厚を認め、滑膜肥厚に一致するドプラシグナルを認めた(図1)。また、左手にも同様の所見を認めた。超音波実施後に再度触診をすると、両手に皮下軟部組織、伸筋腱の深部の滑膜肥厚が触知された。

血液検査所見:CRP 0.2mg/dL、リウマトイド因子 47 U/L、抗CCP抗体 70U/L。

診断:関節リウマチ。

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Case1

上背部の皮膚腫瘤

患者:52歳、男性。

主訴:上背部の皮膚腫瘤。

現病歴:数年前に上背部の皮膚腫瘤に気づいた。徐々に増大傾向を示し、2カ月前より押されるような感じがある。

身体所見:上背部中央になだらかに隆起した、17mm×11mm×高さ5mm、常色で、表面平滑の腫瘤がある(図1)。中央より右下方の部分に点状の陥凹が1カ所見られる。弾性軟。境界は鮮明。

Point-of-Care超音波(POCUS):背部に17.9mm×17.4mm×7.9mm大の低エコー腫瘤が見られる。最大深度9.8mm。形状は円形で整、境界明瞭、平滑。内部エコーは不均一で、微細な高エコースポットを認める。内部の明らかな血流シグナルはない。後方エコー増強と外側陰影があり、開口部(表層に連続する低エコー)が見られる。高周波プローブを用いると、内部エコーが詳細にわかる(動画14・15)。

*本論文中、[▶動画]マークにつきましては、関連する動画を見ることができます(公開期間:2020年5月31日まで)。

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本問題集は、今月の特集のご執筆者に、執筆テーマに関連して「総合診療専門医なら知っておいてほしい!」「自分ならこんな試験問題をつくりたい!」という内容を自由に作成していただいたものです。力試し問題に、チャレンジしてみてください。

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 何もないところから、いきなりよいアイディアが思い浮かぶことはないといわれています。新しいアイディアは、既存の概念、知識に基づいているはずですし、“組み合わせ”から生まれる場合が多いものです。

 さて、身体所見は、医学の歴史とともにあります。一方で、超音波検査が臨床に本格的に導入されてから、半世紀近くが経過します。身体所見、超音波検査ともに歴史があり、独自に発展していった部分は大きいでしょう(もちろんこの半世紀のなかでは、身体所見の確かさ、そして超音波検査所見の意義を確かめるために、身体所見は超音波検査の力を、超音波検査は身体所見の力を、それぞれ借りることはあったはずです)。

ゲストライブ〜Improvisation〜・9

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 いま、Point-of-Care超音波(POCUS)という概念が普及してきている。検査室では1つの領域について系統的に超音波検査が行われるが、POCUSでは病歴と身体所見による診断推論に基づいて観察部位が絞られる。POCUSは、超音波を専門にしない臨床医が短時間で行える手法であることが望ましく、外来診療の質向上につながることが期待されている。

 今回、ジェネラリストを代表してフィジカルとエビデンスにも秀でる矢吹拓氏と、本特集のゲストエディターである“エコースペシャリスト”亀田徹氏をお迎えして、「POCUSと身体所見」「外来診療中のPOCUS」「POCUSの何をどう学ぶか」などについて語り合っていただいた。

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病歴

患者:60歳、男性。

主訴:両下肢痛。

現病歴:1カ月前に両下肢痛と腰痛が出現した。痛みは徐々に悪化し、両側のふくらはぎが痛くなった。2週間前に痛みが強くなり、当院整形外科を受診。腰椎症が疑われ、腰椎MRIを撮影したところ、第11胸椎に高信号域があったものの、脊髄を圧迫する病変はなかった。足の甲が締めつけられる感じで立っているのがつらく、座っているのもつらい状況になった。また、両側前腕の筋痛と、つっぱるような感じもある。痛くなる前は、週に2回ほどゴルフの練習に行ける状態であった。腰椎の病変だけでは症状の説明がつかないとのことで、整形外科から当科外来にコンサルテーションされた。

職業:営業職。

生活習慣:特記すべきことなし。

嗜好品:喫煙;20歳〜20本/日×約40年(ただし、3カ月前から禁煙)。飲酒;機会飲酒程度。

旅行歴:海外・温泉ともになし。

家族歴:特記すべきことなし。

既往歴:45歳で尿道結石。高血圧・高脂血症・糖尿病なし。

内服薬:ロキソプロフェン(ロキソニン®)。

アレルギー:なし。

みるトレ Special・18

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患者:30代、男性。

主訴:排尿時痛、尿道からの排膿。

現病歴:3日前から、排尿時痛と尿道から黄色の膿が出るようになったため来院した。

社会歴:会社員。毎週のように都内繁華街の風俗店に出かけているとのこと。風俗店の性サービスは、オーラルセックスのみとのことだが、その際にコンドームは使用していない。

既往歴:クラミジア性尿道炎。

身体所見:陰茎をしごいたところ、図1のように尿道から排膿が観察された。

検査所見:尿道分泌物のグラム染色を行ったところ、図2のような所見が得られた。

オール沖縄!カンファレンス|レジデントの対応と指導医の考えVer.2.0・18

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CASE

患者:61歳、男性。

主訴:労作時呼吸困難。

現病歴:1カ月前に咳嗽を伴う上気道症状があったが、自然軽快した。3週間前から咳嗽が再燃し、徐々に労作時呼吸困難が出現した。症状が改善せず仕事も継続困難となったため、当院を受診。経過中に発熱なし、痰なし、体重減少なし、夜間盗汗あり、周囲に同様の症状なし。最近開始された内服薬やサプリメントの摂取なし。

既往歴:高血圧症。

内服薬:ニフェジピン40mg、カンデサルタン2mg。

アレルギー:食事・薬剤ともになし。

家族歴:父;高血圧症、脳梗塞。母;喉頭がん。

生活歴:職業はタクシー運転手。20本/日×20年の喫煙歴あり(40歳で禁煙)。ビール500mL 2本/日、泡盛2合/日の飲酒はあるが、1カ月前から禁酒。

もやもや処方の処方箋・3

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今月の処方箋

B病院呼吸器内科より

•サムチレール内容懸濁液15%(アトバコン)750mg/5mL

 1回2包 1日1回 昼食後

•デノタスチュアブル配合錠(沈降炭酸カルシウム/コレカルシフェロール/炭酸マグネシウム)

 1回3錠 1日1回 朝食後

•トランサミン(トラネキサム酸)250mg

 1回1カプセル 1日3回 毎食後

•セレコックス(セレコキシブ)100mg

 1回2錠 1日2回 朝夕食後

•オパルモン(リマプロスト)5μg

 1回1錠 1日3回 毎食後

•リリカ(プレガバリン)75μg

 1回1錠 1日1回 眠前

•酸化マグネシウム(後発品)330mg

 1回1錠 1日3回 毎食後

•アレロック(オロパタジン)5mg

 1回1錠 1日2回 朝夕食後

•ネキシウム(エソメプラゾール)20mg

 1回1カプセル 1日1回 朝食後

•グリチロン配合錠(グリチルリチン酸)

 1回1錠 1日3回 毎食後

•リンデロン(ベタメタゾン)0.5mg

 1回4錠 1日1回 朝食後

A診療所より(入院前)

•オパルモン(リマプロスト アルファデクス)5μg

 1回1錠 1日3回 毎食後

•リリカ(プレガバリン)75μg

 1回1錠 1日1回 眠前

•ネキシウム(エソメプラゾール)20mg

 1回1錠 1日1回 夕食後

•マグラックス(酸化マグネシウム)500mg

 1回1錠 1日1回 夕食後

I LOVE Urinalysis|シンプルだけどディープな尿検査の世界・15

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Case

患者:31歳、女性。妊娠18週。

妊婦健診で異常は指摘されていない。

過去に妊娠歴なし。頻尿があり、尿検査を行った。

 尿定性

比重 1.010

pH 6.5

蛋白 1+

糖 1+

ケトン体 -

潜血 -

ウロビリノゲン 正常

ビリルビン -

白血球 -

亜硝酸塩 -

診察で使える!|急性期Point-of-Care超音波ベーシックス・15

気胸を疑った時 亀田 徹
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はじめに

呼吸音を視覚で捉えます!

 以前より「超音波は聴診器の代わりになる」と言われてきましたが、“Point of Care”としての活用に注目が集まり、ポケットエコーの登場もあって、現実のものとなりました。聴診器で“音”として捉えられる情報は、超音波を用いれば“視覚”で捉えることができます。

 気胸の超音波診断は、外傷診療の現場で多くの臨床研究が行われ、利用が進みました1)。自然気胸とは異なり、外傷初期診療では仰臥位で胸部X線を施行せざるをえず、X線では気胸が見逃される率が高くなります(occult pneumothorax)。感度が低い仰臥位X線を補う手段として、超音波に注目が集まるようになった訳です。一方、自然気胸の診断では、立位もしくは座位の胸部X線だけで事足りる場合が多いのですが、Point-of-Care超音波の活用が進めば、自然気胸の診断にも役立つ状況が生まれてくるでしょう。特にX線が施行できない院外では、利用価値が高くなります。

*本論文中、[▶動画]マークにつきましては、関連する動画を見ることができます(公開期間:2020年5月31日まで)。

国試にたずねよ・18

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 医師国家試験に合格し、この4月から医師としての第一歩を歩み始めた諸君も多いと思う。人生は楽しいこともたくさんあるが、誰でも失敗は経験する。

 吉野源三郎 著『君たちはどう生きるか』1)は、1937年に出版された古典とも言うべき名作であるが、昨年漫画化されて再び注目されている。このなかに、中学2年生のコペルくんが、不良グループに暴力を受ける親友たちを、勇気がなかったがために助けることができなかった、と悩み苦しむ場面がある。コペルくんは、大好きな叔父さんから忠告を受ける。「コペルくん、勇気を出して、ほかのことを考えないで、いま君のするべきことをするんだ。過去のことは、もう何としても動かすことはできない。それよりか、現在のことを考えるんだ。いま、君としてしなければならないことを、男らしくやってゆくんだ。コペルくん、こんなことでへたばっちまっちゃあダメだよ」と。その後コペルくんは、勇気を振り絞って、友人たちに自分の行いを詫びる手紙を書く。

ジェネラリスト漢方Basics|東西2つの視点でアプローチ・6

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 適切な診察や検査を行ったつもりでも、症状の原因や病態を、生物医学的には説明できないことがある。「重大な疾患の未分化な身体症状をみているのではないか?」「精神疾患の身体症状をみているのでは?」「自分の能力が未熟なため診断ができないのか?」などと不安になり、中腰で耐えることが辛くなる。そのような患者の一部において、漢方的観点から話を聞くことで、「なるほど」と納得ができ、対処法が見つかることがある。

こんなときオスラー|超訳『平静の心』・18

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 オスラー先生は、ジョンズ・ホプキンス大学の教授として新しい医学教育を実践していた50歳(1899年)の時に、母校マギル大学の医学生と教職員のために、特別講演を行っている。この時、オスラー先生はマギル大学で講師だった時代を25年経ってから振り返り、効果的な教育方法、教育理念、望ましい医師像について語った。

 この講演でも文学作品がよく引用され、教養の香りを感じることができる。講演の冒頭は次の言葉で始まる。

55歳からの家庭医療|明日から地域で働く技術とエビデンス・18

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 病いを抱えた「自己/主体」に、家庭医はどう向き合うのか? そのことについては、現在、海外の家庭医療やプライマリ・ケア関連の学会にspecial interest group(SIG)がつくられて検討されています。たとえば、英国の大学における総合診療・家庭医療部門、すなわちacademic GPの学会であるSociety for Academic Primary Careには、「The self in primary care(プライマリ・ケアにおける自己/主体)」というそのものズバリのSIGがありますし、世界最大のプライマリ・ケア研究の学会であるNorth American Primary Care Research Groupには「Advancing Generalist Expertise(ジェネラリストの専門性/卓越性の向上)」という、やはりこの問題に関連の深いSIGが組織されています。

総合診療専門医(仮)セルフトレーニング問題・15

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セッティング

市内にある400床規模の総合病院。休日時間外も含め、緊急検査は画像・血液検査が可能である。あなたは本日の救急車当番として待機していたところ、夕方近くになり、近医から救急患者の受け入れ要請があった。

#総合診療

#今月の特集関連本❶

#今月の特集関連本❷

#今月の特集関連本❸

#今月の特集関連本❹

#今月の特集関連本

#今月の連載関連本

#医学書院の新刊

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 本書を手に取りすぐに目に入るのは、血球細胞の大きくてきれいな写真と、わかりやすく病態を説明するカラーイラストである。たとえば、寒冷凝集素症と温式自己免疫性溶血性貧血の発症機序の違いは、イラストを見ると容易に理解でき、それぞれが血管内溶血と血管外溶血を起こす理由も明らかとなる。そして、続発性免疫性溶血性貧血を起こすSLE(全身性エリテマトーデス)や非Hodgkinリンパ腫、感染症(EBウイルス、パルボウイルスB19、マイコプラズマ)などの基礎疾患を検索することの重要性が説明される。

 「血液内科」は、特殊な領域である。急性白血病に対する化学療法は誰でもすぐに行えるような分野ではなく、抗がん剤の副作用とその対処に関する十分な知識、長年の経験が必要だ。私も、血液内科医として働いた時期がある。極度の免疫不全状態にある造血器腫瘍の患者は、すぐに全身状態が悪化する。専門性が高い疾患を扱うためか、血液内科病棟はやや閉鎖的で他科の医師との交流も少なかった。

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目次

『総合診療』編集方針
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 1991年に創刊した弊誌は、2015年に『JIM』より『総合診療』に誌名を変更いたしました。その後も高齢化はさらに進み、社会構造や価値観、さらなる科学技術の進歩など、日本の医療を取り巻く状況は刻々と変化し続けています。地域医療の真価が問われ、ジェネラルに診ることがいっそう求められる時代となり、ますます「総合診療」への期待が高まってきました。これまで以上に多岐にわたる知識・技術、そして思想・価値観の共有が必要とされています。そこで弊誌は、さらなる誌面の充実を図るべく、2017年にリニューアルをいたしました。本誌は、今後も下記の「編集方針」のもと、既存の価値にとらわれることなく、また診療現場からの要請に応え、読者ならびに執筆者のみなさまとともに、日本の総合診療の新たな未来を切り拓いていく所存です。

2018年1月  『総合診療』編集委員会

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総合診療
28巻6号 (2018年6月)
電子版ISSN:2188-806X 印刷版ISSN:2188-8051 医学書院

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