#総合診療
#書評:よくわかる血液内科
山中 克郎
1
1諏訪中央病院 総合内科
pp.822
発行日 2018年6月15日
Published Date 2018/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1429201538
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本書を手に取りすぐに目に入るのは、血球細胞の大きくてきれいな写真と、わかりやすく病態を説明するカラーイラストである。たとえば、寒冷凝集素症と温式自己免疫性溶血性貧血の発症機序の違いは、イラストを見ると容易に理解でき、それぞれが血管内溶血と血管外溶血を起こす理由も明らかとなる。そして、続発性免疫性溶血性貧血を起こすSLE(全身性エリテマトーデス)や非Hodgkinリンパ腫、感染症(EBウイルス、パルボウイルスB19、マイコプラズマ)などの基礎疾患を検索することの重要性が説明される。
「血液内科」は、特殊な領域である。急性白血病に対する化学療法は誰でもすぐに行えるような分野ではなく、抗がん剤の副作用とその対処に関する十分な知識、長年の経験が必要だ。私も、血液内科医として働いた時期がある。極度の免疫不全状態にある造血器腫瘍の患者は、すぐに全身状態が悪化する。専門性が高い疾患を扱うためか、血液内科病棟はやや閉鎖的で他科の医師との交流も少なかった。
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