看護管理 31巻7号 (2021年7月)

特集 救急外来における非入院帰宅患者への療養支援 日本看護管理学会からの診療報酬における外来看護への評価の提案

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高齢化率の高まりとともに,高齢患者の救急外来受診例,救急搬送例が増加しています。そうした患者に,統合的な療養支援ができれば,救急受診を減らすことが可能になります。

医療機関と地域・在宅の療養を効果的につなぐケアは,患者の療養継続をスムーズにし,特に高齢患者の生活の質の維持を可能にするでしょう。結果として救急搬送や救急外来受診を減らし,医療費の適正化に貢献できます。

日本看護管理学会の「看護の適正評価に関する検討委員会」では,外来を基盤とする看護師による療養支援に対する診療報酬上の評価を目指し,看護系学会等社会保険連合を通じて要望する予定です。本誌ではこのテーマについて特集化し,広く看護管理者に周知するとともに,課題共有の機会とします。

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看護系学会等社会保険連合は,看護系の加盟学会・団体から提出された要望とエビデンスデータを基に,診療報酬・介護報酬改定における看護の適正評価への提言を行う組織である。本稿では,まず事務局を担う筆者の立場から,次期改定への要望や提言を厚生労働省に提出する際の流れを解説する。後半では,2040(令和22)年に向けた全世代型社会保障改革において期待される医療機関の外来機能について解説する。特に本特集でも取り上げる看護師の高い専門性を,外来を基盤にした在宅療養者への支援に活かすことと,そうした活動への診療報酬による評価について述べる。

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救急外来を受診する高齢患者の約半数は入院に至らずに帰宅する患者である。これらの患者が再受診や予定外の入院をすることなく,住み慣れた場所で生活の質を維持しながら療養を継続するためには,初回受診時に帰宅後の生活を見据えた医療機関と地域・在宅での療養をつなぐ統合的な療養生活支援が必要である。

日本看護管理学会では,2022(令和4)年度の診療報酬改定に向けて,「救急外来における非入院帰宅患者に対する看護師による療養支援」への評価を要望する。これは上述の療養生活支援の役割を外来看護師が担うことへの診療報酬上の評価を求めるものである。救急医療の限られた資源を適切に活用することにもつながり,病院経営上,組織運営上の効果も大きいと思われる。

本稿では要望作成に当たった検討委員会の立場から,要望の目的と意義を述べる。

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救急外来を短期間に繰り返し受診する患者の存在は多くの施設で課題となっている。この課題解決に向けて,茨城県立中央病院では,救急外来における非入院帰宅患者への療養支援体制を構築している。具体的には,救急外来を受診した患者の療養支援アセスメントと,非入院帰宅患者の療養支援を担当する「外来療養支援看護師」の配置を行い,患者を地域包括ケアシステムにつなげる取り組みである。この取り組みは,日本看護管理学会から,2022(令和4)年度の診療報酬化に向けて要望を提出する「救急外来における非入院帰宅患者に対する看護師による療養支援」のモデル事例である。

本稿では,これらの取り組みの経緯と,具体的な取り組み事例,その意義を共有し,他施設での活用可能性について考察する。

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ここでは,2022年度の診療報酬改定に向けて,日本看護管理学会が要望を提出する「救急外来における非入院帰宅患者に対する看護師による療養支援」のモデルケースである茨城県立中央病院で「外来療養支援看護師」として実践する橋本泉氏に,活動の実際を伺う。

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前稿のインタビューでは,2022年度の診療報酬改定に向けて,日本看護管理学会が要望を提出する「救急外来における非入院帰宅患者に対する看護師による療養支援体制」のモデルケースである茨城県立中央病院で,「外来療養支援看護師」として実践する橋本泉氏に活動の実際を伺った。本稿では,橋本氏と連携する訪問看護師の海藤佐代子氏に,患者の在宅療養継続を支える協働の実際について伺う。

巻頭シリーズ 【石垣靖子氏 対話シリーズ】看護と倫理 尊厳を護るケアの担い手として・17

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第15回からこの企画のセカンドシリーズとして,主にがん看護/緩和ケアの臨床で看護管理者,あるいは実践家・教育者として,質の高い倫理的な看護・ケアを牽引されてきた皆さまにその哲学を伺っています。

今回は,東札幌病院というホスピス・緩和ケアの臨床現場で,患者さん,ご家族を支える医療チームのメンバーとして長く協働させていただいた医療ソーシャルワーカー,認定医療社会福祉士の田村里子さんにお話を伺います。(石垣靖子)

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高度な認知スキルの発達を支援する「認知的徒弟制」モデルは,新人看護師だけでなく2〜5年目の看護師や看護管理者の育成を進める上で有用なツールになると思われる。そこで,著者らは急性期病院と大学病院の看護部において,認知的徒弟制に基づく指導についての調査を行った。本稿では,その調査結果から明らかとなった,認知的徒弟制に基づく指導の実態,自己成長感に与える影響,そして新人看護師および新任副看護師長への具体的な指導事例について共有し,認知的徒弟制に基づく人材育成の可能性について考察する。

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集団ワクチン接種を安全に

 佼成病院(以下,当院:表1)では,新型コロナウイルス感染症(以下,COVID-19)の拡大に伴い,2020年3月に東京都の感染症診療協力医療機関に登録し,杉並区の要請に応じて発熱外来を開設した。その後,外来診療以外にも,2020年4月から東京都新型コロナウイルス感染症入院重点医療機関として,軽症・中等症患者の入院診療を行っている。

 2021年3月15日からは,国によるCOVID-19ワクチンの医療従事者への先行接種の一環として,職員を対象にしたワクチン接種が始まった。希望する職員(派遣社員・業務委託を含む)850人を2グループに分け,5月14日までに2回の接種を完了した。これにより,現場スタッフがより安全に働くことができ,患者さんの命を守る仕事に一層集中することが可能になった。

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 長野県看護協会(以下,当会)では,看護管理者たちが困難に立ち向かいながらもいきいきと活動するにはどうしたらよいか検討を重ね,「看護管理の創造—マインド・ミッション・アクション」研修(以下,本研修)を企画し,2018〜2020年の3年間にわたって開催した。筆者は,研修担当として企画・運営に関わってきた立場から,以下に研修の実際とその成果を報告する。

連載 ニガテ意識払拭! ナースのための数字の読み方・1【新連載】

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データ分析の前に,数字の読み方を押さえよう

 近年,データ分析やデータの扱い方に関する学びのニーズが急速に高まっています。それは,看護管理者のみならずスタッフナースにも病棟のマネジメントや日々提供する看護を可視化し,評価し,それに基づく改善活動を行うことが求められているからでしょう。

 「データ分析をしなければ」と思うと妙に構えたり,小難しい検定をしないと格好がつかないと思ったり,「統計」という言葉に苦手意識を持っていたりする人も多いのではないでしょうか? それらを払拭すべく,この連載では,小・中学校で習った算数や数学の知識で正しく丁寧に数字を読み取ることを身に付け,分析力向上につなげることを目指します。

連載 潜在能力を最大限に発揮する「学習する組織」 個人・チーム・組織が変わる戦略と実践・3

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 「学習する組織」では,チームの中核的学習能力として「志を育成する力」「複雑性を理解する力」「共創的に対話する力」という3つの力と,「自己マスタリー」「システム思考」「メンタル・モデル」「チーム学習」「共有ビジョン」という5つのディシプリン(実践するための学び,習得しなければならない理論と手法の体系)を紹介しています(図1)。今回は「システム思考」について詳しく解説していきます。

連載 ラーニング・エイド 大学院ドタバタ留学記 in NY・22

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 来る7月4日は,アメリカ合衆国にとって1年で最も大切な日である。Fourth of Julyと呼ばれるこの日は,1776年にアメリカ独立宣言が公布された日だ。

 私が帰国前の1人卒業旅行に選んだ場所は,アメリカ建国の地であるフィラデルフィア(以下,フィリー)だ。マンハッタンからバスで2時間,ペンシルベニア州にあるフィリーは,かつての首都であったことでも有名である。アメリカに留学をした者として,最後にじっくりとこの国が誕生した歴史的背景を学んでみたかった。

連載 新人看護師とプリセプターの視点から考えるよりよい新人看護師教育 誰もが働きやすい職場を目指すために・6

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新人看護師Lさんの事例

 今回は,新人看護師Lさん,プリセプターMさんの事例を取り上げます。新人看護師Lさんは入職3年目です。異動の経験はなく3年間同じ病棟で働いていますが,2年目以降も指導者役の先輩に支援してもらっています。MさんはLさんの1年目の担当プリセプターでした。

 インタビューでは就職して1年目の出来事を振り返ってもらいました。

連載 読んでおきたいビジネス書・4

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個々のメンバーの心身の状況を知り適切なサポートをする

 本書の著者は,元商社マン。長くエネルギー部門で営業を担当した後,異動した人事部門での経験から「働き方」に関心を持ちました。以後,独力でキャリアコンサルタントの資格を取得しただけではなく,会社に掛け合ってキャリアコンサルティング室という社内組織を立ち上げ,初代室長になったという経験を持っています。

 著者によれば,キャリアコンサルティングとは,「働く人がイキイキと仕事をすることを支えるための相談機能」を指します。組織で働くことに必然的に付きまとう人間関係の悩みや,公私にわたるさまざまな問題など,なかなか口に出せない心配事を聞き,可能な限り解決を支援するのがキャリアコンサルタントの役割です。

連載 グローバル時代の医療英会話Lesson 外来や病棟で出会う外国人をサポートするために・6

Hospital Rules ウイリアムソン 彰子
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オーストラリアの医療制度

 これまでいくつかの国で病院施設の視察をする機会がありました。医療施設にも,その国の文化,生活様式,宗教,医療専門職性,患者の権利,等々のお国柄が見受けられます。今回はオーストラリアで視察した医療制度と施設の様子を紹介したいと思います。

 オーストラリアは日本と同様に国民皆保険制度により平等な医療の提供を保障している国です。日本と大きく異なる点は,入院施設を有する病院と,かかりつけ医が診察をする外来や診療所が明確に区分されていることです。病院で雇用されている医師はわずかな人数で,医師は個人で診療所を開くか病院の外来の診察室を間借りして診察を行っていました。個人の診療所には高額な検査機器がありませんので,病院に検査依頼をします。手術や入院が必要となれば,病院の手術室を使って手術を行い,患者が入院をしている間もそのままかかりつけ医が担当します。

連載 ワークブック形式で学ぶ! ファシリテーションのための企画とプログラムデザイン・6

7W3Hで企画の骨子を洗い出す 森 雅浩
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 組織や部署が掲げる大きな目的や,日々の業務の中で到達すべき小さな目的など,さまざまな目的がある中で,あなたが企画しようとしている参加型の場がどのような位置付けになるのかを前回確認しました。

連載 おとなが読む絵本——ケアする人,ケアされる人のために・179

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 陸上であれ海中であれ,生き物たちの生態を長年にわたって追いかけ,その姿と息づかいや,生と死の営みを記録した写真集や写真絵本には,絶句するほど感動するショットが少なくない。

 特に海の生きものたちとなると,どんな日常を過ごしているのか,またその生涯はどうなっているのかといったことは,私は知らないから,写真集をめくると驚くことばかりだ。

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何も変わらないけど,訪問看護なんです

計画書には書かれないケア

 まだ歩き始めない子どもと暮らしている母親,ごみと暮らしている老婦人,老親のベッドの脇で眠る娘,引きこもり,介護を放棄しているかのような息子,痛い注射を嫌がる女の子……。みんな違う物語の中で主人公として登場する人々です。でもそれは,読者である私が第三者の立場で見た世界で,その世界を主人公の視点から捉えれば,歩き始めてはいないが愛に包まれた親子であるし,ごみではなく大切な品であるし,介護負担ではなく温かい母とのかけがえのない時間であるし,インスタントの味噌汁をうまいと言う父がいます。

 そうした物語に第三者としての訪問看護師が登場します。彼らはこうした生活者を前に,何をしているのでしょう。『家でのこと』に描かれている看護師の行いは,生活者に静かに語りかけ,伸びきった爪を切ることから始まり,特別なことはしなくてもその人を認め,独居高齢者の隣人に見守りを頼み,あるときは黙って待ち,連れ合いを亡くした老人をしばらく気にかけてみるといったことです。看護師が計画書に書く内容はほとんどクローズアップされないのです。それがむしろ面白く,そこに訪問看護の本当の価値があると感じることができます。

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次号予告・編集後記 小齋 石塚

基本情報

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看護管理
31巻7号 (2021年7月)
電子版ISSN:1345-8590 印刷版ISSN:0917-1355 医学書院

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