消化器内視鏡 34巻3号 (2022年3月発行)

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特集　こんなときどうする

序説岩男　泰 34巻3号 , 2022年3月 , pp.318-318

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　1989年4月に1巻1号を発刊し産声をあげた本誌「消化器内視鏡」は，本号で記念すべき通巻第400号を迎えた。まさに平成という時代とともに生まれ，駆け抜け，そして令和にその使命を受け継いでいる。創刊の辞には，治療分野へ急速に拡大した消化器内視鏡の進歩に言及し，卒後教育制度の内容充実を図ることが目的の一つと記されている。特集に加え基本手技や基本知識の解説など，指導者もいない環境で新しい手技の習得や治療に取り組まざるをえなかった筆者にとって本誌は，隅から隅まで読み込んで飽きない，かけがえのないテキストであった。かつて一読者として創刊号を手にし，今は編集に携わる者として，誠に感慨深いものがある。

［総論］

高リスク患者に対する緊急内視鏡―超高齢者，小児，重篤な合併症，ショック状態など― 小澤　俊一郎 , 末木　良太 , 見本　雄一郎 , 白勢　大門 , 若尾　聡士 , 進藤　邦明 , 佐藤　公 34巻3号 , 2022年3月 , pp.319-325

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要　旨

緊急内視鏡はそれ自体リスクが高い処置であるが，対象患者の状況によってはさらにリスクが高くなりうる。本稿では患者の対象や状況によるリスクを整理することにより，できるだけリスクを減らすことができるような「心得」となる内容をまとめた。緊急内視鏡は治療のメインであるが，リスクを回避でき治療が成功するかどうかの分かれ道は内視鏡を始める前の準備段階から始まっている。リスク管理の鉄則は「大きく構えて小さく収める」ことであり，時には「勇気ある撤退」も辞さないことが重要である。

抗血栓薬使用患者に対する出血高危険度内視鏡治療時の留意点市島　諒二 , 堀井　敏喜 , 杉田　知実 , 岩男　彩 , 小椋　加奈子 , 池原　久朝 , 後藤田　卓志 34巻3号 , 2022年3月 , pp.326-332

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要　旨

高齢化社会に伴い，抗血栓薬を内服している患者に対して内視鏡治療を行う機会は増えてきている。抗血栓薬服用者に対し出血のリスクの高い観血的処置を行う際には，消化管出血のリスクと抗血栓薬の休薬に伴う血栓症のリスクの双方に配慮した対応が必要である。日本消化器内視鏡学会から公表されている「抗血栓薬服用者に対する消化器内視鏡診療ガイドライン」および「直接経口抗凝固薬（DOAC）を含めた抗凝固薬に関する追補2017」を遵守し，処置に伴う出血リスクおよび休薬に伴う血栓症のリスクを適切に評価する必要がある。細心の注意を払いつつも，防ぎきれない偶発症が起こる可能性を施行医と患者がともに理解したうえで，治療にあたることが重要である。

EMR/ESDによる消化管穿孔発生時の対応（全消化管）髙取　祐作 , 矢作　直久 34巻3号 , 2022年3月 , pp.333-338

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要　旨

内視鏡技術やデバイスの発展に伴い，これまでは治療困難症例とされてきた病変も内視鏡的に切除できるようになってきた。しかし，それらにはいまだ技術的困難を伴うことが多く，同時にそれは偶発症のハイリスク症例でもある。消化管穿孔は内視鏡治療の代表的な偶発症であり，かつ適切な対応をしなければ時に致命的となる病態の一つである。本稿では，当院における具体的な症例も提示しながらEMR/ESD時における消化管穿孔発生時の対応について解説する。穿孔が生じた場合，まず術者が慌てずに冷静になることが最も重要であり，術者以外も含めチームとして対応する必要がある。穿孔閉鎖においてはクリップ法だけでなく，近年さまざまなデバイスやテクニックが開発され内視鏡的に対応可能なシチュエーションも増えてきている。しかし，それらが奏効しない場合には緊急手術や緊急胆管・膵管ドレナージなどを要することがあるため日ごろから外科や胆膵内科などとしっかり連携しておくことも肝要である。

前投薬によるトラブル発生時の対応―キシロカイン^Ⓡ，抗コリン薬，鎮静薬，プロポフォールなど― 船越　禎広 , 山嶋　友実 , 柴田　衛 , 能丸　遼平 , 今給黎　宗 , 向坂　秀人 , 久能　宣昭 , 石橋　英樹 , 平井　郁仁 34巻3号 , 2022年3月 , pp.339-344

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要　旨

内視鏡診療の近年の進歩に伴い，鎮静薬，鎮痛薬を含めた前投薬を使用する機会は以前より増加している。これまでの日本消化器内視鏡学会による全国調査の報告では，前投薬においては鎮静薬，鎮痛薬による偶発症発生が多い。2020年に「内視鏡診療における鎮静に関するガイドライン（第2版）」が作成され，安全な内視鏡診療のための前投薬の使用指針が示されている。同ガイドラインを参考にしながら，前投薬によるトラブル発生時の対応として，内視鏡診療の用途に応じた至適鎮静レベルを常に考慮し，日ごろから使用頻度の高い前投薬（鎮静薬，鎮痛薬，キシロカイン^Ⓡ，抗コリン薬など）の作用機序，半減期，禁忌，副作用などの特徴の理解，患者背景も考慮した前投薬の選択，投与量の決定をすることが非常に重要である。また偶発症発生時，特に呼吸，循環機能低下時の対応を理解し，日ごろからトラブルシューティングをしておくことが望ましい。

《Note》インフォームド・コンセントで，担当医の提案を患者に拒否されたときの対応日山　亨 34巻3号 , 2022年3月 , pp.345-346

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はじめに

　提案した検査や治療を患者が拒否することがある。このようなときは，①検査や治療をしないと重大な結果を招く疾患を疑わせる事情がない場合，②検査や治療をしないと重大な結果を招く疾患を疑わせる事情がある場合で，対応を変える必要があろう。また，③患者が宗教上の理由により輸血を拒否する場合も想定される。

［各論］下咽頭・食道　［診断］

スコープを挿入できない！河合　隆 , 福澤　麻理 , 山岸　哲也 34巻3号 , 2022年3月 , pp.348-349

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アドバイス

・上部消化管内視鏡検査の際（特に経口内視鏡）に，最初の難関になるのが食道入口部の挿入である。

・スコープの挿入では，基本的に患者の体位や術者のスコープのもち方が重要である。

・食道入口部付近を中心とした解剖を十分に把握する必要がある。

・難しい症例では，嚥下運動をうまく活用して挿入するのがよい。

《Note》嚥下運動や嗚咽がひどくて咽頭が観察できない川田　研郎 , 藤原　直人 , 篠原　元 34巻3号 , 2022年3月 , pp.350-351

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原　因

　嚥下運動や嗚咽がひどくて咽頭が観察できない原因としては，患者側の要因と検者側の要因がある。検査前にどのような目的で検査を行うかをよく考えて，使用するスコープや検査ルート（経口か経鼻か）を選択する必要がある。患者の年齢，性別，主訴（咽頭痛や喉のつまり感の有無），検査歴（初回例か，過去の検査時の状況），既往歴（特に食道癌，頭頸部癌の有無），飲酒（50歳以上にはフラッシング反応の有無を必ず聴取する），喫煙歴などを検査前に把握しておく。

Brownish areaを認めた小野　陽一郎 , 八尾　建史 , 二村　聡 34巻3号 , 2022年3月 , pp.352-353

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・癌と非癌の鑑別が重要

・微細血管像とbackground colorationに注目する。

・内視鏡診断に難渋する場合や拡大観察ができない場合，生検による病理組織学的診断に委ねる。

・ヨード染色は，内視鏡治療時のみに限ることが望ましい。

食道生検でatypical epitheliumと診断された有馬　美和子 , 中村　直裕 , 絹川　紀子 34巻3号 , 2022年3月 , pp.354-355

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・生検もヨード染色も繰り返すと病変は損傷していくばかりなので，背景の炎症が高度な場合には改善を図ってから再検査し，生検する際は部位を記録する。

・病理医が診断しやすい生検切片を採取するように工夫する。

拡大したらB2様血管がみえた都宮　美華 , 有馬　美和子 , 剛﨑　有加 34巻3号 , 2022年3月 , pp.356-357

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・非浸潤部に観察されるnon-loop血管と，pure B2は区別する必要がある。

・Pure B2を抽出するには血管の分岐間隔の不規則性/複数回分岐（B），血管の屈曲角度（A），口径不同（C）に注目する。

・血管の成り立ちと病理像を想像しながら拡大観察を行う。

［各論］下咽頭・食道　［治療］

ESD後に食道狭窄をきたした山口　直之 34巻3号 , 2022年3月 , pp.358-359

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アドバイス

・SH投与方法（局注療法，経口投与，経口＋局注併用療法など）およびその投与量・投与期間が適切だったか，原因をしっかりと検討する。

・狭窄予防対策をしっかり行ったうえで，狭窄症状があり内視鏡スコープが通過しない場合，EBDを行う。

・1カ月に2回以上または合計5回以上のEBDを行っても狭窄が解除できない場合は，狭窄例の早期解除への取り組みとして拡張術＋SH経口投与併用療法を行う。

食道アカラシアを疑ったら門馬　絵理 , 川見　典之 , 岩切　勝彦 34巻3号 , 2022年3月 , pp.360-361

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アドバイス

・食道アカラシアに関して新たな内視鏡所見が報告されており，内視鏡検査によりアカラシアを強く疑うことが可能である。

・嚥下障害やつかえ感を有する患者に対しては，食道運動異常症を念頭におき，内視鏡，食道造影，内圧検査により総合的に診断することが重要である。

ESD時のヨード染色で，まだら不染が高度で切除範囲の決定が難しい竹内　学 , 高綱　将史 34巻3号 , 2022年3月 , pp.362-363

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・ヨード散布前の食道洗浄が重要であり，低濃度ヨードを使用する。

・癌・非癌の鑑別には，ヨード不染帯の大きさ・形状が大切で，PC signやMS signも参考にする。

・切除範囲の決定には，PC sign，MS signから連続する不染帯を含めるようにする。

・範囲決定困難な場合には，経過観察も考慮する。

緊急内視鏡で食道・胃静脈瘤出血を認めた小原　勝敏 34巻3号 , 2022年3月 , pp.364-365

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アドバイス

・静脈瘤出血の局所的・全身的要因を理解しておく。

・吐血の場合は全身管理下に緊急内視鏡で出血源を確認し，ただちに止血を図る。

・治療医が不在の場合はバルーンタンポナーデ法で一次止血を図り，12時間以内に治療を行う。

・内視鏡治療で止血後は，短期再出血防止のために可及的速やかに次の治療に移行する。

・長期的に再出血防止を図る内視鏡治療として，地固め法が有用である。

［各論］胃・十二指腸　［診断］

胃内でオリエンテーションがつかない今枝　博之 , 大庫　秀樹 , 都築　義和 34巻3号 , 2022年3月 , pp.366-367

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アドバイス

・瀑状胃では穹窿部で脱気後，胃体部の小彎沿いを狙って時計回転をかけながら少しアップアングルで進める。

・完全内臓逆位では管腔の方向が下方にみられ，反時計回転をかけながら進める。

・胃軸捻転症の短軸捻転の場合には噴門からみて胃体部・前庭部は左側に位置し，反時計回転をかけながら進める。

限局性の色調変化（発赤ないし褪色）を認めた藤崎　順子 34巻3号 , 2022年3月 , pp.368-369

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アドバイス

・限局性の色調変化が単発性か多発性かをみきわめる。背景粘膜を観察し，HP現感染，既感染，未感染を判断する。

・拡大観察を行う。

・DLがみられるか？　内部の所見，構造，血管に異常が観察されれば癌を疑い生検を行う。胃底腺型腺癌の場合は，DLははっきりしないことが多い。

粘膜下腫瘍を認めた吉永　繁高 , 高丸　博之 , 斎藤　豊 34巻3号 , 2022年3月 , pp.370-371

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・まず「色調」，「形態」，「硬さ」，「部位」をもとに診断する。

・EUSで「内部エコー」，「由来の層」を診断する。

・比較的浅い層由来の病変ならば通常の組織生検で組織採取できる可能性はあるが，深い層のものはEUS-FNAを考慮する。

・組織の結果をもとに治療方針を決定する。

拡大観察でdemarcation lineがわからない内多　訓久 , 八尾　建史 34巻3号 , 2022年3月 , pp.372-373

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・DLがわからない原因には術者側の要因と，病変側の要因がある。

・DLがわからない場合の多くは術者側の技術的要因であり，正しい検査法を学び，わからない場合は上級医に委ねることも大切である。

・生検組織標本を確認してDLがわからない要因を探る。また胃癌の組織像と拡大内視鏡像を関連づけて学んでおく必要がある。

生検標本がうまく採取できない岡村　卓磨 , 岩谷　勇吾 , 長屋　匡信 34巻3号 , 2022年3月 , pp.374-375

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・生検を行う前に病変を詳細に観察する。

・良好な視野を確保するため，スコープの回転，アングル操作，送気量の調整などを連動して行う。

・先端フード装着，スコープ変更も選択肢として頭に入れておく。

・生検時のスコープ操作は，内視鏡治療手技の上達にもつながるため，普段から正確な鉗子生検を心がける。

内視鏡診断と生検組織診断が乖離したときの対応赤松　泰次 34巻3号 , 2022年3月 , pp.376-377

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・乖離が生じる原因には臨床側，病理側，偶発的な要因の3つがある。

・乖離があった場合にはさまざまな「間違い」の可能性を考慮する。

・生検組織診断を鵜呑みにしてはならない。

・鉗子生検は確定診断ではなく，有用な「補助診断」と考えるべきである。

・内視鏡医は内視鏡診断能を磨くとともに，生検組織標本をみる一定の能力を身につける必要がある。

《Note》EUS検査時の脱気水の貯め方・使い方木田　光広 , 奥脇　興介 , 岩井　知久 34巻3号 , 2022年3月 , pp.378-380

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はじめに

　脱気水を貯める・使う目的は，①空気などのアーチファクトを除去する，②胃腸管内の粘液などの洗浄を行いきれいな画像を得る，③至適な距離を確保して病変を垂直に位置させ鮮明な画像を得る，の3点である。

内視鏡施行中に裂創（医原性）ができた児玉　亮 , 三枝　久能 , 牛丸　博泰 34巻3号 , 2022年3月 , pp.382-383

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・内視鏡施行中に生じた裂創（Mallory-Weiss tear）は，止血処置を必要としない軽症例が多い。

・追加送気は避け，まずは吸引により減圧する。

・持続性の出血または湧出性以上の出血がみられた場合には内視鏡的止血術を行う。

・内視鏡的止血術の第一選択はクリップ法である。

［各論］胃・十二指腸　［治療］

ESD中に出血点が見つからない鷹尾　俊達 , 豊永　高史 34巻3号 , 2022年3月 , pp.386-387

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・十分な量のジェット送水で出血部をざっと水洗し，出血源を点としてとらえる。

・出血部周囲の粘膜切開あるいは粘膜下層剝離を追加し，スペースを広げて出血点を探る。

・トラクションデバイスを粘膜フラップに装着し，出血部周囲のスペースを展開する。

・HSE水を出血部に局注し，出血の勢いを弱める。

出血性潰瘍の潰瘍底が硬くてクリップがはじかれてしまう菅　智明 34巻3号 , 2022年3月 , pp.388-389

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・良視野を作り，腸管壁の垂直方向にクリップを打つ。

・ショートクリップの使用

・その他の止血術への変更（止血鉗子，局注法，IVRなど）

摘出困難な異物を認めたときの対応野間　絵梨子 , 飯塚　敏郎 34巻3号 , 2022年3月 , pp.390-391

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・鋭利なもの，2cm以上のもの，毒性を有する異物は緊急摘出の適応となる。

・回収後も深い粘膜損傷があれば入院下で経過観察，抗菌薬投与など追加治療を検討する。

・回収困難な異物はリスクに応じて外科的な摘出もしくは入院下で慎重経過観察を行う。

《Note》出血に対する緊急内視鏡で凝血塊のために出血部位が発見できない小島　英吾 , 桑原　蓮 , 松村　真生子 34巻3号 , 2022年3月 , pp.392-394

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はじめに

　上部消化管出血を疑い意気盛んに内視鏡を挿入したものの，大量の凝血塊のために止血術に難渋することは日常よく経験することである。どうやってこの難局を乗り切るか，いくつかのコツを紹介したい。

［各論］空腸・回腸　［診断］

バルーン内視鏡で深部挿入できない大塚　和朗 , 竹中　健人 34巻3号 , 2022年3月 , pp.396-397

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・挿入がうまくいかない原因を明らかにする。

・スコープ先端に挿入する力がうまく伝わるようにする。

・スコープの摩擦が大きくならないようにする。

・どうしても挿入できない場合は反対側からのアプローチをする。

カプセル内視鏡が滞留した田中　孝尚 , 中村　哲也 , 入澤　篤志 34巻3号 , 2022年3月 , pp.398-399

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・PillCam^TM Patency Capsuleでも滞留することがある。

・PillCam^TM Patency Capsuleの排泄確認は，椎体や骨盤と一致している場合にはわかりにくい場合があるので注意する。判断に迷う場合にはCT検査を追加して確認を行う。

・カプセル内視鏡が滞留した場合には侵襲度の低い対応策から講じていくが，腹部症状がある場合には早期から内視鏡検査や手術も考慮に入れる。

《Note》小腸の顕出血を繰り返すが，出血源が見つからない大宮　直木 34巻3号 , 2022年3月 , pp.400-402

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原　因

　小腸出血の原因で最も多い病変は，血管性病変とびらん・潰瘍性病変（炎症性病変・医原性病変）であり，次いで腫瘍・腫瘍性病変，憩室がある。

［各論］空腸・回腸　［治療］

多発性ポリープ（Peutz-Jeghers症候群など）で，切除標本の回収が困難矢野　智則 , 山本　博徳 34巻3号 , 2022年3月 , pp.404-405

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アドバイス

・切除に伴う穿孔・出血リスクを検討する。

・病理組織診断の結果次第で治療方針が変わらないなら，切除・回収にこだわらない。

・外科治療や長期経過観察の可能性が高ければ点墨する。

［各論］大腸　［診断］

SD junctionが越えられない小林　清典 34巻3号 , 2022年3月 , pp.406-407

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・SD junctionを越えることができない原因として，S状結腸の過長や癒着などがあげられる。

・挿入困難の原因に応じた内視鏡機種の選択やセデーションの活用が有効である。

・挿入にあたり送気は必要最小量とし，腸管の徹底した短縮操作とともに，用手圧迫や体位変換を活用する。

・最終手段として極細径内視鏡やバルーン内視鏡の使用を検討する。

脾彎曲から横行結腸へ挿入できない鈴木　翔 , 池原　久朝 , 後藤田　卓志 34巻3号 , 2022年3月 , pp.408-409

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・脾彎曲を通過できない原因には，脾彎曲でのステッキ現象とS状結腸での屈曲の2つがある。

・まず試みる方法として，①スコープ硬度を上げる，②深吸気，③腹部用手圧迫，④右側臥位への体位変換，がある。

・それでも通過困難な場合には，⑤スコープ機種の変更，⑥X線透視下での検査，を検討する。

肝彎曲から上行結腸へ挿入できない五十嵐　正広 34巻3号 , 2022年3月 , pp.410-411

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アドバイス

・挿入の妨げとなっている原因を知る。

・原因に対し有効な対応策を試みる。

《Note》スコープが上行結腸まで入ったが盲腸まで挿入できない！河村　卓二 34巻3号 , 2022年3月 , pp.412-414

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はじめに

　大腸内視鏡挿入における最難関はS状結腸の通過であり，スコープの軸を保持した状態で下行結腸まで挿入できれば，後半は比較的容易に挿入できることが多い。しかし横行結腸を適切な方法で越えられない場合，盲腸を視野の先にとらえているにもかかわらず最後の10～20cm程度の挿入が困難なことがある。近年の大腸内視鏡は無透視で行われることがほとんどで，本邦では内視鏡挿入形状観測装置（endoscope position detecting unit）の普及もあまり進んでいないため，実際にスコープの形状がどのようになっているかは想像するしかないことも多い。

回盲弁を越えられない福田　将義 , 大塚　和朗 , 岡本　隆一 34巻3号 , 2022年3月 , pp.416-417

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アドバイス

・盲腸までの挿入がストレートに行えていることを確認する。

・左アングルまたは左トルク＋アップアングルで回盲弁をめくるようにして挿入する。

・全例で可能ではないが，反転が有用なこともある。

・回盲弁を越えることに執着しすぎないことも重要である。

診断困難な大腸炎症性所見を認めた大川　清孝 34巻3号 , 2022年3月 , pp.418-421

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アドバイス

・診断困難な原因は，疾患を知らない，特徴的な内視鏡像を知らない，非典型的内視鏡像である，などである。

・内視鏡所見，罹患部位，患者背景，臨床症状などから疾患を絞り込む。

・内視鏡所見のなかで，縦走潰瘍，輪状潰瘍，円・卵円形潰瘍，玉石状所見，帯状潰瘍，偽膜の6つは，その所見を示す疾患が比較的少ないため鑑別診断に有用である。

・IBDを正しく診断するには，かなりの経験と知識が必要であるため，鑑別診断の成書を活用する。

半月ひだにまたがるため病変全体の観察が難しい田口　愛弓 , 松下　弘雄 , 吉川　健二郎 34巻3号 , 2022年3月 , pp.422-423

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アドバイス

・腸管内腔には半月ひだのような観察の死角となる場所が存在することを認識する。

・死角となる場所を観察する方法・工夫を複数用意しておき，個々の状況に応じた手技を順次試みる。

・無理な操作は腸管の損傷につながるので注意する。

大腸癌による狭窄のためそれより口側にスコープを挿入できない根本　大樹 , 五十畑　則之 , 冨樫　一智 34巻3号 , 2022年3月 , pp.424-425

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アドバイス

・極細径スコープや大腸CT検査が口側病変の検索に有用である。

・大腸ステント留置後は，可能なかぎり口側腸管の評価を行うべきである。

［各論］大腸　［治療］

大腸憩室出血（群発憩室）で出血部位が発見できない秋元　直彦 , 貝瀬　満 , 岩切　勝彦 34巻3号 , 2022年3月 , pp.426-427

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アドバイス

・活動性出血を認める大腸憩室出血における責任憩室の同定には，造影CT，内視鏡先端フードやwater-jet scope，BioShield^Ⓡ Irrigatorと送水ポンプの併用などが有効である。

・CTでextravasationがあったが内視鏡観察時には活動性出血を認めない場合，step-clipping 法が責任憩室診断に有用である。

EMR時の局注でうまく膨隆が形成できない髙田　和典 , 堀田　欣一 , 今井　健一郎 34巻3号 , 2022年3月 , pp.428-429

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アドバイス

・穿刺する部位，局注針の向きを意識する。

・1回の局注で良好な膨隆形成を心がける。

・Non-lifting sign陽性が予想される病変では，粘性の高い局注液を用いる。

SM浸潤を疑う早期癌を認めた上垣内　由季 , 岡　志郎 , 嶋本　文雄 , 田中　信治 34巻3号 , 2022年3月 , pp.430-431

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アドバイス

・拡大内視鏡観察（NBI観察やpit pattern）でSM浸潤癌と診断しても，実際の浸潤距離は不明確である。具体的な浸潤距離の評価には病変を断層的に評価することが可能なEUSを併用すべきであり，特に，完全切除生検として内視鏡治療を考慮する際有用である。

・病変の部位や肉眼型（丈の高さなど）によりEUS評価が困難な場合は注腸造影検査を追加する。

・内視鏡切除標本でSM高度浸潤を認めた場合，その他リンパ節転移リスク因子や患者背景などを含めて総合的に追加外科切除の是非を判断する。

EMR後の局所遺残再発をどうするか樫田　博史 34巻3号 , 2022年3月 , pp.432-433

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アドバイス

・遺残再発病変を観察し，組織を推定する。

・再発病変に対するEMRは推奨できない。

・再発病変が癌や10mm以上の場合はESD，4～9mmの場合はHSP，3mm以下の場合はHFPが原則である。

・HFPやAPCを追加し，再々発を徹底的に予防する。

ポリープをコールドスネアで握っても切れない樫田　博史 34巻3号 , 2022年3月 , pp.434-435

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アドバイス

・スネアの使用法や選択を確認する。

・病変を把持したまま，スネアをシースごとスコープの鉗子孔に引き込む。

・穿孔をきたす可能性があるので，通電はしない。

・局注をしてみて，挙上されればEMRに切り替える。

Cold polypectomyをしたら癌だったときの対応糸井　祐貴 , 浦岡　俊夫 , 伊古田　勇人 34巻3号 , 2022年3月 , pp.436-437

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アドバイス

・CPは通電を伴う内視鏡切除と比べて切除深度が浅い。

・病理組織学的に癌かつ深部断端陽性もしくは不明瞭の場合には，SM浸潤癌も想定して追加腸切除を考慮する。

・CPではより正確な術前内視鏡診断が要求される。

・術前診断で癌を疑う要素を認めた場合はCPに固執せず，通電を伴う内視鏡切除を適用させる。

［各論］胆・膵　［診断］

十二指腸鏡およびEUS専用機を食道へ挿入できない松田　浩二 , 渡辺　将生 , 橋本　祐介 34巻3号 , 2022年3月 , pp.438-439

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アドバイス

・十二指腸鏡およびEUS専用機の先端部構造と内視鏡画面のみえ方を理解する。

・スコープの軸や被検者の状態を意識する。

・直視鏡で進行方向を確認したのち，再度挿入する。

・Zenker憩室の可能性を絶えず念頭におき，愛護的な挿入を心がける。

《Note》十二指腸スコープを型どおりストレッチしたが主乳頭が正面視できない潟沼　朗生 , 豊永　啓翔 , 石井　達也 34巻3号 , 2022年3月 , pp.440-443

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はじめに

　ERCPを成功させるための最初のステップは，十二指腸内視鏡の乳頭までの到達である^{1, 2）}。そのためには，咽頭を通過し食道を越えて，さらには胃体部から幽門部まで誘導する必要がある。その後，幽門輪を通過し，十二指腸球部から下行部へと進める。この際，単に乳頭に到達するだけではなく，正しい乳頭の正面視が得られるかが重要である。正しい乳頭の正面視は引き続き行われるERCP手技を容易にさせるが，正しい正面視が達成できないと，挿管ばかりかその後の処置も困難となる。このように，内視鏡操作の習得はERCPの安全かつ確実な手技施行のための第一歩である。しかし種々の解剖学的な要因や病態により，通常の内視鏡操作のみでは乳頭の正面視が困難な症例にしばしば遭遇する。

ERCPで胆管への選択的挿入ができない越知　泰英 34巻3号 , 2022年3月 , pp.444-445

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アドバイス

・胆管への選択的挿入ができない原因は，乳頭開口部の胆管口に挿入デバイスが当たっていないか，乳頭口側隆起内の胆管の走行方向とデバイスを進める方向とが合っていないかである。

・胆管口にデバイスを当てるためには，開口部をよく観察しその形状に合った挿入手技やデバイスを選択する。

・胆管の走行方向にデバイスを合わせるためには，口側隆起の形状から胆管の走行方向を立体的にイメージしてデバイスを操作する。

・プレカット法を行っても胆管へ挿入できなかった場合には，数日後に再試行すると成功することが多い。

ERCP後に膵炎を発症した中村　佳史 , 林　伸彦 , 安田　一朗 34巻3号 , 2022年3月 , pp.446-447

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アドバイス

・ERCP後膵炎と診断したらただちに輸液の追加を行うとともに適宜鎮痛薬を投与する。

・重症度は繰り返し判定する。

・重症と判定したら速やかに集学的治療を開始する。

消化管再建術後腸管で乳頭への到達または胆管空腸吻合部の発見が困難島谷　昌明 , 松本　浩尚 , 光山　俊行 34巻3号 , 2022年3月 , pp.448-449

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アドバイス

・盲端部への深部挿入のポイントは，輸入脚を速やかに同定し，技術を駆使して腸管癒着部分を通過することである。

・胆管空腸吻合部発見のポイントは，透視像で胆管空腸吻合部の位置をある程度予測して，潰瘍瘢痕様粘膜を探すことである。

・術後再建腸管症例における胆膵内視鏡治療は，システマティックに治療戦略を立てて取り組むことが重要である。

胆膵EUSで臓器のオリエンテーションがつかない比佐　岳史 , 岡庭　信司 34巻3号 , 2022年3月 , pp.450-451

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・EUS前に経腹壁USを行い，膵実質のエコーパターンを参考にする。

・普段から系統的なEUS操作を行い，描出法を動的に理解する。

・膵胆道領域の描出の指標となる血管の走行や臓器を念頭において，操作する。

《Note》EUS用穿刺針が出ない，またはEUSの画面で見つからない松田　浩二 , 中原　一有 , 渡辺　将生 34巻3号 , 2022年3月 , pp.452-454

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穿刺針が出ない/見つからないときの原因

　EUS用の穿刺針は，外筒であるシースと内筒である針筒により構成されている。EUSの画面上で先端部が強調されてみえるのは，針筒の先端により強い反響エコーが生じるように加工がされているからである（図1）。

［各論］胆・膵　［治療］

ESTによって大量の出血を認めた（後出血を含む）小嶋　啓之 , 土屋　貴愛 , 糸井　隆夫 34巻3号 , 2022年3月 , pp.456-457

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・治療法の選択には出血点の同定が可能かどうかを判断する。

・出血点が確認できない場合は，結石除去用バルーンで圧迫止血を行う。

・バルーンでの圧迫止血が困難で，fully-covered SEMSがある場合は留置を試みる。

・SEMS抜去のタイミングは，膵炎・胆囊炎がある場合は早急に，なくても止血が得られている場合は数日以内に行うことが望ましい。

・内視鏡的止血が困難な場合は，躊躇せずに血管塞栓術や外科的治療を考慮する。

ESTによって穿孔をきたした小川　貴央 34巻3号 , 2022年3月 , pp.458-459

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・ESTに関連した穿孔の原因は，①スコープ操作によるもの，②切開に伴うもの，③EST後の処置具の挿管に起因するもの，の3つに大別できる。

・小さな後腹膜穿孔の場合では，絶食・輸液，抗菌薬投与，胃管留置，胆道（膵管）ドレナージによる保存的加療で改善できる症例も多い。

・保存的加療を選択する場合であっても外科医と連携して管理にあたり，24時間以内に改善がみられない場合には外科的治療に移行する。

バスケット鉗子で把持した総胆管結石が乳頭部で嵌頓してしまった安田　健治朗 , 萬代　晃一朗 , 宇野　耕治 34巻3号 , 2022年3月 , pp.460-461

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・結石を把持したまま嵌頓した場合，胆管軸に沿わないバスケットの引っ張り操作は亀裂による穿孔を起こす可能性があるため避ける。

・嵌頓の可能性があれば最初から砕石バスケットによる結石除去を行う。

・バスケットで結石を把持したまま乳頭に嵌頓すると慌てることになるが，通常は，バスケットを胆管深部に挿入しバスケットを反転させるようにすると，バスケット把持を解除することができる。

・バスケット嵌頓した場合の対応策として，バスケットに装着できる砕石具を準備しておくとよい。また，ESWLやEHL，レーザーによる砕石が有用である。

悪性胆道狭窄に対する金属ステント留置後，ステント閉塞をきたしたときの対応勝田　景統 , 良沢　昭銘 , 水出　雅文 34巻3号 , 2022年3月 , pp.462-463

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アドバイス

・原疾患，胆管炎合併の有無，前回留置した金属ステントの特性といったさまざまな要因を把握する。

・ERCPを用いて原因や閉塞部位を判断し，re-interventionを決定する。

・経乳頭処置困難な症例は，経皮経肝胆管ドレナージやEUS下胆道ドレナージを治療の選択肢に考慮する。

《Note》EUS下ドレナージで，囊胞壁が硬くてステントが奥に進まない星　恒輝 , 山宮　知 , 入澤　篤志 34巻3号 , 2022年3月 , pp.464-466

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はじめに

　EUS下経消化管的ドレナージ（EUS-guided transluminal drainage：EUS-TD）は，1992年にGrimmらによって最初に報告され^1），現在では多くの施設で行われている。このうちEUS下膵囊胞ドレナージ（EUS-guided pancreatic cyst drainage：EUS-CD）は比較的成功率が高い手技ではあるが，いくつかの手技完遂を阻害するポイントがあり，その一つに「囊胞壁が硬くてステントが奥に進まない」といった事象がある。これは，被包化膵壊死（walled-off necrosis：WON）に対するドレナージよりも，炎症を繰り返す感染性膵仮性囊胞症例で経験することが多い。

連載　臨床研究をやってみよう！・シーズン1　第5回

研修医へ贈る：症例報告のスライド作成法と発表の心得阿部　展次 , 田中　佑治 , 中山　快貴 , 大木　亜津子 , 竹内　弘久 34巻3号 , 2022年3月 , pp.467-472

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はじめに

　連載企画「臨床研究をやってみよう！」では，論文内容や臨床研究の種類，難易度などに応じて論文をシーズン分けし（シーズン1～3），掲載を継続している。シーズン1の第4回までに，臨床研究の意義，症例報告および症例集積研究のまとめ方，海外の臨床研究の現状，英文論文の書き方など，いわば初級編ともいえる内容がそれぞれの筆者らの経験を交えながら興味深く示されてきた。

基本情報

消化器内視鏡
34巻3号
(2022年3月発行)

電子版ISSN：印刷版ISSN：0915-3217 東京医学社

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