作業療法ジャーナル 54巻5号 (2020年5月)

特集 刑務所等の矯正施設における作業療法

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特集にあたって

 この特集を企画した目的は,以下の2つである.

 まず,刑務所等の矯正施設において,作業療法が必要とされている事実の共有である.読者の中には「刑務所」と作業療法の関連に違和感を抱く方もいるかもしれないが,十数年前から刑務所等の矯正施設において,OTは非常勤等の立場で関与してきた.そして,2019年度(令和元年度)から,そうした成果が認められ,その常勤配置が拡大されつつある.さまざまな障害を抱える受刑者の多様化や高齢化に対して,「その人らしい生活の実現」にかかわるOTが応えられるのか問われている.

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Key Questions

Q1:矯正施設とは何か?

Q2:矯正施設におけるOTの活動状況は?

Q3:作業療法に期待される役割は?

 OTの活動の領域として医療領域以外に刑事司法領域での活動も徐々に拡大している.心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者を対象とする精神医療観察制度においては,指定入院医療機関や保護観察所で多くのOTが活躍している.今後も刑事司法領域におけるOTの活躍は拡大していくと思われるが,刑事司法領域,特に刑務所,少年院等での作業療法の活用の現状と今後,作業療法に期待される役割について述べてみたい.

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Key Questions

Q1:刑務所で行われている作業療法の業務内容は何か?

Q2:刑務所で求められる作業療法士の役割と課題は何か?

Q3:刑務所において作業療法を実践するやりがいは何か?

はじめに

 山口県にある岩国刑務所は,全国に11カ所ある女子刑務所(刑務支所および男女を収容する刑務所を含む)の一つで,収容定員は357名である.女子刑務所は刑事施設全体に比べ高齢者の割合が高く〔2020年(令和2年)1月31日現在,65歳以上28.8%,最高年齢89歳),心身ともにさまざまな問題を抱えた受刑者を収容している.

 2014年度(平成26年度)から女子施設地域支援モデル事業が開始され,女性受刑者特有の問題に着目した処遇の充実等を図る目的から保健医療・福祉分野の専門家としてOTが採用された.岩国刑務所では2015年度(平成27年度)に1名採用され,現在は5名が非常勤勤務している.勤務形態は,月曜日から金曜日(矯正指導日を除く)の9:00〜16:45の7時間(休憩含む)で,原則1日1名が勤務している(表1).

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Key Questions

Q1:PFI刑務所とは?

Q2:障がいのある受刑者の特徴とは?

Q3:刑務所における作業療法の役割

はじめに

 播磨社会復帰促進センター(以下,当センター)は,官民協働で運営する刑務所である.筆者(上原)が当センターに勤務してから12年が経過した.入職した当時は,OTが刑務所で働くことはめずらしかったため,当然,職員たちから作業療法はまったく知られていなかった.専門用語もほぼ伝わらないなか,刑務所という異文化の地に乗り込んだときのことを思い出す.

 『犯罪白書』1)によれば,2018年(平成30年)の入所受刑者総数1万8,272名中,精神障害と診断された者が2,733名(約15%)であった.当センターにおいても,障がいのある受刑者を収容しており,その特性に合った処遇や改善更生のためのプログラムを,官民協働の特色を活かして実施している.今回,当センターにおける取り組みを紹介し,刑務所で作業療法が担う役割について考えたい.

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Key Questions

Q1:矯正施設における境界知能の青年,成人の現状とは?

Q2:コグトレプログラムとは?

Q3:司法領域におけるOTの役割や関与の可能性とは?

はじめに

 日本の矯正施設における一般就労や障害者への社会復帰体制については,ハローワークとの連携等,すでにさまざまな対策が講じられ,充実・強化が図られてきている.しかし,発達障害等の傾向を示す者(境界知能:borderline intellectual functioning:BIF)への特別な支援は,どのような介入プログラムが,どの程度効果的か等,実証的に検証されていない.

 筆者らは,2013年(平成25年)から宮川医療少年院で外部講師として非行少年の社会復帰プログラムの一部を作成,効果検証し,課題を明確化するとともに一定の効果を確認してきた.非行少年への認知行動療法やソーシャルスキルトレーニングは,多くの先行研究からその効果が検証されてきているが,一方でいくら指導しても効果が深まらない少年たちの存在にも苦慮させられている.その中には,視覚認知,聴覚認知,概念力,ワーキングメモリ等,さまざまな認知機能に問題のあるケースも多い.矯正教育の成果を上げるためには,ある程度の知的機能が保たれていることが前提となる.

 このような課題に対して,医師やOT等,医療・保健領域の専門職の関与が必要であるが,診断がない場合は医療・保健の専門家がかかわる機会はほとんどないのが現状である.周囲からその困難さが気づかれにくいBIFの子どもや青年,成人は“忘れられた障害”ともいわれており,学校教育や就労等の場面で不利益に遭う場面は少なくない.

 以上の背景を踏まえ,筆者らは2019年(令和元年)から再犯防止推進計画に基づく新たな施策として,広島保護観察所の協力を得ながら,広島刑務所と広島少年院で,BIFを対象に認知機能向上を目的とした介入研究(広島モデル)を継続している.本稿では,研究の概要と事例を通じたかかわりの実際と効果について述べる.

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Key Questions

Q1:司法領域の医療観察制度がもたらしたものとは?

Q2:医療観察制度での指定医療機関での作業療法とは?

Q3:今後の司法領域での作業療法とは?

はじめに

 2005年(平成17年)7月「心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律」(平成15年法律第110号.以下,医療観察法)が施行された.以前より,精神保健福祉法,矯正医療(刑務所における医療)等において,触法精神障害者への治療および処遇である司法精神医学が展開されてきた経緯はあるが,この制度から,本格的な司法精神医療がスタートした.同時に,指定医療機関を中心に,司法精神科作業療法も開始された.こうした司法領域での動きは,作業療法が,歴史的,学術的に新しい段階を迎えたといえる.

 本稿では,主に医療観察制度でのこの期間の司法精神科作業療法の経緯と変遷を概観すると同時に,指定医療機関における作業療法の役割,OTのかかわり,法務省管轄の保護観察所における社会復帰調整官のかかわり等を概観し,司法精神科作業療法の展開と今後の展望も含め報告したい.

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Key Questions

Q1:保護観察とは?

Q2:保護観察の現状は?

Q3:保護観察の現場でOTができることとは?

はじめに

 2020年(令和2年)1月31日現在,全国の保護観察所に保護観察官は約1,000名設置されている.筆者らは,今年度から保護観察官業務に携わっている.OT資格を有した者が保護観察官業務を行うのは,70年以上に及ぶ長い更生保護の歴史の中で,初めてのことである.

 OTとして保護観察の現場で何ができるのか悩んでいるのが実情であるが,OTも活躍できるようになった「保護観察」について,報告させていただきたい.

わたしの大切な作業・第25回

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 あれは東日本大震災があった年のことです。ぼくは、ひょんなことから左膝に大怪我を負いました。前十字靱帯が断裂し、半月板の一部が崩れ、関節包も内側側副靱帯も損傷という、まあ、我ながら笑っちゃうほどひどい怪我でした。

 当然、手術をして、しばしの入院生活となったわけですが、じつは、このとき、たまたま病床から見かけた「廊下をスキップする幼児」の映像が、いまだに忘れられないのです。なぜなら、その瞬間、大いなる「気づき」がぼくの胸を打ったからです。《ふつうに歩けるって、なんて幸せなことだったんだ!》と、衝撃を受けたのです。スキップする幼児の姿がリアルにキラキラして見えたのでした。これは、自分が歩けなくなったからこその気づきですよね。よく、癌で余命宣告されると、世界がキラキラして見える、なんていいますが、それと同種の現象だと思います。

提言

層を厚く 田平 隆行
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 臨床,教育,学術,地域活動,運営,すべての領域においてOTは活躍しなければならない.それぞれの領域において能力および専門性の高いOTが牽引しているが,ある特定の個人が中心的に活躍しても,OT全体の質の向上につながらないのは周知のごとくである.しかし,運営側や社会はある一定の能力や専門性を判断して,人選,推薦することは往々にしてある.つまり,活躍できる層の厚さが必要である.

 プロスポーツでは,控え選手がレギュラーと同等およびそれ以上であると,監督はさまざまな作戦を考えられるし,レギュラーに故障があっても,戦力は低下しない.控え選手も個性を活かせる状況で出番がある.このような組織は,同じプロである作業療法業界でもできるはずである.「仕事はできる人に回ってくる」では,その仕事の質は,その人のキャパシティーに強く影響されるのみならず,仕事量や質の二極化を助長する危険性もある.

あなたにとって作業療法とは何ですか?・第65回

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Occupy

自己成長を促す“すてきな生業”

 1981年(昭和56年)に就職しましたが,右も左もわからず,しかも「作業療法とは?」で悩んでいたころ,1986年(昭和61年)に映画『ロッキーⅣ』が公開されました.その映像に一点の光を見いだした思いでした.主人公ロッキーが対戦相手ドラゴに挑むためにどのような環境を選びトレーニングを重ね心身を最大限に活性化させたか.そこに私は作業療法の源である“Occupy”の一つの姿を強く感じました.この感じは今でも視聴するたびに感じますし,その当時の自分に立ち返らせてくれます.

 主役はクライエントです.OTはクライエントに寄り添い,課題に取り組む動機づけを行ったり,強化したりしながら結果や成果を引き出すコーチ,演出家,あるいは監督みたいな役割を担っているのではないでしょうか.

連載 続々・歴史と遊ぶ「ハンセン病と隔離政策」・第2回

明治19年の頓挫と隔離政策 江藤 文夫
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太平洋戦争敗戦後の衛生行政

 幕末に,長州藩では伊藤博文ら5名が英国留学のため密航を成功させ,薩摩藩も密かに外交使節と共に森 有礼ら15名の留学生を英国に派遣し,少し遅れて幕府も公式に中村正直,川路太郎を引率者として14名の留学生を英国に派遣した.

 明治維新を迎え,歴史的経緯からも当初英米に学ぶことを企図していた岩倉具視らの外交使節団は,欧米諸国を体験する間に,当時急速に国家統一から強大な国家へと発展を始めていたドイツをモデルとして近代国家を建設する基本方針を固めた.国民の健康を守り増進する行政施策も,住民の自発的活動よりは急性感染症対策に効果を発揮する警察の取り締まりを中心とした仕組みを発展させ,大正,昭和にかけて定着させていった註1)

連載 食べる楽しみを支える 実践編・第2回

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リハビリ室評価は「原因へのアクセス」

 ADLの評価・介入は,リハビリ室→病棟→実際の生活環境の順に実用的になり,具体的なOT介入が可能になります.座位姿勢への介入も基本は同じです.リハビリ室での模擬的な介入より,実際生活を行う場での食事の評価・介入のほうが実用的であることに間違いはありません.

 しかし,ここに大きな落とし穴があります.座位姿勢を崩す場合,その多くは機能的要因となっている1次障害があります(図1).つまり,食事場面で観察される姿勢の崩れは1次障害によって引き起こされた2次的なものであり,食事場面で姿勢の崩れに直接介入をしても効果は得にくいということです.さらに,2次障害である姿勢の崩れは筋緊張亢進や痛み等の3次障害を引き起こし,それが原因となってさらに姿勢の崩れが増悪するといった負のサイクルをつくり出します.実際の食事場面の評価では,2次障害としての「姿勢の崩れ」,3次障害としての「筋緊張亢進」や「痛み」等は気づくことができるでしょう.しかし,姿勢が崩れる根本の原因である1次障害は,実際の座位姿勢を見るだけではわからない場合がほとんどです.

連載 脳損傷者への就労支援—対象者のデータベース化と多職種による支援の試み・第6回

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はじめに

 当院の入院患者の中で,生産年齢である10〜50代は約30%を占める.生産年齢にある脳卒中患者は,リハゴールとして「就労」を挙げることが多い1〜2).生産年齢の患者は発症前に仕事に就いている場合がほとんどであり,就労を目指すときの支援の第一選択は復職となる.2012年(平成24年)から約3年間の当院での退院後調査では,就労を達成した80名中,復職した患者は74名で,90%以上を占めている3)

 発症前の業務内容,役職の有無,雇用形態,勤続年数,職場内での人間関係,通勤手段等は患者それぞれによって異なり,個別性が高い.障害とのマッチングが必要なため,復職には職場の協力が欠かせない.しかし脳卒中の後遺症について理解が進んでいる職場は少なく,患者以上に困惑している場合も多い.復職の際には職場に丁寧な説明や情報交換を行い,環境調整まで介入することが少なくない.

 今回,職場との連携を行った結果,復職に至った2事例を振り返り,有効と思われる方法を報告する.

連載 作業療法を深める ㊶家族社会学

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多民族・多国籍化する日本社会

 本連載の目的は,2回にわたって「家族」の多様化の実態とその社会的背景を社会学の視点から読み解き,今後の課題を提示することである.前号1)で指摘したように,「日本国籍をもった(民族的に)日本人同士の異性愛に基づく性別役割分業型の核家族」に当てはまらない人々が増加しており,多様化する「家族」の実態に合わせた社会制度の再編が急がれている.

 前号1)では単独世帯の増加に着目し,「第一の近代」と「第二の近代」のそれぞれの時代の「家族」の特徴の比較を基に,「個人化」の進行が社会に投げかけている問題を検討した.

連載 遠隔地教育のススメ・第3回【最終回】

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はじめに

 本連載第1回と第2回では,地方在住OTの現状とニーズ,情報通信技術(information and communication technology:ICT)を用いた遠隔地教育の概要と実践,web会議ツールの使用方法について解説した.本稿では,これらの内容を踏まえたうえで,子育て世代への応用や運営方法,これまでに体験したエピソード,今後の課題について解説していく.

連載 認知症と仏教・第5回

声なき声を聞く 日髙 明
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なぜケアをすべきなのか

 寝たきりで,コミュニケーションがとれず,明晰な自己意識もないように見える.そういう利用者にも,私たちはきちんとケアを行うべきである.それはなぜか.

 もう15年も前,介護スタッフとして認知症高齢者のグループホームに勤めはじめたころだ.ヘルパー2級の研修(現在は介護職員初任者研修)に参加した.そこで講師の先生の言われたことが,研修後もしばらく引っかかっていた.

“不”定期連載 北村薫の図書室・第2回

LLブック 北村 薫

海外事情 特別編 海外における福祉用具支援サービス・第2回

イタリア共和国 米崎 二朗
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 福祉用具支援サービス構築のために不可欠なことは,専門職の教育システムと技術移転のためのスーパービジョンである.当研究室で参考にしているものは,イタリア共和国のIRCCS科学医療研究センター内福祉用具情報部門Servizio Informazioni e Valutazione Ausili(SIVA)の教育システムと,英国が教育手法に積極的に取り入れているスーパービジョンである.また,支援技術の基本概念モデルとして推奨しているのは,欧州連合(EU)におけるHorizontal European Activities in Rehabilitation Technology(HEART)モデルである.

 今回は,まず最初にEUのリハ技術の調査研究であるHEARTが提示したモデルの概要を述べた後,SIVA訪問で得たイタリアにおける教育システムと利用効果測定手法について紹介する.

学会長・学会運営審議会・学術集会長の言葉

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 第54回日本作業療法学会を新潟市の朱鷺メッセ新潟コンベンションセンターにて開催します.学会テーマは「作業の魅力・作業の力〜暮らしを支える作業療法の効果〜(The Attractions and Potentiality of Occupation—The effect of Occupational Therapy supporting people's daily life—)」です.このテーマは,第51回日本作業療法学会(東京)の「作業療法の挑戦—多様化するニーズに応える理論と実践」,第52回日本作業療法学会(名古屋)の「根拠に基づいた作業療法の展開」,第53回日本作業療法学会(福岡)の「作業療法研究のターニングポイント」という,理論,実践,根拠,研究を重視する流れを継承しつつ,2018年(平成30年)5月に改定された日本作業療法士協会の作業療法の定義を強く意識して設定しました.

 定義では,OTがより作業に焦点を当てた治療,指導,援助を行う専門職であることが明示されました.作業に焦点を当てた実践には,心身機能の回復,維持,あるいは低下を予防する手段としての作業の利用と,その作業自体を練習し,できるようにしていくという目的としての作業の利用,およびこれらを達成するための環境への働きかけが含まれます.作業療法の対象者は多様な疾患,症状,背景を有しており,OTには,医学の知識と医療技術を活用して,対象者の心身機能を回復あるいは維持,向上することのみならず,その人固有の暮らしを重視し,社会との調和が図られるように支援することが求められています.

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 日本理学療法士学会は,12の分科学会と10の部門で構成されています.2018年度(平成30年度)から,分科学会ごとに会期と場所を変えた分散開催が始まりました.2020年度(令和2年度)は分散開催3年目となります.2019年度(令和元年度)の学術大会総参加者実績は1万1,950人で2018年度(1万1,569人)に比べて381人の増でした.2018年度に続き,日本神経理学療法学会(2,458人),日本運動器理学療法学会(2,338人)が,参加者が最も多い学会でした.2020年度は複数の分科学会,部門で共催される等,特徴がある大会となります.医療従事者の働き方改革,チーム医療の推進等,以前にも増して多職種での協働が求められているなかで,多くのOTの方にも参加していただき,活発な意見交換が行われますこと祈念しております.どうぞよろしくお願い致します.

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 このたび,第21回日本言語聴覚学会を茨城県つくば市で開催致します.会場はJAXAでも有名な研究学園都市「つくば」にあります「つくば国際会議場」です.

 今回は,メインテーマを「未来につながる言語聴覚療法に向けて」としました.リハを進めていくにあたって,今後,より多職種連携が求められております.急性期,回復期,生活期そして地域のすべてのステージで,機能回復に加えていかに活動・参加へつなげていくかが重要となります.特に,多様化する地域社会にとって必要とされるSTとなっていくためには,学びを深め,新たな知見を得ることが必要であると考えております.

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 このたび,第57回日本リハビリテーション医学会学術集会を,国立京都国際会館で開催させていただくことになりました.伝統ある本会を主催致しますことは大変名誉なことであり,本学会のさらなる発展につながりますよう教室,同門全力で企画・運営にあたっていく所存です.会期は,当初6月11日(木)〜14日(日)まで4日間の予定でしたが,このたびの新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い,諸般の事情を鑑み8月19日(水)〜22日(土)までの4日間に延期することを決定致しました.

 急速に高齢化が進むわが国において,健康寿命延伸のため,リハビリテーション医学・医療は極めて重要な分野であり,さらなる発展・進歩が期待されています.そこで,本学術集会のテーマを「未来に羽ばたくリハビリテーション医学 Flying to the Future in Rehabilitation Medicine」としました.

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Abstract:ADL自立度の改善には,栄養状態や意欲が関連することが報告されている.これらの報告は横断的研究によるものである.本研究では,先に挙げられた要因を縦断的に調査し,要因の縦断的変化がADL自立度の改善に関連するか検討した.対象者は回復期リハ病棟入院患者とし,基本情報,ADL自立度,食事の自立度,栄養状態,意欲について評価を行い,二項ロジスティック回帰分析を用いて,入退院時にADL自立度の改善に関連する要因について分析した.結果,ADL自立度の改善度の関連要因に栄養状態の改善度があり(OR=1.78,p=0.01),栄養状態改善の関連要因の主たるものは食事の改善度であった(OR=4.44,p=0.01).以上より,ADL自立度の改善を図るためには,入院早期から栄養状態の改善を図るために,食事の自立度を改善するためのリハを展開することが有効であるものと考えられた.

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Abstract:高齢者にとって自動車は,通院や買い物等,社会生活の維持に重要な移動手段である.リハ分野では,医療機関を中心に,脳血管障害者への自動車運転(以下,運転)再開支援が広がっているが,地域での実践は乏しく,訪問リハで生活行為向上マネジメント(Management Tool for Daily Life Performance:MTDLP)を活用した運転再開支援の報告はみられない.

 今回,右慢性硬膜下血腫を発症後,生活不活発状態に陥っていた80代前半の男性は,移動手段としての運転再開を希望した.訪問リハで担当する機会を得て,MTDLPを活用して約2カ月間介入した.専門職の慎重な判断と責任に基づいて多職種で支援した結果,運転を再開して通院が可能となり,趣味活動の再開へ向けた生活拡大のきっかけをつくることができた.

昭和の暮らし・第41回

モノの値段 市橋 芳則
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 ふと気になった.

 少年のころ,小遣いを握りしめ駄菓子屋さんに買いに行ったあのキャラメルはいくらだったのだろうか.

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目次

表紙のことば/今月の作品

次号予告

研究助成テーマ募集

第55巻表紙作品募集

Archives

学会・研修会案内

編集後記 香山 明美
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 今年も桜の季節がやってきた.この3月11日で東日本大震災から9年を迎えた.あの年は3月なのに真冬のような寒さが続き,ダウンジャケットで病院内を移動していた.4月になって桜が咲いてから雪が降った,あの光景を忘れることができない.私たちは,何か大きな間違いをしてしまい,罰を与えられているのではないか,と思った.豊かな生活をあたり前のように享受し,少し寒くても暑くても不満を訴えるような生活をしてきたことに自戒を込めてそんな風に思った.この思いはその後,災害が起こるたびに強くなってくる.

 新型コロナウイルス感染症が深刻化してきている.全世界的に経験しているこの非常事態は,大きな災害でもあるといえる.この災害への対応が今後,さらに押し寄せる災害への教訓になることはいうまでもない.しかし,人類はこれまでの災害からの教訓をどれだけ学びにしてきただろうか.同じ轍を踏む歴史を繰り返してきたのではないかと思う.人間はいかに愚かな生き物であるかを知る必要がある.

基本情報

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作業療法ジャーナル
54巻5号 (2020年5月)
電子版ISSN: 印刷版ISSN:0915-1354 三輪書店

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