連載 食べる楽しみを支える 実践編・第2回
「食事場面を見に行くだけで大丈夫?」—リハビリ室だから行える座位姿勢の評価
佐藤 彰紘
1
Akihiro Sato
1
1目白大学
pp.450-454
発行日 2020年5月15日
Published Date 2020/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001202090
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リハビリ室評価は「原因へのアクセス」
ADLの評価・介入は,リハビリ室→病棟→実際の生活環境の順に実用的になり,具体的なOT介入が可能になります.座位姿勢への介入も基本は同じです.リハビリ室での模擬的な介入より,実際生活を行う場での食事の評価・介入のほうが実用的であることに間違いはありません.
しかし,ここに大きな落とし穴があります.座位姿勢を崩す場合,その多くは機能的要因となっている1次障害があります(図1).つまり,食事場面で観察される姿勢の崩れは1次障害によって引き起こされた2次的なものであり,食事場面で姿勢の崩れに直接介入をしても効果は得にくいということです.さらに,2次障害である姿勢の崩れは筋緊張亢進や痛み等の3次障害を引き起こし,それが原因となってさらに姿勢の崩れが増悪するといった負のサイクルをつくり出します.実際の食事場面の評価では,2次障害としての「姿勢の崩れ」,3次障害としての「筋緊張亢進」や「痛み」等は気づくことができるでしょう.しかし,姿勢が崩れる根本の原因である1次障害は,実際の座位姿勢を見るだけではわからない場合がほとんどです.
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