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編集後記
香山 明美
pp.508
発行日 2020年5月15日
Published Date 2020/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001202108
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今年も桜の季節がやってきた.この3月11日で東日本大震災から9年を迎えた.あの年は3月なのに真冬のような寒さが続き,ダウンジャケットで病院内を移動していた.4月になって桜が咲いてから雪が降った,あの光景を忘れることができない.私たちは,何か大きな間違いをしてしまい,罰を与えられているのではないか,と思った.豊かな生活をあたり前のように享受し,少し寒くても暑くても不満を訴えるような生活をしてきたことに自戒を込めてそんな風に思った.この思いはその後,災害が起こるたびに強くなってくる.
新型コロナウイルス感染症が深刻化してきている.全世界的に経験しているこの非常事態は,大きな災害でもあるといえる.この災害への対応が今後,さらに押し寄せる災害への教訓になることはいうまでもない.しかし,人類はこれまでの災害からの教訓をどれだけ学びにしてきただろうか.同じ轍を踏む歴史を繰り返してきたのではないかと思う.人間はいかに愚かな生き物であるかを知る必要がある.
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