理学療法ジャーナル 54巻11号 (2020年11月)

特集 歩行PART 1 脳神経疾患と歩行

EOI(essences of the issue)
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 「歩行PART 1」として脳神経疾患と歩行について,歩行の観察評価,治療介入における部分法と全体法,装具・歩行補助具との融合に続き,脳卒中,パーキンソン病,不全脊髄損傷,脳性麻痺,バランス低下による歩行障害の評価と治療について解説していただきました.

 次号のPART 2「運動器疾患と歩行指導」とともに,“歩行と理学療法”について考えます.

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1.特集の意図と構成

 本号(54巻11号)ならびに次号(同12号)では,それぞれ,脳神経疾患,運動器疾患と歩行と題した特集を組みました.理学療法士が歩行の評価と治療・支援を行う際には,疾患や病態と関連の深い各論的な知識や技能に加えて,歩行に共通した内容が含まれます.そのため,2号を1つの大きな「歩行」の特集として理学療法士が歩行を考える共通の内容をあえて散りばめる形で構成しています.

 共通の内容としては,観察評価(11号),治療・介入の基本である部分法と全体法(11号),装具・歩行補助具との融合(11号),歩くことをどう教えるか(12号),歩行指導の基本と応用歩行(12号),転倒・骨折予防のための歩行評価とアプローチ(12号)を取り上げました.一部には疾患や病態に基づく記述も含まれますが,広く参考になる共通の概念が示されています.

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Point

●印象はいわゆる仮説の切り口となる.なぜそのような印象を感じたのかを機能的課題に照らし合わせ,該当する歩行相を観察する.そこでの逸脱した動きから,その仮説を検証し問題点を絞り込んでいくことができる.

●観察カードや全身様式フォームでの分析法により,各歩行相間での逸脱した動きを関連付けることで歩行周期全体での流れを理解することができる.

●介入後の着目点は,主原因での逸脱とともに副次的な動きや代償性の動きである.パターン化された動きを予測し注意深く観察することで,治療効果の判定を行うことができる.

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Point

●歩行周期を構成する単位動作の観察分析に基づいて症状や機能障害との因果的解釈により問題を明らかにする

●歩行練習は,歩行周期を構成する単位動作ごとに練習を行う部分法と歩行周期全体を繰り返し練習する全体法からなる

●部分法は,運動パターンやバランス機能の調整を理学療法士のハンドリングによる教師あり学習に,全体法は患者自身が歩行周期の遂行能力を主体的に知覚し,修正を行う教師なし学習に基づくものである

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Point

●装具歩行トレーニングは一般医療機関でも実施することができ,長期的な実施も可能である

●再生医療を念頭に置いた重症神経疾患患者における装具歩行トレーニングは再考の余地がある

●装具の効果を最大限発揮させるためには機能回復の程度に応じて自由度の制限を適宜調整することが重要となる

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Point

●歩行分析は,量的評価のみでなく質的分類を行い,臨床推論の一部として用いられる

●脳卒中後遺症者の歩行障害に対するアプローチは,神経の可塑的変化に伴う運動学習によって進めるべきである

●理学療法士の外在的フィードバックが過剰にならないよう注意し,対象者の能動性を最大限に引き出す工夫が求められる

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Point

●パーキンソン病の歩行障害は疾患初期から認め,疾患の進行とともに顕著になり,多要因が関与するようになる

●歩行障害の評価は,対象者に応じて課題や環境を設定し,動作と内面の変化を捉える視点が重要である

●薬物治療と理学療法の併用はパーキンソン病の歩行障害の改善に有用である

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Point

●歩行の不安定性の評価では,① 歩行評価指標の活用,② 身体機能評価を用いた要因の推測,③ バランス能力との関連性の確認,④ 歩行相に沿った評価を行う

●不安定性の原因のうち,運動療法による改善が可能なものと困難なものを見分けることが重要である

●理学療法では支持基底面と重心との関係を再学習する課題志向型の動作練習が中心となる

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Point

●患者の全体像や神経学的所見(Neurological Level of Injury:NLI,麻痺の重症度)や脊髄損傷特有の合併症の有無を十分に評価したうえで,目標や介入方法を設定する必要がある

●歩行能力改善のためには,神経可塑の観点,運動学的観点の両面からみたポイントを踏まえたうえで,適切な環境(機器・装具の利用含む)でのインテンシブな歩行練習が有効である

●重症例においては,歩行練習に加え脊髄損傷特有の起居動作,移乗動作,車椅子操作の獲得が必要である

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Point

●脳性麻痺による歩行障害を考える際には,対象者のもつ発達障害をまず明確にする必要がある

●歩行障害に対する治療の第一選択は課題特異的な歩行トレーニングである

●ロボットを用いたトレーニングは歩行機能の発達や維持に有効であり,さらなる技術の発展が望まれる

Close-up 糖尿病

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はじめに

 糖尿病領域における薬物治療の進歩はめざましく,過去約10年の間にも,新たな作用機序をもつ薬剤が次々と上市された.本稿では各薬剤の作用機序と使用上の注意について,日本糖尿病学会による最新の『糖尿病治療ガイド2020-2021』の内容を踏まえながら概説する1)

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 糖尿病治療の目標は,腎症,網膜症,神経障害,冠動脈疾患,脳血管障害,末梢動脈疾患などの合併症予防であるが,糖尿病足潰瘍は代表的かつ重篤な合併症の1つである.欧米での糖尿病足潰瘍の発症率は年に約2%で,生涯発症率は15〜20%と高率である.一方,わが国の糖尿病足潰瘍や切断の発症率は,欧米白人,アフリカ系黒人に比べて低率であるが,増加する末梢動脈疾患(peripheral arterial disease:PAD)合併例や透析例に多くみられる.

 足潰瘍は,症状が神経障害でマスクされるため本人が気づきにくく,病変は靴下や靴のなかで診察機会が少ないため,早期発見が困難である.また,足潰瘍の治療には,複数科と多職種のチーム治療が必要であるが,チームメンバーがそろわないことが多い.さらに,依然として糖尿病足潰瘍の専門医は少なく,また切断率は高く,生命予後は不良で再発率も高い.理学療法士には,足潰瘍治療中および治療後あるいは切断後のリハビリテーションと,再発予防にチーム医療の一員として積極的な参加が求められる1)

連載 とびら

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 人を育てることって難しくないですか? 私のまわりの理学療法士からも「教え方なんて勉強してこなかった」,「Aさんはいいけど,Bさんは無理です」,「部下に指導しても聞いてくれない」と悩みの相談は尽きません.悩みながらも学生や若手の教育担当になり,どうにか育成したいと思っている方も多いと思います.そこで質問です.皆さんは職員の育成をする際に,何に気をつけていますか?

 感覚的な話で申し訳ないですが,私が一番気をつけていることは「相手のエネルギーはどれくらいか?」です.私は教育研修室とリハビリテーション科を兼務しています.教育研修室は当院1,000名以上の職員を間接的・直接的に教育・支援を行う部署です.職員を育成する際の教授法や支援方法はさまざまありますが,同じかかわり方でもスーッと受け取ってもらえる場合と壁をつくられる場合があります.以前は相手の能力やタイプに合わせてかかわりましたが,徐々に信頼関係や本人のあり方・考え方にかかわるようになりました.

連載 目で見てわかる 今日から生かせる感染対策・4

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Question 1. イラストの服装で微生物に汚染されやすい部位はどこでしょう?

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Question

この脳画像から何を読み取りますか?

連載 内科疾患患者における理学療法介入に必要なアセスメント・Part 5

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本疾患の概要

 本稿では,代謝疾患のなかで理学療法対象者が有していることが多い糖尿病に焦点を当て述べる.糖尿病は,1型,2型,そのほかの特定の疾患によるものと妊娠糖尿病に分類され,日本では2型糖尿病が95%を占める.糖尿病になる要因には,遺伝的要因と環境的要因があり,環境的要因は肥満,過食,運動不足,精神的ストレスなどである.これらの要因が組み合わさることによって糖尿病になると考えられており,特に,環境的要因が大きく関与していることから生活習慣病の1つとして知られている.

 糖尿病患者の多くは自覚症状がないが,血糖コントロールの状況によって急性合併症および慢性合併症を生じる.急性合併症では高血糖を呈する糖尿病ケトアシドーシスや高浸透圧高血糖状態,また薬物療法中に生じる低血糖がある.慢性的な高血糖による合併症としては,細小血管症と称する糖尿病神経障害,糖尿病網膜症,糖尿病性腎症がある.近年の調査では,糖尿病で失明する人は年間約3,500人以上,糖尿病が要因で透析導入する人は年間約13,000人以上,糖尿病壊疽による足切断は年間3,000人以上となっており,糖尿病管理の重要性が強調されている1)

連載 質的研究の魅力と可能性・第2回

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1.はじめに

 看護師は患者の健康状態が少しでも良好になることをめざして,患者に身近な日常生活に即してケアを提供する健康援助専門職である.看護師は患者の医学的,身体的な側面のみならず,心理,社会,文化,霊的な側面を含め,全体論的なケアを提供することがその専門性である.そのために研究によって追究する患者現象は,量的研究によって検証することが難しい人間行動が重要となる.もっとも,量的研究であっても尺度開発手法を使用し駆使すれば追究できない現象はなくもない.しかしながら,巧みな深層面接法や参加観察法を用いて得られる貴重なデータは質的研究でなければ実現し得ないだろう.

 現在,看護分野において質的研究は重要な研究手法である.本邦では1990年代初頭にその起源を見ることができる.以来30年を経過した2020年現在,質的研究は看護分野において量的研究と肩を並べ発展してきている.

 本稿は,看護分野における質的研究の動向と可能性を検討する.最後に理学療法分野の質的研究の方向性について言及する.

連載 理学療法士が知っておきたいヘルスケア産業・11

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 ミツフジ株式会社は創立64年を迎えた京都の西陣織工場として起業した会社である.2014年に3代目となる三寺歩が社長となり,銀めっき繊維を利用したウェアラブル技術のhamon®(ハモン)を核としたテクノロジー会社として新たな道を歩み始めた.

連載 国試から読み解く・第11巻

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Parkinson病に対する包括的な評価指標であるUPDRSの評価項目でないのはどれか.

連載 臨床実習サブノート 運動器疾患の術後評価のポイント—これだけは押さえておこう!・8

腰部脊柱管狭窄症 石田 和宏
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はじめに

 腰部脊柱管狭窄症(lumbar spinal stenosis:LSS)の疫学的調査によると,本邦の有病者数は約365万人とされ,高齢化の進行とともに今後もますます増加すると予測されています1).つまり,理学療法士が臨床で頻繁に遭遇する運動器疾患の1つと言えます.LSS治療の第一選択は薬物治療や運動療法などの保存療法です.手術治療は一般的に保存療法での改善が乏しかった場合に選択されます.手術の治療成績は,おおむね良好との報告が大半です.しかし,術後に合併症を認める例,下肢痛や腰痛の改善が乏しい例,心理社会的因子が影響している例では,術後の患者満足度が低くなる傾向もあります.

 本稿では,LSSにおける術後評価のポイントを ① 術後の合併症,② 疼痛・しびれ,③ 間欠性跛行,④ 心理社会的因子の評価とし,特に注意すべき点を中心に解説します.

連載 HOT NEWS

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スマートシティとスーパーシティ

 「スマートシティ」は,「都市の抱える諸課題に対して,ICTなどの新技術を活用しつつマネジメントが行われ,全体最適化が図られる持続可能な都市または地区」などと表現される.国外では,すでにさまざまな都市で開発競争が行われてきた.

 本邦では政府が2030年ごろの実装を目指して,「様々なデータを分野横断的に収集・整理し提供する『データ連携基盤』を軸に,地域住民等に様々なサービスを提供し,住民福祉・利便向上を図る都市」,つまり「まるごと未来都市」を創り出す「スーパーシティ構想」を掲げている.スーパーシティは,スマートシティと異なり,複数分野で横断的でおのおのが相乗効果を生むこと,住民合意が前提条件であることなどの特徴がある,規制改革を伴った日本独自の全体最適先行型プロジェクトとされている.国会では「国家戦略特別区域法の一部を改正する法律(スーパーシティ法)」が2020年5月に可決され,国内でのスーパーシティの動きが活発になってきている.

連載 私のターニングポイント・第12回

誰の笑顔が見たいのか? 生野 達也
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 私は現在,兵庫県西宮市を中心に脳卒中の方を対象とした保険外リハビリテーション施設を運営しながら,脳卒中当事者会や脳卒中当事者の仕事づくりを広める活動をしています.現在は,自分自身のやりたいことや使命が明確ですが,かつてはそうではありませんでした.私のターニングポイントは2つありました.

 1つ目のターニングポイントは,“広める”という価値観に気がついたことでした.私は以前病院に勤めていた頃,「認知神経リハビリテーションにおける臨床,研究,教育すべての分野ができる理学療法士になりたい」と強く思っていました.すばらしい同僚に恵まれ,臨床現場での研鑽を図りながら,苦手意識のあった研究活動も行ってきました.

連載 Relay Message・第11回

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 私の目標は「自分の大切な人を,安心して入院させることができる病院をつくる」ことです.この目標は私が理学療法士として働き始めたとき,院長からいただいた言葉です.あれから15年経ちましたが,今もその目標を胸に日々の臨床に加え,NPO法人Ctake会を主宰し,セミナー事業の活動にも取り組んでいます.

 目標を立て,それに向かって今やるべきことを実践するということの大切さを改めて実感する出来事が2つありました.

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要旨 【目的】肩甲骨引き寄せ距離(scapular retraction distance:SRD)と,高校生野球選手の投球肘障害との関連について調査した.【方法】対象は野球肘検診に参加した高校生野球選手222名である.投球肘障害群と健常群の2群間に分け,アンケート調査とSRDおよび肩甲上腕関節2nd外旋(2nd external rotation:ER2)を比較検討した.SRDに関しては,receiver operating characteristics(ROC)曲線を用いて投球肘障害に対するカットオフ値を算出し,得られたカットオフ値をもとに2群間での投球肘障害の割合を比較した.【結果】投球肘障害群での平日練習時間,SRDは有意に高値であり,ER2では有意に低値であった(p<0.025,p<0.01,p<0.026).ROC曲線を用いた投球肘障害に対するSRDのカットオフ値は24.75cm,感度0.43,特異度0.76,AUC 0.63であった.カットオフ値以上の選手における投球肘障害の割合が有意に高かった(p<0.01).【結論】SRDは投球肘障害の予測因子である可能性が示唆された.

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要旨 3歳未満の子を持ち,肩こりまたは腰痛のある女性を主な対象として試作した「育児動作困難感尺度(difficulty scale of childcare:DiSC)」を確立することを目的に,同尺度の信頼性および併存的妥当性を検証した.DiSCは「抱っこ」などの9つの育児動作からなり,各動作の困難感を対象者に回答してもらった.回答の選択肢は「0点:肩こり・腰痛があってもまったく困難・支障はない」〜「3点:肩こり・腰痛のため,苦痛が強く私には行えない」の4件法とした.3歳未満の子を持つ女性のうち,DiSC,肩こり・腰痛強度,疼痛生活障害評価尺度(Pain Disability Assessment Scale:PDAS)のすべてに回答した404人(33±3.5歳)を解析した.項目反応理論に基づくテスト情報関数より,DiSCは育児動作困難度が平均以上の人に対して良好な測定精度を示した.また,肩こり・腰痛強度よりも(それぞれr=0.27,0.34),同じ活動制限の尺度であるPDASと強く相関した(r=0.77).以上より,DiSCは信頼性と併存的妥当性を有する尺度であることが確認された.

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はじめに

 脳卒中片麻痺者は,脳の損傷部位によって運動障害だけでなく感覚障害を呈することが多く,その影響で歩行障害を来すことが多い.そして,感覚障害による歩行障害に対して,感覚を促通する目的でさまざまな方法での感覚のフィードバック(feedback:FB)を試みるが,歩容の改善に難渋することを多く経験する.

 運動イメージ(motor image:MI)を利用した運動能力を改善させるアプローチとしては,ミラーセラピーが代表的であるが,歩行に関して臨床における有効性の報告は決して多いとは言えない.今回,MIを想起させるツールとしてタブレットを使用したことで早期の歩行自立に至った症例を経験したため,以下に提示する.

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 回復期リハビリテーション病棟(CRW:本書に倣ってこう略す)は2000年に新設され,私が臨床でCRWに携わったのは2004年のことである.当初はまだ右も左もわからないなか,先行導入されている数々の病院に見学に行っては,当院でどのようなCRWを築き上げていけばよいかと暗中模索,いや,ほぼ五里霧中の状態であった.そのようなときに,もしこのようなマニュアルがすでに発刊されていれば当時の私の机にそっと置いてあげたい.この本を読んだ一番の感想はそれである.

 本書はCRWにかかわる膨大な知識やノウハウについて,どのCRWに勤める医療者が見ても一定のコンセンサスが得られるベーシックな内容から,実際のCRWを長年経験した方でないとわからないような一歩も二歩も踏み込んだ内容までわかりやすく記載されている.特に,第4章2の後半部分の「復職支援」や「自動車運転再開のための訓練」の項目には大変驚いた.おそらく,自動車運転までフォローしているCRWは全国的にもまだまだ少ないと思われるが,すでに詳細な診療フローチャートが完成されており,かつ多くの症例の経験から得られたであろう要点が細かく記載されているところから,普段のリハビリテーション診療の質の高さがうかがえる.また,編者であり著者でもある角田亘先生のリハビリテーション医としての誇りが随所に感じられ,“理想のCRWとはこうあるべき”といった力強い記載が読んでいて心地よい部分である.記載内容と同じような取り組みができていればお墨付きを得た気分になり,今日までの努力は無駄でなかったと安堵している.

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目次

文献抄録

読者の声

「作業療法ジャーナル」のお知らせ

バックナンバー・次号予告のお知らせ

編集後記 内山 靖
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 第54巻11号をお届けします.

 COVID-19下の生活スタイルは国・国民が試行錯誤の連続ですが,Go toトラベルに関連して街頭インタビューを受けた人のなかに,渋滞や人混みさえも心地よく感じたとの回答が印象的でした.人間には,移動の欲求や日常とは異なる環境や状況に身を置くことが本能として備わっていることを実感させられます.一般的には,歳を重ねると食生活を含めて毎日の変化が少ないことを求める傾向にあり,同時に,日常のちょっとした変化に喜びや感慨を覚える感受性が高まります.私たちは変化と安定のバランスをとって適応と進化を続ける対象者に接するなかで,移動としての歩行をどのように捉えるのかはある意味で理学療法士の永遠のテーマであると考えています.

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基本情報

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理学療法ジャーナル
54巻11号 (2020年11月)
電子版ISSN:1882-1359 印刷版ISSN:0915-0552 医学書院

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