連載 内科疾患患者における理学療法介入に必要なアセスメント・Part 5
代謝疾患の理学療法介入に必要なフィジカルアセスメント
井垣 誠
1
Makoto IGAKI
1
1公立豊岡病院日高医療センターリハビリテーション技術科
pp.1321-1325
発行日 2020年11月15日
Published Date 2020/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551202114
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本疾患の概要
本稿では,代謝疾患のなかで理学療法対象者が有していることが多い糖尿病に焦点を当て述べる.糖尿病は,1型,2型,そのほかの特定の疾患によるものと妊娠糖尿病に分類され,日本では2型糖尿病が95%を占める.糖尿病になる要因には,遺伝的要因と環境的要因があり,環境的要因は肥満,過食,運動不足,精神的ストレスなどである.これらの要因が組み合わさることによって糖尿病になると考えられており,特に,環境的要因が大きく関与していることから生活習慣病の1つとして知られている.
糖尿病患者の多くは自覚症状がないが,血糖コントロールの状況によって急性合併症および慢性合併症を生じる.急性合併症では高血糖を呈する糖尿病ケトアシドーシスや高浸透圧高血糖状態,また薬物療法中に生じる低血糖がある.慢性的な高血糖による合併症としては,細小血管症と称する糖尿病神経障害,糖尿病網膜症,糖尿病性腎症がある.近年の調査では,糖尿病で失明する人は年間約3,500人以上,糖尿病が要因で透析導入する人は年間約13,000人以上,糖尿病壊疽による足切断は年間3,000人以上となっており,糖尿病管理の重要性が強調されている1).
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