連載 質的研究の魅力と可能性・第2回
看護分野における質的研究の動向と可能性
黒田 裕子
1
Yuko KURODA
1
1看護診断研究会
pp.1326-1330
発行日 2020年11月15日
Published Date 2020/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551202116
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1.はじめに
看護師は患者の健康状態が少しでも良好になることをめざして,患者に身近な日常生活に即してケアを提供する健康援助専門職である.看護師は患者の医学的,身体的な側面のみならず,心理,社会,文化,霊的な側面を含め,全体論的なケアを提供することがその専門性である.そのために研究によって追究する患者現象は,量的研究によって検証することが難しい人間行動が重要となる.もっとも,量的研究であっても尺度開発手法を使用し駆使すれば追究できない現象はなくもない.しかしながら,巧みな深層面接法や参加観察法を用いて得られる貴重なデータは質的研究でなければ実現し得ないだろう.
現在,看護分野において質的研究は重要な研究手法である.本邦では1990年代初頭にその起源を見ることができる.以来30年を経過した2020年現在,質的研究は看護分野において量的研究と肩を並べ発展してきている.
本稿は,看護分野における質的研究の動向と可能性を検討する.最後に理学療法分野の質的研究の方向性について言及する.
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