呼吸と循環 62巻5号 (2014年5月)

特集 利尿薬をめぐる諸問題

序文 廣谷 信一 , 増山 理
  • 文献概要を表示

 利尿薬は心不全治療において必要不可欠な薬剤である.利尿が奏功すれば,うっ血症状が急速に改善する.特にループ利尿薬はその切れ味の鋭さから心不全で最も使われている利尿薬と言えよう.しかし,重症心不全では利尿薬をいくら増量しても,目指すだけの利尿効果が得られない患者が少なからずいる.そういう患者は「利尿薬抵抗性」を有する患者であり,これらの患者では,利尿を得るにはどうすればいいかということは大きな問題である.特に,最近登場した新たな作用機序の利尿薬(バソプレシン受容体拮抗薬)にはこういう利尿薬抵抗性症例での期待は大きい.

 一方,慢性心不全例において,ループ利尿薬の種類を考えることにより,予後改善が得られるかもしれないという結果がある.また,カリウム保持性利尿薬(ミネラロコルチコイド受容体遮断薬)は軽症から重症に至るまでの慢性心不全患者の生命予後を改善させることが実証された.このように慢性心不全患者の利尿薬の投与については,予後への効果を考えなければならない時代がやってきた.

  • 文献概要を表示

はじめに

 心腎不全の病態では体液貯留が進行し,利尿薬が必要となる.しかしながら,これらの病態ではしばしば利尿薬抵抗性がみられ,そのために高用量の利尿薬を必要とする.高用量のループ利尿薬の使用により,腎機能の低下がしばしば観察される.そのため,利尿薬抵抗性の病態を把握し,これに対し臨床的に対策を練ることにより,無駄で害のある投薬をせずに済む.近年,臓器保護を狙える利尿薬が出てきている.しかしながら既存の利尿薬の使用により,これらの臓器保護能力をもつ薬剤の抵抗性をもたらしてしまうことがある.そのため,臓器保護能力のある利尿薬をなるべく早期から使用し,腎障害性のある利尿薬を必要最小限にとどめることが肝要である.したがって本稿では利尿薬の作用機序と利尿薬抵抗性の病態について概説し,その対策を紹介する.

  • 文献概要を表示

はじめに

 ループ利尿薬は心不全における体液量のコントロールに欠くことのできない薬剤である.太いヘンレ係蹄上行脚の管腔側のNa/K/Cl共輸送体(NKCC2)に働き,Naの再吸収を抑制することにより利尿効果を発揮する.しかし,ループ利尿薬の投与は,交感神経系(SNS)やレニン-アンジオテンシン-アルドステロン系(RAAS),アルギニンバソプレシン(AVP)などの心不全を増悪させる神経体液性因子を亢進させ,心不全の予後を悪化させる可能性が指摘されている.

 本稿では,ループ利尿薬の薬理,急性心不全におけるループ利尿薬の使い方,最近のエビデンスの紹介,最後に腎血流が低下した状態でのループ利尿薬の使い方を概説する.

  • 文献概要を表示

はじめに

 カルペリチド(carperitide)やネシリチド(nesiritide)などのナトリウム利尿ペプチド(NP)は血管拡張作用,神経体液性因子の抑制作用,利尿作用を持つ.そこで,心不全の病態を考慮すれば急性心不全患者の血行動態の改善や予後の改善をもたらすのではないかと期待されてきた.しかし,数多くの新しい急性心不全治療薬がそうであるように,これまでの臨床試験ではNPも急性心不全治療薬として臓器保護効果や予後改善効果は認められていない.しかし,NPの持つこれらの効果は急性心不全のサブグループにおいて,なかでもループ利尿薬抵抗性の症例において,その効果が期待される.本稿ではNPの持つ多面的作用のうち,利尿薬としての効果についてまとめてみたい.

  • 文献概要を表示

はじめに

 心不全治療において利尿薬は必要不可欠である.実際,急性心不全疫学調査であるATTEND registryの報告1)によると,入院期間中に78.8%の患者で利尿薬が使用されている.そして,その多くがループ利尿薬の静脈内投与である.また,退院時に経口ループ利尿薬が81.2%に投与されている.この事実から,心不全で入院を要する患者の多くは,入院時も退院時もうっ血を伴っていることを示している.入院を要する心不全患者の体液管理には,当然ながら利尿薬が必須である.そして,最近の知見によれば,臓器保護の観点から,臓器うっ血を確実に改善しておくことが重要であると言われている2).しかし,一方で,うっ血を確実に改善しようと利尿を図ることで,腎臓に負担をかけ,それがさらなる腎傷害を引き起こすこともある.このジレンマを解決するために,ナトリウム排泄型の利尿薬以外の利尿薬が求められていた.こうしたなか,2010年10月に,世界で唯一,バソプレシン受容体拮抗薬であるトルバプタンが心不全の適応で承認された.承認以降,使用経験が積まれ,多くの研究が行われつつあり,今後ますます,この薬剤への期待が高まると共に,一方で,新たなる課題も持ち上がってきている.本稿では,現時点までのトルバプタンのエビデンスを総括すると共に,今後の課題についてまとめる.

  • 文献概要を表示

 トルバプタンはバソプレシン(AVP)受容体拮抗薬として初めて心不全治療に応用された新しい機序の利尿薬である.従来からの利尿薬であるループ利尿薬やサイアザイド系利尿薬は心不全治療に使用された歴史は長く,功罪ともに指摘されるものの,不可欠な薬剤である.しかし,既存の利尿薬に抵抗性の心不全患者も多く,新しい機序のトルバプタンに対する期待も大きい.この小論ではレスポンダー・ノンレスポンダーの問題,今後の臨床試験のあり方について考察したい.

  • 文献概要を表示

はじめに

 利尿薬は,心不全治療に欠かすことのできない薬剤である.『急性心不全治療ガイドライン(2011年改訂版)』(JCS2011)1)では,急性心不全における肺うっ血に対するフロセミドの使用がClass Ⅰとされている.また,『慢性心不全治療ガイドライン(2010年改訂版)』(JCS2010)2)でも,エビデンスレベルは低いものの,うっ血症状があるときの利尿薬の使用がClass Ⅰとされており,うっ血を伴った心不全患者に対し利尿薬を使用することは,異論のないところであろう.しかし,近年発表された多くの観察研究や大規模臨床試験の解析結果では,心不全治療で使用した利尿薬の投与量が多ければ多いほど腎機能悪化や低Na血症が誘発され,患者の予後も悪化することが示されている3,4).このため,症状が比較的安定した慢性期には,他の心不全治療薬を併用したうえで,利尿薬の減量あるいは短時間作用型から長時間作用型利尿薬への変更が望ましいことが示唆されている.本稿では,短時間作用型ループ利尿薬投与による予後悪化の機序を概説したのち,慢性心不全症例におけるループ利尿薬の使用法と,短時間作用型から長時間作用型ループ利尿薬への変更によって期待される効果について述べる.

  • 文献概要を表示

 ミネラロコルチコイド受容体(MR)遮断薬はカリウム保持性利尿薬に分類されるが,心不全診療では利尿薬としてではなく心筋保護薬として認識されている.リガンドであるアルドステロンの心臓に対する作用機序に関しては十分に解明されていないものの,MRの活性化が心筋細胞肥大や線維化を促進するとの報告が多く,わが国の「慢性心不全治療ガイドライン(2010年改訂版:JCS2010)」では利尿薬,アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬,β遮断薬などのいわゆる「心不全標準治療薬」が既に投与されているNYHA Ⅲ度以上の重症心不全患者に対するスピロノラクトン,エプレレノンの追加投与をClass Ⅰ,つまりエビデンスから通常適応され常に容認される,と位置付けている.また2009年にはEMPHASIS-HF試験において,より軽症のNYHA Ⅱ度の収縮機能障害を伴う心不全患者に対してもエプレレノンの有効性が証明されるなど,多くの臨床試験や実験結果から心不全診療におけるMR遮断薬がもたらす心保護効果,生命予後改善効果が証明されつつある.

 本稿ではMR遮断薬の心臓における作用機序と心不全患者に対するエビデンスを紹介するとともに,今後の心不全治療における課題についても述べる.

  • 文献概要を表示

 「健診でBrugada症候群かもしれないと言われて,大学病院を紹介されました」と私の外来を受診される方(ほとんどの場合,健常者であるので患者と呼ぶべきではなかろう)は少なくない.インターネットで簡単に検索ができるご時世も手伝って,「私は近い将来突然死するのでしょうか」と不安そうに尋ねてくる.私自身は,「無用な不安を与えない」ことを一義的に対処している.まずは丁寧に病歴の聴取を行い,心電図所見と併せて,低リスクの方(ほとんどの場合がこれに該当する)に対しては,「心配要りませんよ」と安心していただくようにしている.しかし,ときには,中等度以上のリスクを抱えている方にも出会う.いろんな疾患において,「経過観察」は患者に多くのメリットをもたらす.たとえば,「ウイルス肝炎の患者を定期的にエコー検査でフォローし,肝癌を早期に発見して適切な治療を行う」などが典型例であろう.では,Brugada型心電図波形を有する方はどうであろう.襲ってくるイベントが,心室細動(VF)・心臓突然死であるため,「経過観察」はほとんど意味をなさない.ある時点で,植込み型除細動器(ICD)の適応があると判断すれば植込みを行い,そうでなければ何もしないということになる.Brugadaらの「臨床電気生理検査(EPS)でVFが誘発される場合は高リスクである」との報告(Brugada, et al. Circulation, 2003)を受けて,本邦でも,低リスクの方にEPSが施行され,VFが誘発されたことを根拠にICDを植込まれたという事例が少なからず発生した.その後の多くの臨床研究報告によって,現在では,「Brugada型心電図波形におけるEPSによるVF誘発は,高リスクの指標にならない」との考えが一般的になっている.

 さらにやっかいなのが,心電図の早期再分極(J波)所見である.報告者によって差はあるが,健常者に早期再分極(J波)が認められる頻度は数%~23%に達する.確かに特発性VF患者に早期再分極(J波)所見が多く認められるのは事実であるが,これだけ頻度高く認められる所見を有する方に対してすべからく精査を行うことは現実的でない.特発性VFの好発年齢は35~45歳の男性であるが,この年齢層の男性における一般人口での特発性VFの発症率は人口10万人当たり34名と報告されている.一方,何れかの誘導での早期再分極(J点上昇)出現率は,特発性VF患者では42%,健常人では13%で,特発性VF群では正常群よりも3.23倍ほど高いとの報告がある.この報告に従えば,早期再分極(J波)が認められる対象のなかで特発性VFを起こす例は3.4人×3.23=11人/100,000人と推測される.すなわち,健診・スクリーニング検査などで早期再分極(J波)を認めたとしても,将来,VFを起こす率は10,000人に1人程度と非常に低い.したがって,早期再分極(J波)所見の認められる方に対して,「将来,心臓突然死をきたす可能性がありますので…」といった説明を行うことは,無用な不安を与えるだけである.

連載 呼吸機能障害を来す病態の画像・5

COPDと肺気腫 岩澤 多恵
  • 文献概要を表示

はじめに

 慢性閉塞性肺疾患(chronic obstructive pulmonary disease;COPD)は,長期の喫煙歴により生じた肺の炎症性疾患で,呼吸機能検査で正常に復すことのない気流閉塞を示す疾患と定義されている1).この気流閉塞は肺気腫病変と末梢気道病変の両者が様々な割合で組み合わさって起こる.したがって,個々の症例では肺気腫と気管支炎の両方が存在し,画像所見は多彩である.本稿ではCTを中心に,COPDの呼吸障害と関連する所見について述べる.近年,コンピュータを用いた画像の定量解析により,肺の機能に迫ろうとする研究が多数行われている.本稿ではそうした定量解析についても紹介したい.

綜説

  • 文献概要を表示

はじめに

 アレルギーの日常診療で最も頻繁に見かける,乳児期の湿疹/アトピー性皮膚炎(AD),食物アレルギー(FA)/アナフィラキシーは,いろいろな意味で今や社会問題化していると言っても過言ではない.さらに,一人の子がAD,FA,喘息(BA),花粉症と年齢と共にアレルギー症状が変化してゆくアレルギーマーチも日常よく見かける現象であるが,全員が必ずしもこの順番ですべてを経験するとは限らないし,なぜこのような現象が起こるのか不明なことが多かった.一方,皮膚バリアの責任遺伝子フィラグリン変異がAD患者の約1/3で見つかることがわかり,AD治療ではアレルギー反応を抑えることも重要であるが,それ以上に皮膚バリアをケアすることの重要性が強調されるに至った.さらに最近のトピックスとして,①皮膚感作により食物アレルギーが始まる可能性がある,②アレルギーマーチは乳児期の湿疹/アトピー性皮膚炎(AD)から始まる,という報告が増えてきている.このようなパラダイムシフトの過程について解説してみたい.

収縮性心膜炎 大西 俊成 , 中谷 敏
  • 文献概要を表示

はじめに

 心膜には壁側心膜(parietal pericardium)と臓側心膜(visceral pericardium)があり,臓側心膜は心臓を越えて大血管の基部で反転して心膜腔を作り,そこにわずかな心囊液を入れている(図1).心膜は心臓が体位変換時に過度に移動することや,過度の拡大,摩擦によって損傷を受けることを防ぎ,また,周囲の炎症が心臓に及ぶことを防いでいると考えられている.

 慢性心膜炎によって心膜に繊維性肥厚と心外膜の癒合が生じ,心臓を締めつける結果,心臓の拡張障害をもたらしているのが収縮性心膜炎である.

  • 文献概要を表示

はじめに

 米国国家情報会議による「グローバル・トレンド2030」では,すべてではないが2030年には多くの病気を「管理」できるようになることを予想している.「疾患管理」には,病状の診断や病原菌の発見を正確に,また,迅速に行うことが肝要だが,こうした技術開発は既に進み多くの領域で成功を収めており,その精度は今後ますます向上していくことが予想される.遺伝子解析技術は次世代シークエンシングにより急速な進歩をとげ,医療に普及し始めており,未来の医療を大きく変えようとしている.遺伝情報やバイオマーカーなどの膨大な医療情報を利用した質の高い医療は,IT技術の進歩も相まってコストダウンが進み,一般の人の診療技術にも恩恵をもたらすと思われる.このような医療技術の発展で,2030年までには,世界の大部分の人々が「より長く」,「より健康に」生きられる時代がくることが予想されている.しかし,このような医療の実現には,社会がより一層,コンピューターやインターネットを活用したinformation and communication technology(ICT)技術の活用によって発展することが不可欠となる.本稿では,今後の医療の発展と医療情報の膨大化,医療のICT化の必要性とITを活用した医療情報の提供,さらに,小さな一歩として最近われわれが行っている,iPadに代表されるタブレット端末を利用した吸入指導ツールについて紹介する.

周産期心筋症 塚本 泰正 , 坂田 泰史
  • 文献概要を表示

はじめに

 周産期心筋症(peripartum cardiomyopathy)とは,心疾患の既往がなく,他に心不全を発症する原因のなかった女性が,妊娠・産褥期に新たな心不全を発症し,拡張型心筋症に類似した病態を示す心筋症である.発症原因は未だ不明であるが,近年異型プロラクチンや血管新生による発症メカニズムが注目を集めている.本稿では,周産期心筋症の臨床学的特徴および発症メカニズムについて概説する.

Current Opinion

  • 文献概要を表示

HFpEFの最近のエビデンス  数多くの大規模臨床試験によって「左室駆出率が低下した心不全〔heart failure with reduced ejection fraction(HFrEF)〕」に対する薬物治療が確立されてきたのに対し,心不全患者全体の30~50%を占める「左室駆出率が保持された心不全〔Heart failure with preserved ejection fraction(HFpEF)〕」に対する薬物治療は確立していない1~3).現在までに報告されている大規模臨床試験であるアンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬(ARB)カンデサルタンを用いたCHARM-Preserved試験,ACE阻害薬ペリンドプリルを用いたPEP-CHF試験,ARBイルベサルタンを用いたI-PRESERVE試験のいずれもが,1次エンドポイントを有意に改善することはできなかった(表1)4~6)

 HFpEFは高齢者が多く,基礎疾患として高血圧が最も重要で,糖尿病や心房細動,CKDの合併も多いことが知られている(表2)4~8).そのような臨床的特徴を踏まえるとACE阻害薬やARBなどのレニン・アンジオテンシン系抑制薬の有効性が期待されるのは当然である.これらの試験が臨床的有用性を示せなかったのには,多数の患者を多施設で登録する大規模臨床試験における心不全診断自体の困難さ,十分に施行されている基礎治療の影響,死亡様式としての非心臓死の多さなどが関与している可能性がある9)

呼吸器内科医への留学のすすめ

  • 文献概要を表示

●Introduction●

 「呼吸と循環」誌では,平成25年日本呼吸器学会学術講演会の際の緊急特別企画「若者への留学の奨め」に登壇した先生方に,海外留学体験記を書いていただいており,大変好評である.今回の佐藤篤靖先生は,サーファクタントを初めとした先駆的研究の世界的なメッカである,シンシナティ小児病院(CCHMC)Pulmonary Biologyに4年間留学され,様々な素晴らしい成果を挙げられた.呼吸器病学の将来を担う方々がこの留学経験を読まれれば,留学の魅力を十分理解していただけると確信する.若い方々,是非海外へ!

  • 文献概要を表示

要旨 禁煙治療は呼吸器機能の改善が期待される一方,その後の体重増加による循環器機能や代謝機能への悪影響が懸念される.本研究では禁煙治療の血圧と体重への影響を検討した.2008年10月より2013年6月までに当院でバレニクリンによる禁煙治療を行った高血圧症例(72例)と非高血圧症例(238例)の310例について禁煙治療前後の体重と収縮期血圧(SBP)および拡張期血圧(DBP)の変化を調べた.全体の禁煙成功例と非成功例の体重の変化は1.34±1.64kgと0.8±1.68kg,Body Mass Index(BMI)の変化は0.49±0.59kg/m2と0.29±0.62kg/m2で,禁煙成功例で有意に体重とBMIが増加した(p=0.04,0.045).高血圧症例の禁煙成功例(49例)と非成功例(23例)の体重の変化は1.6±1.8kgと0.7±1.2kg,BMIの変化は0.59±0.67kg/m2と0.24±0.42kg/m2であった.SBPの変化は-9.9±12.7mmHgと1.3±17.3mmHgで,DBPの変化は-6.2±8.7mmHgと4.9±16.5mmHgで,いずれも禁煙成功例で有意に血圧が低下した(p=0.005, 0.01).非高血圧症例の禁煙成功例(171例)と非成功例(67例)の体重の変化は1.29±1.58kgと0.81±1.87kg,BMIの変化は0.46±0.57kg/m2と0.3±0.69kg/m2であった.SBPの変化は-1.3±12.8mmHgと-0.1±13.5mmHgで,DBPの変化は-0.6±9.9mmHgと-0.9±10.1mmHgで,いずれも有意差を認めなかった(p=0.58, 0.86).高血圧症例では禁煙成功例は体重増加にもかかわらず非成功例に対して有意に血圧が低下した.

--------------------

欧文目次

購読申し込み書

次号予告

投稿規定

あとがき 小室 一成
  • 文献概要を表示

 今回の特集テーマは「利尿薬をめぐる諸問題」である.症状のある心不全患者の治療において,現在でも利尿薬は必要であるが,いくつもの課題が解決されないまま使用されてきたとも言える.慢性心不全のなかで昔は弁膜症の比率が高かったが,弁膜症の治療といえば,ループ利尿薬とジギタリス製剤というのが定番であった.両薬剤とも生命予後を改善する効果がないことがわかり,現在ではその使用は少なくなったものの,NYHA Ⅱ度以上の自覚症状のある心不全患者には,依然として利尿薬の投与が推奨されている.利尿薬のなかには,ループ利尿薬ばかりでなく,サイアザイド系利尿薬やミネラロコルチコイド受容体拮抗薬,ナトリウム利尿ペプチド,さらには最近出たバソプレシン受容体拮抗薬などがあるが,果たして生命予後において真に有用なものは何であろうか.またこれらの利尿薬をどのように使い分けたらよいのであろうか.ミネラロコルチコイド受容体拮抗薬においては,生命予後の改善効果が証明されているが,それ以外の利尿薬にはそのようなエビデンスはなく,使用する際にも考慮が必要であろう.このように利尿薬に注目が集まっている一番の理由は,バソプレシン受容体拮抗薬の登場であろう.これは,従来のナトリウム利尿薬と異なり,水のみの排出を促進することから,他の利尿薬とは異なる効果が期待される.わが国発のバソプレシン受容体拮抗薬が,従来の利尿薬には抵抗性の患者や低ナトリウム血症の患者ばかりでなく,心不全患者全般にも有用であるのか,今後のエビデンスの蓄積を待ちたい.

基本情報

04523458.62.5.jpg
呼吸と循環
62巻5号 (2014年5月)
電子版ISSN:1882-1200 印刷版ISSN:0452-3458 医学書院

文献閲覧数ランキング(
8月5日~8月11日
)