Japanese
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特集 慢性心筋炎—診断のガイドライン提示とその後の展開
繰り返す自己免疫性心筋炎
Recurrent form of Autoimmune Myocarditis
塙 晴雄
1
,
小玉 誠
1
Haruo Hanawa
1
,
Makoto Kodama
1
1新潟大学医学部第三内科
1Department of Internal Medicine I, Niigata University School of Medicine
pp.463-468
発行日 1998年5月15日
Published Date 1998/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404901689
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はじめに
慢性心筋炎診断のガイドラインが提示されてから3年が経過した.このガイドラインは急性心筋炎の3カ月以上遷延したもの,あるいは不顕性に発症し,慢性の経過をとる心筋炎に対し慢性心筋炎という概念を導入したものである.これによって,今後,慢性心筋炎という同じ疾患概念でこのような疾患を論じることができるという点で非常に有意義であったと思われる.
慢性心筋炎を考えるときに,多くの研究者はウイルスを原因とした持続感染という機序を想定しているが,急性期のウイルスに引き続いた自己免疫的な機序が慢性期の主な機序であると考えている研究者も多い1,2).しかし,自己免疫性心筋炎という疾患はまだ臨床的データが乏しく,臨床的に確立した概念であるとは言えない.ましてや,今回,われわれが与えられテーマである『繰り返す自己免疫性心筋炎』について現段階で論ぜよといわれた場合は,臨床的には推測するしかないことをはじめに断らなければならないであろう.しかし,自己免疫疾患というものを考えるとき,様々な臓器で起こりうる疾患であり,その頻度は人口の5〜6%にも達する3)とも考えられており,またその多くの自己免疫性疾患が自然経過や治療の過程で再発するという事実を考えあわせると,『繰り返す自己免疫性心筋炎』という概念は,慢性心筋炎あるいは拡張型心筋症という疾患を考えるうえで,あながち根拠のない仮説とはいえないと考えられる.
本稿では,はじめに自己免疫性心筋炎モデルの再発とその考えられる機序について述べ,さらに臨床的に自己免疫機序が疑われ,再発を繰り返す心筋炎について述べてみたい.
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