Japanese
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Current Opinion
HFpEFの薬物治療のエビデンス
Evidence of Drug Therapy for HFpEF
筒井 裕之
1
Hiroyuki Tsutsui
1
1北海道大学大学院医学研究科循環病態内科学
1Department of Cardiovascular Medicine, Hokkaido University Graduate School of Medicine
pp.481-486
発行日 2014年5月15日
Published Date 2014/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404102478
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HFpEFの最近のエビデンス 数多くの大規模臨床試験によって「左室駆出率が低下した心不全〔heart failure with reduced ejection fraction(HFrEF)〕」に対する薬物治療が確立されてきたのに対し,心不全患者全体の30~50%を占める「左室駆出率が保持された心不全〔Heart failure with preserved ejection fraction(HFpEF)〕」に対する薬物治療は確立していない1~3).現在までに報告されている大規模臨床試験であるアンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬(ARB)カンデサルタンを用いたCHARM-Preserved試験,ACE阻害薬ペリンドプリルを用いたPEP-CHF試験,ARBイルベサルタンを用いたI-PRESERVE試験のいずれもが,1次エンドポイントを有意に改善することはできなかった(表1)4~6).
HFpEFは高齢者が多く,基礎疾患として高血圧が最も重要で,糖尿病や心房細動,CKDの合併も多いことが知られている(表2)4~8).そのような臨床的特徴を踏まえるとACE阻害薬やARBなどのレニン・アンジオテンシン系抑制薬の有効性が期待されるのは当然である.これらの試験が臨床的有用性を示せなかったのには,多数の患者を多施設で登録する大規模臨床試験における心不全診断自体の困難さ,十分に施行されている基礎治療の影響,死亡様式としての非心臓死の多さなどが関与している可能性がある9).
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