Japanese
English
特集 利尿薬をめぐる諸問題
序文
Issues Regarding Diuretics
廣谷 信一
1
,
増山 理
1
Shinichi Hirotani
1
,
Tohru Masuyama
1
1兵庫医科大学循環器内科
1Department of Internal Medicine, Cardiovascular Division, Hyogo College of Medicine
pp.409
発行日 2014年5月15日
Published Date 2014/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404102464
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- Abstract 文献概要
利尿薬は心不全治療において必要不可欠な薬剤である.利尿が奏功すれば,うっ血症状が急速に改善する.特にループ利尿薬はその切れ味の鋭さから心不全で最も使われている利尿薬と言えよう.しかし,重症心不全では利尿薬をいくら増量しても,目指すだけの利尿効果が得られない患者が少なからずいる.そういう患者は「利尿薬抵抗性」を有する患者であり,これらの患者では,利尿を得るにはどうすればいいかということは大きな問題である.特に,最近登場した新たな作用機序の利尿薬(バソプレシン受容体拮抗薬)にはこういう利尿薬抵抗性症例での期待は大きい.
一方,慢性心不全例において,ループ利尿薬の種類を考えることにより,予後改善が得られるかもしれないという結果がある.また,カリウム保持性利尿薬(ミネラロコルチコイド受容体遮断薬)は軽症から重症に至るまでの慢性心不全患者の生命予後を改善させることが実証された.このように慢性心不全患者の利尿薬の投与については,予後への効果を考えなければならない時代がやってきた.
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