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特集 利尿薬をめぐる諸問題
心不全治療におけるミネラロコルチコイド受容体遮断薬
Mineralocorticoid Receptor Blockers for Heart Failure
山本 一博
1
Kazuhiro Yamamoto
1
1鳥取大学医学部病態情報内科
1Department of Molecular Medicine and Therapeutics, Tottori University Faculty of Medicine
pp.444-449
発行日 2014年5月15日
Published Date 2014/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404102471
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ミネラロコルチコイド受容体(MR)遮断薬はカリウム保持性利尿薬に分類されるが,心不全診療では利尿薬としてではなく心筋保護薬として認識されている.リガンドであるアルドステロンの心臓に対する作用機序に関しては十分に解明されていないものの,MRの活性化が心筋細胞肥大や線維化を促進するとの報告が多く,わが国の「慢性心不全治療ガイドライン(2010年改訂版:JCS2010)」では利尿薬,アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬,β遮断薬などのいわゆる「心不全標準治療薬」が既に投与されているNYHA Ⅲ度以上の重症心不全患者に対するスピロノラクトン,エプレレノンの追加投与をClass Ⅰ,つまりエビデンスから通常適応され常に容認される,と位置付けている.また2009年にはEMPHASIS-HF試験において,より軽症のNYHA Ⅱ度の収縮機能障害を伴う心不全患者に対してもエプレレノンの有効性が証明されるなど,多くの臨床試験や実験結果から心不全診療におけるMR遮断薬がもたらす心保護効果,生命予後改善効果が証明されつつある.
本稿ではMR遮断薬の心臓における作用機序と心不全患者に対するエビデンスを紹介するとともに,今後の心不全治療における課題についても述べる.
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