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特集 利尿薬をめぐる諸問題
バソプレシン受容体拮抗薬への期待と課題
A Vasopressin V2 Receptor Blocker:Present and Future Direction
高木 宏治
1,2
,
佐藤 直樹
1,2
Koji Takagi
1,2
,
Naoki Sato
1,2
1日本医科大学武蔵小杉病院循環器内科
2日本医科大学武蔵小杉病院集中治療室
1Department of Internal Medicine, Cardiology, Nippon Medical School Musashi-Kosugi Hospital
2Department of Intensive Care Unit, Nippon Medical School Musashi-Kosugi Hospital
pp.427-431
発行日 2014年5月15日
Published Date 2014/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404102468
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はじめに
心不全治療において利尿薬は必要不可欠である.実際,急性心不全疫学調査であるATTEND registryの報告1)によると,入院期間中に78.8%の患者で利尿薬が使用されている.そして,その多くがループ利尿薬の静脈内投与である.また,退院時に経口ループ利尿薬が81.2%に投与されている.この事実から,心不全で入院を要する患者の多くは,入院時も退院時もうっ血を伴っていることを示している.入院を要する心不全患者の体液管理には,当然ながら利尿薬が必須である.そして,最近の知見によれば,臓器保護の観点から,臓器うっ血を確実に改善しておくことが重要であると言われている2).しかし,一方で,うっ血を確実に改善しようと利尿を図ることで,腎臓に負担をかけ,それがさらなる腎傷害を引き起こすこともある.このジレンマを解決するために,ナトリウム排泄型の利尿薬以外の利尿薬が求められていた.こうしたなか,2010年10月に,世界で唯一,バソプレシン受容体拮抗薬であるトルバプタンが心不全の適応で承認された.承認以降,使用経験が積まれ,多くの研究が行われつつあり,今後ますます,この薬剤への期待が高まると共に,一方で,新たなる課題も持ち上がってきている.本稿では,現時点までのトルバプタンのエビデンスを総括すると共に,今後の課題についてまとめる.
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