看護学雑誌 28巻11号 (1964年10月)

特集 婦人労働からみた看護

  • 文献概要を表示

増加する婦人労働者

 ここ10年来の婦人労働の動向で特徴的な点は,つぎの3点であろう。まず第1に,いちじるしい数の増加ということである。現在,約800万の婦人労働者がいるといわれているが,それは,10年前の約2倍である。第2には,ともかせぎ婦人の増加という点である。それは,年々増加の一路をたどり,今日,全体の21.7%(1962.9)という数字をしめしている。もっとも,これは,規模30人以上の企業における割合であるから,既婚婦人がより多いといわれているそれ以下のものもふくめたら,およそ30%にはなるであるう。さいきん発表された厚生省の家庭児童調査によると,児童のいる家庭の母親の約55%(1962.9)は,就労していると発表されている。そのなかには,農業労働や家内労働のものもふくまれているからであるが,子どもをもってなお働いている婦人の数は,決してすくなくないといえよう。第3の点は,婦人労働の質にかんしてである。以上の諸点が,表面的には婦人の地位をたかめ,一見婦人の職場進出をはなばなしく見せかけてはいるが,なかみは,決してよろこぶべき状態ではない。あいかわらず,婦人の職種は,下積みの単純不熟練職種が圧倒的に多く,しかも,それに傾斜した増加傾向をしめしているにすぎないのである。そして,さいきんの合理化の動きは,ますます,婦人を下層労働者,低賃金労働者として,おしとどめようという動きを強くしているのである。

看護労働の特殊性 安食 正夫
  • 文献概要を表示

 現代社会の動きを「聖から俗へ」ということばで指摘する学者が多い。「聖」は清教徒的禁欲主義に通ずる。「俗」は欲望まる出しの人間行動という意味である。

 したがって,この傾向は従来犠牲と奉仕の精神によって支えられてきた職業分野に,より顕著に見出されうるということにもなる。看護労働の特殊性を云々する場合も,ひと昔前ならまずナイチンゲール精神から出発すべきところであろう。ナイチンゲール精神が犠牲と奉仕の精神だけで成り立つものかどうかの問題は別として,とにかく形而下的アプローチよりも精神的資質に重点がおかれてきたことだけはたしかである。

  • 文献概要を表示

 看護は専門職業であるという言葉で看護の特性を示そうとしたのは,すでに耳なれた長い習慣のようなものである。それなのに,まだ専門職業の定義も明確に論議されつくしてないし,看護の本質についても日本の看護婦自身が,理論を築いて,その概念の体系化したものを持っているわけでもない。婦人の労働分野で比較的古い歴史をもち広範囲な領域を占め,日本全国で10余万の従事者をもつ職業である看護であるのに,技術偏重の過去の傾向が,看護を専門職業の特性にそった形で育て得なかったのであろうか。ここでとりあげる問題テーマは,以上の専門職業としての看護の姿を明らかにし,現実の看護労働を分化して考えてみることによって,一応の理論を整理しまとめてみようとするものである。

看護労働の統計的実態 菅谷 章
  • 文献概要を表示

 わが国の女子の就業者は1708万人(全体の39%),農林漁業従事者(女子就業者全体の42%を占める)を除く女子の就業者総数は971,4万人で,そのうち看護婦(准看・看護人を含む)は189500人を数える(以上は昭和35年国勢調査より)。厚生省統計調査部の調べでも昭和35年末における看護婦(准看・看護人は含むが看護補助者は含まない)の総数は185592人となっている。そして以上の数字のなかにはいずれも24人余の看護人と若干の看護夫など男の看護職員が含まれるが,今日ではほぼ19万近くの女性が,看護婦として働いているものと予測される。

 ところで看護婦の就業場所は第1表の通りさまざまであるが,その大部分は病院・診療所に勤務している。以下主に病院勤務の看護婦の労働条件を統計によって考察を進めよう。

  • 文献概要を表示

 昭和35年10月頃から頻発した未曾有の病院ストを契機として,看護婦の低い労働条件,それによる看護婦の不足という事態が叫ばれ,関係者の間で深刻な問題となったことはまだ記憶に新らしい。

 看護業務は,高度の知識と旺盛な倫理感が要求されるとともに,重い責任が荷せられているが,それにもかかわらずその労働条件は,一般労働者に比べてきわめて悪いといわれている。そのため,関係者の間においては労働条件の改善をはかったり,または,給費生制度などによって看護婦等の確保と養成に努めている。

  • 文献概要を表示

 全医労が昭和38年3月におこなった調査では,人手不足と夜勤回数が月のなかばをこえるようなひどい労働で,妊娠したものの3人に1人が流産し,異状分娩率が4割をこえている事実が明らかになりました。全医労はこの実態のうえに,人事院に対して,

 1.夜勤(準,深夜)日数を月6日以内に制限すること。

私と労働

  • 文献概要を表示

 今日も白衣に身をひきしめて出勤した私が,重い足をひきずり物をいう気力もなく寮に戻ってきた。「何はさておいても横になりたい」それが今日この頃の唯一の願いであることに改めて虚しさを覚えた。身を横たえながらも,家庭を持って通勤する人や,夜勤に出て行く人の気配に『御苦労様』と,まず想い走って依然として神経は休まらない。あの人たちの中からもまた幾人かが脱落して行くことだろう。ナースを自ら選んだ私もまた,労働の限界点に到って自信を失いかけている。精一杯自力を生かしてみたいと願った私が,ナースの果たすべき独自の分野で自力を発揮できず,むしろ日々雑用の中で自力を試めされている矛盾に突当っている。多くの病院の現状では,ナースの専門技術と緻密な神経よりも,頑健な体力と野放図な神経を必要とする。この絶対的な条件が除去されない限り,ナース自身の向上は阻まれ,ナース不足と労働加重の悪循環が日々失望の下に繰返されるであろう。

 その最大原因が看護業務の不確定にあることは衆知の事実であるが,依然として放置状態の所が多い。常に進歩変化して行く医学とともに,私たちもより高度な知識を吸収,技術を修得しなければならない現在,聴講に,見学に,学究の道に励めるだけの余裕と管理者の支援が欲しい。

  • 文献概要を表示

 現場にあるナースの声を—と依頼され待っていましたとばかりペンを持って見たものの,あれもこれもといいたいことのみで一体何から書いてよいか迷う。

 現に職場ではみんなの不平不満も受け入れられず結局忙しさにまぎれ一人ひとりの胸中で怒り苦しんでいるだけである。低サラリーと人員不足過重労働とそれから起る病気,また当然とれるべき年休も,忙しい勤務体制の中では大部分の仲間が数日から10日近く残してしまう。

激務と家庭のはざまから 山本 ゑみ
  • 文献概要を表示

 いまから6年前,結婚したときに友人からオルゴール時計を貰いました。けれどこの時計のやさしい音は私たちの眼を覚してくれません。できるだけ大きな音のする眼覚しを買って今日までお世話になっています。

 ひと月のうち1週間から10日ぐらいは,朝6時に起きます。それからまずお釜にスイッチを入れて大忙ぎで朝の仕度,娘の保育園に持って行く弁当や朝食の用意をします。なんとかして少しでも遊んで貰おうとまつわりつく5歳の娘をゴマかしながら,うまく行くと立ったまま一人で朝食,ちょっと狂うと朝食抜きで飛び出します。私が出かけた後,夫は娘に起され父子で朝食を喰べてから保育園と職場に向います。

グラビヤ

医院にはたらくナースたち
  • 文献概要を表示

 第2の都心として発展をつづける東京・新宿。その背景にあたる淀橋に福井医院がある。

 中小商店街と住宅地が診療圏だ。一日平均7,80人の患者が,この内・小・レントゲン科を持つ医院にやってくる。

  • 文献概要を表示

はじめに

 患者の身のまわりの世話について38年度病院学会時の看護部門における発表を北海道として参加するようにとの話があったのは7月に入ってからである。当時病院学会の意図することもわからず,全く困惑したが,丁度看護業務上の分析等種々の調査も私たち自ら行なわなければならない時期にもあって,看護協会北海道支部として業務調査委員会を設け,7月15日発足,この第1の仕事として,38年度病院学会看護部門のテーマ「患者の身のまわりの世話」をとりあげた。このため調査に対する基礎的準備,研究メンバーとの話し合いも充分になすこともできず,研究メンバーとも,その結果がでるまで暗中模索といった実に心もとない状態であったが,調査期間発表当日まで努力した。したがってこの調査自体,方法,分析等多くの不備な点を有していることは研究者一同発表するに躊躇するが,一つの研究としてまた,ただ一つでも同じ職に携わる者の向上の道をつけるものが出ればこれに優る幸はないと思って発表した。

1 調査を始めるにあたって

 1.運営準備委員,および調査研究メンバー さきに述べた業務調査研究会の委員がこのたびの病院学会運営準備委員となり,さらにこの調査のため札幌市内10施設を選定,各施設より1名調査研究メンバーを選出した。施設および研究メンバーはつぎの通りである。

  • 文献概要を表示

 今世紀のはじめごろから一般大衆の医療サービスに対する態度は重要な変化をみせている。当時は,医者がいてもいなくても,生存の機会は同じくらいであった。今日では,医療サービスの効果は,だれでも受けられる権利という程度までに考えられている。その結果,当然,サービスに対する要求は大きい。

 同時に,健康に対する概念は,単に肉体の疾患の欠損というだけではなく,精神的,社会的な健康という所までひろげられた。ヘルスサービスの範囲はひろげられ,障害のある人の数は増加し,もっとうまく調整をとり,秩序ある態度が必要となってきた。

精神身体医学講座・6

面接について 前田 重治
  • 文献概要を表示

 前回は,心身症の見かたについて,そのあらましをのべましたが,一般の医学的検査で,はっきりした所見が得られないからといって,クズかご的に診断してゆくというやり方は正しくないことを強調しました。そのさい,積極的に心身症であるとして診断してゆく上に必要な手がかりのいくつかを紹介しましたが,ここでは心身医学で最も基本的で大切な技法と考えられている面接(インターヴュー)についてのべようと思います。

 心身症を正しく見てゆくには,ふつう,病歴,症状,性格,態度という4つの角度から患者を追求してゆきます。つまり,初発当時,またその後の経過において,心理的,感情的な要因が症状に密接に関係しているかどうか,現在の身体症状にどんな特長がみられるか,性格が神経症的ではないかどうか,面接のさいに,どんな態度を示すかというようなことです。これらの問題をできるだけ正しく,客観的に把握するために,一般の身体的な診察はもとより,各種の臨床的な生理検査を行なったり,性格テスト(心理検査)を用いたりします。しかし何といっても患者と1対1で面接し,いろいろ必要なことを聞き出したり,相手の態度,動作を観察したりすることが最も大切で,一定の時間内(ふつうは約1時間)にうまく行なうにはかなり経験がいります。

Medical Topics

誘引物質,他 Q
  • 文献概要を表示

 WHOの推定によると,人間の疾病のおよそ半分ぐらいに昆虫が関係しているという。また,人間の食糧のおよそ1/3は昆虫によって消費されたり,汚染されたりしているという推定もある。とにかく,虫害による損失はばく大なものである。

 化学薬品によって,これらの虫害を制御することに,ある程度の成功がおさめられたものの,大部分の薬品が,有害,無害の区別なしに昆虫を殺すために,好ましくない面も現われ,人間自身に対しても生命をおびやかすような結果が,ぼつぼつ問題になっている。この点については,この欄にも紹介があった。

統計

脳卒中患者 西 真楠
  • 文献概要を表示

 昭和36年の成人病基礎調査の際に,脳卒中患者または脳卒中後遺症をもっているものがどのくらいいるかも調査しているが,これによると,同年10月1日に30歳以上のもので,金国に31万人の患者がいると推計されている。これを性別にみると男16.8万人,女14.2万人であり,年齢別の有病率は第1図の如く,70〜79歳で人口100万対の有病率が最高となる。第2図は初回発作からの経過年数別にみたもので65%強は5年未満であり,ある程度予後の状況を示しているものといえよう。また,脳卒中の障害の主なものの発現状況をみると第3図から第5図の如く,言語障害が割に多く,約4割のものにみられ,膀胱直腸障害と精神機能障害は約2割のものにみられる。

看護婦さんへの手紙

我慢 串田 孫一
  • 文献概要を表示

 私はこれまでに,入院をして外科手術をしたことが一度,あとは,外来でいろいろお世話になった記憶が何度かあります。これまでまあ自信を持っていた健康が,一年半ほど前からあやしくなって,自信を未だに取り戻せませんから,今後はお世話になる度数もふえそうに思われます。

 一度入院をして手術をした晩に,傷口が痛んで眠れませんでした。こういうものなのだろうと思って,かなり心細かったのですが,我慢をしていました。そのことを朝になって看護婦さんに申しますと,枕許にちゃんと呼鈴のボタンを置いてあるのに,どうして呼ばなかったのです。注射をすればすぐに痛みはとまって,よく眠れたのに,と言って,叱られました。

ポイント

前にすすみなさい 二木 シズヱ
  • 文献概要を表示

 「赤ちゃんが生れました。名付け親になって下さい。」という簡単な葉書を手に隣県までのこのこ出かけてみた。お目出たいことだ。若い人の結びつきにちょっと手をかしただけで,生まれたての赤ん坊と若い両親の輪の中に,私を加えてくれた。その小さいあたたかい家庭からのさざなみが,小さい親切となって何処かで花が咲くだろう。

 千葉行きの電車の中は案外すいていた。そのための解放感に火がついたように,二人の中年の奥さんが声高にお互いの苦労ばなしに花を咲かせていた。嫌でも聞こえてくる。特別の不幸ばなしではない。家庭をもてば誰もがもっている悩みである。私は二人のあかぬけた服装と高価な装身具を眺めながら,幸福という奴は,なかなか意地悪様だとおもった。

  • 文献概要を表示

 日本看護協会の年間行事として最大のものはもちろん協会総会だが,それと双壁をなす規模構想を持つものが,看護研究学会だ。

 これも会を重ね,第13回として10月3,4日の両日,徳島市で開かれる。なにしろ全国から万に近いナースが研究成果を聞くべく押しよせるのだから受入れ側もたいへんだ。しかも地方開催となると会場,交通,宿泊と頭をかかえる問題が次つぎと出てくる。

医療の焦点

差額ベッドのゆくえ 水野 肇
  • 文献概要を表示

差額ベッドは全体の13.67%

 ことしの3月の国会で,社会党から入院料の差額徴集問題を追及された厚生省は,その実態を調査していたが,このほどまとめた。

 この調査は,ほとんど全病院を対象に行なわれたが,医師会の反対にあって,約70%しか調査票が回収されず,とくに,医療法人と個人立病院は半数近くが調査未了の形ではあるが,それでも一応のメドになることはまちがいあるまい。

連載 新・ナイチンゲール伝・7

  • 文献概要を表示

11.官僚根性の地獄

 このようにして,スクータリはこの世の地獄でした。そこへナイチンゲールがやって来たのです。

 まず何よりも緊急に必要なものは,救援物資でした。

  • 文献概要を表示

 今年最後の日,みそかです。むんむんと蒸せるような暑さがつづくと,同社の他の客船のキャビンのようにエァーコンディションのないのをまったく情けなく思いながら,古い扇風機のうなりを聞きながら,友人貞子からの本「南米への旅」を読む。これは当社の南米移民の乗客(監督官)著で,これからのよい参考になる。そしてうれしかったのは,中から出た1枚の鉛筆の走り書きの手紙だった。

 「千枝さん,今,幸子から電話があって,あなたの渡航を知ってびっくり,あまり急に突拍子な話しに何をどう書くべきか迷っている……」初心の信念を忘れず楽しくご無事で—と,少しまじめに咄嗟のことなので,はなむけのコトバが出ずに,困っている姿が目にみえるようである。

想園

ベビー室での思い 伏見 正子
  • 文献概要を表示

 「○○ちやん」と名を呼んでも顔の筋肉一つ動かさない女の子。2歳にもなるというのにハイハイもできないのだ。両親が買ってくれた大きな人形やたくさんのオモチャがうず高く積まれている中で,その子にはただひとつガラガラしか興味がない。あとのものはそこでほこりを被っているだけ。そして笑うということを知らない。いつも目をうつろに開けてベビーサークルの中に寝ている。というより私にはころがっている。置かれているという気がしてたまらない。この子の他に種々の異常をもった子が,それぞれのサークルの中で一日中たいくつもせずに無表情のままねている。

 ここは小児科のベビー室。私は朝ここに入って行くといつもながらじつに複雑な思いにかられる。こんな子らが体だけは人並みとまでは行かなくても,成長して行ったとして,自分が人間であるということ,生きているということ,それを感じつつ生きて行くことができるのだろうか。自分が生命ある一個の肉体であるということも知ることができずに生命を保って行かなくてはならないのだろうか。これが人間の姿といえるだろうか。私は叫びたくさえなる。一体これは誰の責任なのだと,否何の責任なのだと。この子らに責任などのあろうはずはない。これは責任の所在など求めるべき性質のものではないのであろうか。もし何かに責任があったとして,その所在がわかったとして,どうにもなるものではないのだから。

  • 文献概要を表示

 4月号の特集“患者の求めている看護”たいへん興味深かく拝見いたしました。

 中でも姉崎先生の「患者としてみた看護婦」はするどく,胸をつかれるような恥ずかしさと,責任を感じました。

ポンコツ釜 北川 幸子
  • 文献概要を表示

 室温はグングン上昇するのに消毒時間は,乾燥に移してから延々3時間におよぶ。乾燥が悪いとカストの中のマスクは使用不能で返されてしまう。

 届かぬプロパンガスを待ちわび,軽くなったボンベを横にしたり,振って動かすが,その間だけ消毒缶の炎はチロチロ大きくなるばかり。明日の手順も狂わせまいと,焦燥し,不快指数百の瞬間,ポロ釜めと思わず小声ではしたなくののしった私。

ネパールのドクター 森本 洋子
  • 文献概要を表示

 暑いまったく暑い。猛暑に見舞われて誰もがバッタリ行きそうなきょうこの頃,私たちの学院も夏休みを迎え,ナースの卵たちはおおいにハッスルしている。私もこれが学院最後の夏休みと思うと大いに有意義に過したいと思うのである。夏休みに入ってすぐ瀬戸内海のある島にキャンプに行ったが,帰ってから大変であった。今日も真赤になった体をもてあましながら第3教室に向った。5時から鳥取大学医学部の村松先生の講演があるという。先生は以前新聞紙上をにぎわしたネパールのドクターで原住民の“マヤちゃん”をわが子とし育てておられるその人だ。

 壇上に立たれた先生は一見サラリーマン風で優しくほほえみながら話しかけられた。最初私の先生へのイメージはこれとは正反対のものであった。フィルムによりネパールの医療状態の貧弱さを指摘されその中で37歳という若い身体をぶっつけられ恐ろしき結核,伝染病と戦っておられるドクターのお姿が誰の目にもありありと写った。映画に構成された2本はますます私たちの心をとらえ感動の涙にひたらせた。演出がよかったからだろうか?解説者が有名人だったからだろうか?いやそうではない。もっと私たちをつかんで離さなかったのは病気に対する人間の戦いであろう。この講演は2時間であった。最初大変だなあと思った人もいたろう。

  • 文献概要を表示

山路来て何やらゆかし菫草

 先日色紙に筆を走らせた芭蕉の句を思い出して,ふと足元の可憐な花に歩を停める。朝の冷気を胸いっぱいに吸い込んで四阿高原への一歩を踏み出した一瞬……。夜汽車の疲れも肩に背負った重いリュックもなんのその,一行の軽快な足取りは各々が3日間のキャンプ生活に空想をめぐらし,嬉しさに思わず顔がほころんでいた。終日,都会の雑踏にもまれて新緑の芽吹きを意識することもなく,草の香に親しむことのない私たちは久し振りの自然がこよなく懐しく木々の一つ一つが双手を挙げて歓待してくれるような錯覚さえおきる。

 信濃路の山々はまだ春の名残りをとどめ,菫草,タンポポの花,スズランの香り,そして深緑にひときわ彩りを添えた満開の山つつじ,これらの自然の草花は幼い頃,野山に駆けて遊んだふるさとの山々の匂いをそのままに反映している。

  • 文献概要を表示

研究の動機

 日進月歩の医学の中で私たちナースも,この医学の進歩に合わせて看護面だけでなく,医療の面にも関心を持ち,新しい知識と技術の吸収に努力しなければならないことはいうまでもありません。私がこのgastrocameraの介助に当って看護処置をどのような注意を払って行なえばよいのか,体系づけられた文献がなく困ってしまいました。そこで担当の先生に指導していただき一応原稿にまとめてみてはと思い,ここに取りあげてみました。とくにMagenの診断が重要視される時代となって来ました。胃炎および胃潰瘍,十二指腸潰瘍,胃癌は日本人に多い疾患ですが,とくに胃癌は奈良県に多いといわれています。現在の医学がモットーとする早期発見,早期治療のためにもおおいに役立つのがこのgastrocameraです。

胃カメラの目的

 1.胃炎の診断および,胃潰瘍,胃癌に対するレントゲンの補助診断。

  • 文献概要を表示

はかなきは うき世のならひしかすがに わかれはかなしなきひとの いづちゆきけんきけべども こたへぬものを

  • 文献概要を表示

昨日まで笑みて語りし老人の逝きしを知りぬ雨の看護室に

 《評》死を安らかに迎えた老人と人間愛に満ちた作者との心の交流が実感を以て語られている。

付録

看護手順—産婦人科
  • 文献概要を表示

 2.必要物品を用意する。

 診密用品:外診用,内診用手指,外陰消毒用品。

基本情報

03869830.28.11.jpg
看護学雑誌
28巻11号 (1964年10月)
電子版ISSN:1345-2746 印刷版ISSN:0386-9830 医学書院

文献閲覧数ランキング(
9月7日~9月13日
)