精神身体医学講座・6
面接について
前田 重治
1
1九州大学医学部心療内科
pp.81-84
発行日 1964年10月1日
Published Date 1964/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661912418
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前回は,心身症の見かたについて,そのあらましをのべましたが,一般の医学的検査で,はっきりした所見が得られないからといって,クズかご的に診断してゆくというやり方は正しくないことを強調しました。そのさい,積極的に心身症であるとして診断してゆく上に必要な手がかりのいくつかを紹介しましたが,ここでは心身医学で最も基本的で大切な技法と考えられている面接(インターヴュー)についてのべようと思います。
心身症を正しく見てゆくには,ふつう,病歴,症状,性格,態度という4つの角度から患者を追求してゆきます。つまり,初発当時,またその後の経過において,心理的,感情的な要因が症状に密接に関係しているかどうか,現在の身体症状にどんな特長がみられるか,性格が神経症的ではないかどうか,面接のさいに,どんな態度を示すかというようなことです。これらの問題をできるだけ正しく,客観的に把握するために,一般の身体的な診察はもとより,各種の臨床的な生理検査を行なったり,性格テスト(心理検査)を用いたりします。しかし何といっても患者と1対1で面接し,いろいろ必要なことを聞き出したり,相手の態度,動作を観察したりすることが最も大切で,一定の時間内(ふつうは約1時間)にうまく行なうにはかなり経験がいります。
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