総合リハビリテーション 45巻8号 (2017年8月)

特集 心臓血管リハビリテーションと多職種連携

今月のハイライト
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 心筋梗塞・心不全・心臓外科術前後などの心臓疾患,および大血管疾患,末梢血管疾患のリハビリテーションは重要ですが,まだ普及が不十分といわれています.また,高齢社会の日本では,複合疾患を抱えた症例が多いこと,基本的な運動機能も低い症例が多いことも指摘されています.本企画では,わが国の現状を踏まえ,有効で現実的なリハビリテーションの展開,普及に向けた最新情報を専門の先生方に経験とともに,解説いただきました.

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はじめに

 心臓リハビリテーションは,わが国の厚生労働省が推進している4疾患・5事業の1つである心筋梗塞などの循環器疾患の治療と再発予防の重要な柱であるとともに,多要素プログラムを擁する「包括的リハビリテーション」の代表格である.心臓リハビリテーションにより,運動耐容能の向上,冠動脈硬化・冠循環の改善,冠危険因子の是正,生命予後の改善,生活の質(quality of life;QOL)の改善などめざましい効果が示されており,しかもそのエビデンスレベルはA,クラスⅠときわめて高い.このため心臓リハビリテーションはさまざまな循環器疾患の治療ガイドラインに「極めて有効な治療」の1つとして収載されており,リハビリテーションの中でもきわめて先進的であるといえる.本稿では,このような心臓リハビリテーションとその有効性について概説する.

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はじめに

 心臓リハビリテーションは急性期から回復期,生活期を見据えてシームレスで提供されるべきものである.われわれの施設では病院,診療所,通所介護サービス,訪問サービス,健康増進施設を運営しており,2004年の心臓リハビリテーション施設基準取得を契機として一貫した心臓リハビリテーションの提供を行っている1,2).退院後を見据えた心臓リハビリテーションの提供に求められることを概説し,当院での取り組みを紹介する.

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はじめに

 近年,高齢者の増加に伴う大血管疾患罹患率の増加を背景に,大血管疾患に対する手術件数は増加傾向にある(図1)1).これは,コンピュータ断層撮影(computed tomography;CT)や核磁気共鳴画像法(magnetic resonance imaging;MRI)などの画像診断の精度向上や,脳・脊髄などの臓器保護をはじめとする周術期管理の進歩の結果,大血管疾患に対する手術適応が拡大してきたことも影響していると考えられる.

 一方で,周術期管理の進歩により,高齢者や合併症保有例など,これまではハイリスクのため手術適応とならなかった症例が,手術を受ける機会が増加している.これらの症例は,周術期における合併症発生のリスクが高く,術後の全身状態管理に難渋することも少なくない.また,大血管疾患に対する手術は,治療の対象となる血管の部位によって発生する合併症のリスクが異なることから,術後のリハビリテーションにおいては,病態や術式の特徴に応じたプログラムを実施することが必要である.

 本稿においては,胸部大血管疾患の病態・治療と,それらを踏まえた術後リハビリテーションや患者指導の実際について述べる.

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末梢動脈疾患の現状

1.定 義

 末梢動脈疾患(peripheral arterial disease;PAD)とは文字通り身体の末梢に網羅される動脈に生じる疾患をいうが,では「末梢」とはどの部分をいうのであろうか.2015年に改訂された日本循環器学会「末梢閉塞性動脈疾患の治療ガイドライン」では末梢(閉塞性)動脈疾患とは「冠動脈以外の末梢動脈である大動脈,四肢動脈,頸動脈,腹部内臓動脈,腎動脈の閉塞性疾患である」とされている1).つまり身体のほぼ全域におよぶ疾患を扱う分野と考えるべきである.本稿ではこのなかで特に下肢血流障害を招く閉塞性動脈硬化症(arteriosclerosis obliterans;ASO)について述べるが,あくまでも本疾患は全身病の一部分症状として診療しなければならないことが常時意識しておかなければならないことである.

 ASOはPADのひとつでその名が示す通り慢性的な動脈硬化により血管内腔が閉塞して循環障害を来す疾患である.近年わが国では,以前に動脈閉塞性疾患の多数を占めたバージャー病が激減し,ほとんどは動脈硬化によるものとなってきたのでASOとPADはほぼ同義語として使用されている.

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はじめに

 末梢動脈疾患(peripheral arterial disease;PAD)は心血管疾患のひとつであり,間欠性跛行(intermittent claudication;IC),安静時痛や潰瘍を呈する重症虚血肢(critical limb ischemia;CLI)などさまざまな下肢症状を呈することがある.心血管疾患におけるリハビリテーションに関するガイドライン1)では,ICに対する監視下での運動療法が推奨されている.また近年では,PAD患者の下肢症状や併存症による身体機能低下が家庭・社会復帰を阻害するため,バイパス手術や血管内治療などの血行再建術後患者に対するリハビリテーションの需要が高まっている.特に,CLI患者では身体機能や日常生活動作能力(activities of daily living:ADL)低下の傾向が顕著となり,多職種連携によるリハビリテーション介入が重要となってくる.そこで本稿では,PAD患者の身体機能低下やリハビリテーションの実際についてわれわれの研究や取り組みを交えて解説する.

巻頭言

医療と福祉の立場から 正岡 悟
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 昨年,ある小学校の夏休みの宿題「読書感想文」に際し「書き方マニュアル」が配布され,その是非について議論されたことがありました.並列できるものではありませんが,医療の世界では複数の疾患について診断基準や治療ガイドラインが整備されてきています.

 先ごろ治療を提供する側から受ける立場になった自身の経験からすると,スタンダードな治療が受けられる状況というのは,ある種の余計な心配をせずに済む状況でもあると単純に思っていましたが,課題もあるようです.

入門講座 障害者権利条約・4

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締約国会議に初参加

 障害者権利条約(以下,権利条約)批准を終えた日本政府の初仕事は,批准国によって国際連合(以下,国連)で開催される「障害者権利条約締約国会議」(以下,締約国会議)に参加することだった.第1回の締約国会議が開催されたのは効力発生後(批准国が20か国に達したのを受けて)の2008年で,既に6回が重ねられ,第7回にして日本政府の初参加となった.

 締約国会議の開催は,権利条約の第40条に基づくもので,国連事務総長が招集し,規定では「二年ごとに又は締約国会議の決定に基づき事務総長が招集する」とあるが,実際には発効以来毎年の開催となっている.そこには,国連の総意として,障害分野の遅滞への憂慮があり,あわせて積極的に対処しようという構えがうかがえる.会期は比較的短く,第7回締約国会議の場合は3日間だった.会議の内容は各国の権利条約にまつわる動向の交流と,障害分野をめぐる当座の国際的な課題についての意見交換が主である.

入門講座 物理療法の基本と実際・2

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はじめに

 水治療法・温泉療法の主体は水の特性を利用した物理療法である.物理療法にはそのほかにホットパックやパラフィン浴,電気,超音波,赤外線などの温熱療法が含まれる.リハビリテーション医学はこれらの物理療法とともに発達し,理念を共有してきた.

 わが国の物理療法は温泉療法に端を発し,その歴史は神話や開湯伝説からとかなり古い.江戸時代には医学的な温泉研究者が現れ,貝原益軒(1630〜1714年)は『養生訓』に温泉について多くの知見を記載した.温泉は湯治という形で一般庶民にも親しまれるようになったが,明治時代に西洋医学が流入し湯治場としてのあり方は次第に忘れられ,観光や娯楽との結びつきが強くなった.1948年(昭和23年)に温泉法が制定され,「温泉とは地中から湧出する温水,鉱水および水蒸気,その他のガス(炭化水素を主成分とするガスを除く)で,含まれる物質として19種のうち1つ以上が定められた基準値を上回っているか,または水温が25℃以上」と定義された.2016年の環境省の統計によると,わが国には温泉地は3,155か所,温泉源泉総数は27,214か所,宿泊施設は13,108か所,公衆浴場は7,864か所あり,世界一の温泉天国である1)

 近代医学の進歩において新規薬剤の開発に焦点が当てられるなか,温泉研究は衰退した時期もあったが,最近の健康志向や高齢化社会の進展とともに温泉療法は徐々に見直され始めている.温泉療法は伝統的治療法でエビデンスに乏しいと思われがちだが,多くの疾患でその多面的効果が明らかになっている.脳卒中や骨関節疾患,心肺機能低下など温泉療法の適応は広く,これらのリハビリテーションには非常に有効である.本稿ではその作用機序とリハビリテーション診療における応用を概説する.

実践講座 体幹装具・下肢装具—私はこう選んでいる・3

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はじめに

 脳性麻痺では筋緊張の異常や筋力低下のため姿勢保持や歩行が困難となることが多く,さらに筋肉の短縮などにより関節の拘縮が生じることがあり,それらに対し装具治療を行うことが多い.装具治療は多く行われているが,脳性麻痺では症状それぞれの個体差が大きいため,客観的に評価し,一元的に説明することが非常に難しい.

 筆者自身,装具の作製を始めたころに多くの教科書や論文を参考にしたが,最終的にはそれぞれの症例の特徴を把握しながら理学療法士や義肢装具士と相談し,個々に応じて作製することが重要である,という結論に至っている.そのため本稿を読めばすべての下肢装具の処方を容易にできるかといえば難しいが,装具を作製するにあたって筆者が経験上ポイントと考えている点について述べたい.

実践講座 小児の痙縮治療・2

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はじめに

 A型ボツリヌス毒素による上肢痙縮治療は2015年に保険診療が認可された.下肢ほど頻度は高くないが,上肢操作性の改善目的や,更衣の際の介助の軽減,呼吸の改善の目的で筆者もこれまで治療を行ってきた.しかし,更衣介助や呼吸状態の改善は安定しているが,上肢操作性の改善は不確実で,当初に抱いていたイメージとは異なった結果となっている.最近の論文の傾向でもボツリヌス治療単独の治療成績から機能的電気刺激(functional electrical stimulation;FES)を併用するなど集学的に取り組んだ報告が増えつつあることからも,上肢機能障害を改善するためには単に痙縮を改善しさえすればよいというものではないことがうかがい知れる.

 本稿ではこれらにつき,文献的な考察を交えて論じたい.

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はじめに

 脊髄損傷は最も深刻な障害を残す外傷の1つである.外傷性の脊髄損傷は,感覚と運動の両方の機能障害を引き起こす.その発生頻度はこれまでの報告から,100万人あたり15〜40名とされている1,2).神経組織の損傷は非可逆とされ,golden timeと呼ばれる24時間以内に適切な除圧・固定手術を行ったとしても重篤な麻痺を生涯にわたり残存する例も少なくない.治療に際しては迅速な手術体制の整備とともに,手術治療と連携した早期からの訓練・保持が重要である.しかしながら,従来のリハビリテーションでは廃用症候群を予防し,残存機能の活用を図るものが主体であった.

 ロボットスーツHAL®(hybrid assistive limb)は身体に装着することによって身体機能を補助,増幅,拡張することができるサイボーグ型ロボットである.これは随意運動に伴う運動ニューロン由来の微弱な生体電気信号を感知し,装着者の筋肉の動きと同期して関節を動かすことができ,脊髄不全損傷患者への導入が期待できる.

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はじめに

 東日本大震災復興特別区域法(以下,特区法)のもとで訪問リハビリステーションの事業運営が認められ,気仙沼訪問リハビリステーション(以下,当事業所)は気仙沼地域に対して訪問リハビリテーションを提供している.本稿では,医療・介護資源が少ない離島(大島)での当事業所のこれまでの活動と考察を述べる.

連載 呼吸リハビリテーションの評価

心理社会的評価 釋 文雄
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 呼吸リハビリテーションの対象者である慢性呼吸器疾患患者は,病気の進行に伴い呼吸困難発作が起きるのではないかという怖れ・不安・あるいは実際の呼吸困難発作に伴う恐怖・不安を経験し,このまま呼吸が止まり死んでしまうのではないかという生命の危機感をも感じることがある.逆に,不安に伴う生理的刺激が強くなると,呼吸困難を誘発し,増悪させることもある.このように多くの場合,不安と呼吸困難の悪循環が慢性呼吸器疾患患者の不活動および全般的な障害の原因となっている1).「不安」とは「明確な対象をもたない恐怖」と定義されるが,慢性呼吸器疾患患者では,疾患や治療に関係する危惧や懸念で不安が生じ,時には死への不安を語ることもある.また,病気の進行に伴い最もよくみられる心理社会的症状として抑うつにも注意を払う必要がある.

 慢性閉塞性肺疾患(chronic obstructive pulmonary disease;COPD)患者の抑うつ,不安の合併頻度を表2)に示す.頻度にはかなりばらつきがあるが,多くのCOPD患者が抑うつ,不安を抱えていることがわかる.

連載 認知症の臨床評価尺度

ADL・IADLの評価尺度 角 徳文
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 認知症の臨床診断は,日常生活・社会生活に支障を来す記憶および認知機能の障害あるいは行動によって判定される.認知機能障害は神経心理学的検査によりはかることができるが,日常生活上の行動は一般的には日常生活動作能力(activities of daily living;ADL)を評価することによって行われる.ADLは,日常生活を送るうえで必要な活動であり,身辺の自立(セルフケア),身体活動(歩行,移動など),排泄のコントロールなどを含む.これらを基本的ADLと呼ぶ場合がある.また,ADLのなかでも何らかの手段を用いたり,例えば買い物,家事,料理などの基本的ADLよりも複雑な動作を手段的ADL(instrumental activities of daily living;IADL)と呼ぶ.

 アルツハイマー病を代表とする認知症では,身体的な運動機能障害がないにもかかわらず,認知機能障害によってADLが障害される.認知症においてADLを系統的に評価する目的はさまざまだろうが,① 認知機能障害だけではなくADLの障害の程度によりケアプランを作成する必要があること,② 認知機能障害とADLの障害との関連を明らかにすること,③ 薬物療法や介護などの有効性を評価すること,④ 保健福祉サービス,介護負担などに関する研究でADL評価が指標となること,などが挙げられる.

連載 リオパラリンピックレポート—東京パラリンピックへの道

パラ陸上競技 沖野 敦郎
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 リオパラ陸上競技は177種目あり,他競技と比較すると種目数が非常に多い(例:男子100mは16種目,女子100mは14種目).これは,障がいの程度において不公平が発生しないよう公平かつ公正に行うために「クラス分け」を行っているからである.このクラス分けを理解することで,より深くパラスポーツ,パラ陸上競技を楽しむことができる.

連載 関連職種の資格制度

理学療法士 植松 光俊 , 中川 法一
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 超高齢社会が進み,社会保障が大きな課題となるなかで,理学療法士の養成が急務となり,2000年以降より養成校が急増し,2012年には10万人を超えた.職能団体である公益社団法人日本理学療法士協会(以下,PT協会)への入会率は約80%と高い組織率を保持しており,世界理学療法連盟(World Confederation for Physical Therapy;WCPT)加盟団体中でも第一位である.この状況をみるだけでも本会の担う役割は大きく,懸念される雇用待遇の低下を抑えるためには職域の拡大が急務であり,専門性および質の向上は最重要課題であると認識している.

 本稿では,まずPT協会員が取得している他団体の資格を紹介し,次にPT協会が取り組んできた生涯学習システムを概説したうえで,生涯学習制度の未来展望を提示することとする.

Sweet Spot 文学に見るリハビリテーション

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 昭和30年に三島由紀夫が発表した『小説家の休暇』(新潮社)は,三島が日記形式で自らの芸術観や創作観を語ったエッセイである.

 たとえば,7月5日には,「このごろ外界が私を脅やかさないことは,おどろくべきほどである.外界は冷え,徐々に凝固してゆく」という三島自身の内面の変化との関係で,次のようなクレッチマーの精神医学的な見解が引用されている.「分裂性変質は段階を追って進み,遂に鈍麻した冷たい方の極に達するのである.その過程において氷のように硬いもの(或は皮革のようにごわごわしたもの)は次第に身のまわりを包んできて,過敏なぐらいに感じの強いものが次第に減弱してゆく」.

Sweet Spot 映画に見るリハビリテーション

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 「校庭に東風吹いて」(監督/金田敬)は,原作(柴垣文子の同名小説:初版2014)の時代設定(1990年)を現代に移し,特別支援教育時代以降,「チーム学校」前史という,端境期の学校と教師の姿を描いている.

 「チーム学校」は,中教審で2014年から検討が始まり,2015年に「チームとしての学校の在り方と今後の改善方策」として答申された.これからの学校は,スクールカウンセラー(school counsellor;SC)やスクールソーシャルワーカー(school social worker;SSW)などの専門スタッフとの協働,地域の教育・福祉のリソースとの連携を図ることになる.2007年スタートの特別支援教育によって,通常の学級で学ぶ発達障害のある子供たちを支援する特別支援教育支援員が配置され,2017年には,中・高に「部活動指導員」の制度が定められた.教師とさまざまなスタッフとの協働体としての「チーム学校」の動きは,一層加速している.

私の3冊

私の3冊 粳間 剛

第29回ADL評価法FIM講習会

第91回日本整形外科学会学術総会

ニュース

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 運動器疾患の治療においてリハビリテーションの役割が大きいことは言を俟たない.特に骨折治療においては,保存的治療,手術治療にかかわらず,適切な後療法が良好な機能回復につながるが,骨折の部位,骨折型,治療法,患者の年齢など多くの要素が骨癒合に関与するため,リハビリテーションの考え方をパターン化することはきわめて困難である.施設によっては大腿骨近位部骨折に対する標準的治療法などでクリニカルパスが作られているが,多くの骨折では個別に対応されているのが現状であろう.「個別に対応」するには,骨癒合のメカニズム,各種の保存的治療や手術治療の特徴を理解し,さらにX線をはじめとした画像検査の結果を正しく解釈できる必要がある.

 本書は2000年にStanley Hoppenfeldらによる原著が発刊され,2002年に江藤文夫らの監訳により日本語版として発行された『骨折の治療とリハビリテーション(Treatment and Rehabilitation of Fractures)』の改訂版とも呼ぶべきものであり,産業医科大学整形外科とリハビリテーション科のスタッフを中心にまとめられた力作である.編集者が序文に書いているように,この十数年の間に骨折治療は大きく進歩し,特に大腿骨転子部骨折に対するショートフェモラルネイル,各種骨折に対するロッキングプレート,椎弓根スクリューを主体としたインストゥルメンテーションによる脊椎の強固な内固定,生体吸収性材料などが広く用いられるようになった.全体の構成,各セクションの項目立ては前書を踏襲しているが,記述の内容とX線を中心とした図はほぼ完全に改変されている.総論は骨折治癒とメカニズムから荷重の考え方までわかりやすく書かれており,整形外科医だけでなく運動器疾患にかかわるリハビリテーション医師や理学療法士,作業療法士にはぜひ通読していただきたい.各論は骨折ごとに「治療の指針」として受傷機序,分類,治療のゴール,治療法,合併症などがまとめられている.特に下肢の骨折では歩行の各相において骨折部にどのような力が加わるかが詳細に記載されている.続いて「治療の実践」として,受傷後の経過期間ごとに骨癒合の状況,整形外科およびリハビリテーション上の注意,治療法としてその骨折に特有な評価や指導のポイントがまとめられている.以上のような記述は他のテキストでみかけたことがなく,きわめてユニークでわかりやすい.

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文献抄録

次号予告

編集後記
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 4月から始まった入門講座「障害者権利条約」(藤井克徳先生著:全4回)が本号で最終回を迎えました.2006年12月13日に採択されてから10年以上,そして2014年1月の日本の批准から3年以上が経ちましたが,まだ一般の人々に十分に普及しているとは言い難い状況ではないかと感じています.もちろんリハビリテーション関連分野に携わる弊誌の読者の皆さんでこの条約を知らない方はいらっしゃらないと思います.しかし,自分の家族や友人に「障害者権利条約って知ってる?」と尋ねたら,「yes」と答えるのはおそらくわずかなのではないでしょうか.まずは家族,友人など身近な人たちに草の根的に広めるべく,「障害者権利条約」についてちゃんと説明できるように,今一度,この入門講座を第1〜4回まで通して繰り返し読んでみようと思います.社会に広く「障害者権利条約」が普及する一助になればよいのですが.

 最後に,このたびの九州地方の集中豪雨で被害に遭われた皆様に心よりお見舞い申し上げます.また,救助活動,復旧作業に従事されている方々のご安全を心よりお祈り申し上げます.

基本情報

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総合リハビリテーション
45巻8号 (2017年8月)
電子版ISSN:1882-1340 印刷版ISSN:0386-9822 医学書院

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