連載 認知症の臨床評価尺度
ADL・IADLの評価尺度
角 徳文
1
Norifumi Tsuno
1
1香川大学医学部精神神経医学講座
キーワード:
認知症
,
ADL
,
IADL
,
評価尺度
Keyword:
認知症
,
ADL
,
IADL
,
評価尺度
pp.853-855
発行日 2017年8月10日
Published Date 2017/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552201066
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認知症の臨床診断は,日常生活・社会生活に支障を来す記憶および認知機能の障害あるいは行動によって判定される.認知機能障害は神経心理学的検査によりはかることができるが,日常生活上の行動は一般的には日常生活動作能力(activities of daily living;ADL)を評価することによって行われる.ADLは,日常生活を送るうえで必要な活動であり,身辺の自立(セルフケア),身体活動(歩行,移動など),排泄のコントロールなどを含む.これらを基本的ADLと呼ぶ場合がある.また,ADLのなかでも何らかの手段を用いたり,例えば買い物,家事,料理などの基本的ADLよりも複雑な動作を手段的ADL(instrumental activities of daily living;IADL)と呼ぶ.
アルツハイマー病を代表とする認知症では,身体的な運動機能障害がないにもかかわらず,認知機能障害によってADLが障害される.認知症においてADLを系統的に評価する目的はさまざまだろうが,① 認知機能障害だけではなくADLの障害の程度によりケアプランを作成する必要があること,② 認知機能障害とADLの障害との関連を明らかにすること,③ 薬物療法や介護などの有効性を評価すること,④ 保健福祉サービス,介護負担などに関する研究でADL評価が指標となること,などが挙げられる.
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