連載 呼吸リハビリテーションの評価
心理社会的評価
釋 文雄
1
Fumio Shaku
1
1日本大学医学部附属板橋病院心療内科
キーワード:
心理テスト
,
不安
,
抑うつ
Keyword:
心理テスト
,
不安
,
抑うつ
pp.849-851
発行日 2017年8月10日
Published Date 2017/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552201064
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呼吸リハビリテーションの対象者である慢性呼吸器疾患患者は,病気の進行に伴い呼吸困難発作が起きるのではないかという怖れ・不安・あるいは実際の呼吸困難発作に伴う恐怖・不安を経験し,このまま呼吸が止まり死んでしまうのではないかという生命の危機感をも感じることがある.逆に,不安に伴う生理的刺激が強くなると,呼吸困難を誘発し,増悪させることもある.このように多くの場合,不安と呼吸困難の悪循環が慢性呼吸器疾患患者の不活動および全般的な障害の原因となっている1).「不安」とは「明確な対象をもたない恐怖」と定義されるが,慢性呼吸器疾患患者では,疾患や治療に関係する危惧や懸念で不安が生じ,時には死への不安を語ることもある.また,病気の進行に伴い最もよくみられる心理社会的症状として抑うつにも注意を払う必要がある.
慢性閉塞性肺疾患(chronic obstructive pulmonary disease;COPD)患者の抑うつ,不安の合併頻度を表2)に示す.頻度にはかなりばらつきがあるが,多くのCOPD患者が抑うつ,不安を抱えていることがわかる.
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