総合リハビリテーション 45巻7号 (2017年7月)

特集 職業リハビリテーション

今月のハイライト
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 職業リハビリテーションは,障害のある方に対して相談・指導,訓練,職業紹介,その他を実施して,就業の場を得,さらにそれを継続するための支援を行うものです.また,職業リハビリテーションはそれ単独で独立したものではなく,医学的,社会的,教育的リハビリテーションと密接に関係した総合リハビリテーションの一過程として存在するものと考えます.

 本特集では,職業リハビリテーションの総論について解説いただいたのち,各障害分野のエキスパートに現状と課題,具体的な支援方法などを詳述していただきました.

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はじめに

 本稿では,職業リハビリテーションの新たな定義とそれに基づいた支援モデルを提唱し,併せてその背景となる概念を明らかにする.そのうえで,現状の就労支援の制度を概観し,企業の対応と職業リハビリテーションの今後の課題について言及する.

身体障害 横山 修 , 松元 健
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はじめに

 身体障害者の就労支援を進める場合,障害者の能力特性に応じた階層構造と支援1)を理解することが重要である(図1).

 企業側が必要とするのは生産性に直結する最上層の職務の遂行である.しかし,身体障害の場合は原疾患による疾病・障害の管理,日常生活の遂行,職業生活の遂行の下3層を充実させる必要があり,特に下2層においては,初回のリハビリテーションの果たす役割が大きい.この土台となる2層を安定させ,職業生活の遂行として作業能力を身に着け,企業の求める水準に達することが就労支援として重要である.今回われわれは当院の医学的リハビリテーションの段階から実施される就労支援と在宅就労について述べていく.

視覚障害 指田 忠司
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はじめに

 わが国は,2014年に障害者権利条約を批准したが,その前段階として,障害者関連法の見直しが行われた.障害者の雇用の促進等に関する法律(障害者雇用促進法)についてみると,障害による差別の禁止と合理的配慮の提供義務が規定され,2016年4月1日から施行されている.これにより,従来の社会連帯の精神による障害者雇用率制度とあわせ,障害者本人と職場とのよりきめ細かいコミュニケーションによって,障害者が自らの能力を発揮し,公正に能力を評価され,自己実現できるよう法制度が整備されてきたといえよう.

 本稿では,こうした最近の動向を踏まえつつ,視覚障害者の就業の状況を概観し,職業自立に向けた就労支援施策としての職業リハビリテーションの現状と課題について検討する.

精神障害 相澤 欽一
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「精神障害者」とは

 精神障害や精神障害者という概念は使用する人によって異なる場合が多く,法律によってもその定義は異なっている.

 「精神保健及び精神障害者福祉に関する法律」(以下,「精神保健福祉法」)では,精神障害者を「統合失調症,精神作用物質による急性中毒又はその依存症,知的障害,精神病質その他の精神疾患を有する者」とし,「精神疾患」は国際疾病分類第10版(International Statistical Classification of Diseaes and Related Health Probrems;ICD-10)の第5章(精神及び行動の障害)に該当するものとしている.

発達障害 柴田 珠里
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はじめに

 障害の有無にかかわらず,就労達成とその維持は,青年期・成人期における重大な発達課題の一つである.発達障害者にとって,就労にかかわるさまざまな場面で起こるつまずきにより,障害特性に起因する就労上の困難さが明るみになる.その課題解決は,その後の自己実現や生活の質に直結する.発達障害者の多くは,就労上の困難さを契機に診断に至り,職業リハビリテーションや就労支援を希望する.このように就労支援機関は,発達障害者にとって身近な支援機関として注目されている.

 現在,発達障害者の職業リハビリテーションや就労支援には,障害福祉や労働,教育,若年者支援,精神科医療など,さまざまな分野の支援者が,それぞれの立場でかかわっている.2016年8月,改正発達障害者支援法の施行により,発達障害者の就労支援ニーズはより注目されると思われるが,それぞれの分野における就労支援の実践を共有し,俯瞰する仕組みはない.また発達障害者が利用できるサービスはさまざまであるが,個々の特性や支援課題に合ったものを対象者が自ら選択するのは容易ではない.さらに,診断を受けているか,障害者手帳を所持しているか,障害情報の開示を希望しているかなど,本人の状態像によっても,活用できるサービスが異なる.どのような就労支援が受けられるのかは,本人が自らの課題に気づくタイミング,特別な配慮や支援を受け入れるタイミングにも左右され,さらに最初に出会う支援者に委ねられてしまうのが現状である.

 本稿では,前述のような発達障害者を取り巻く職業リハビリテーションや就労支援の現状を踏まえ,① 想定される対象者層,② 職業リハビリテーションや就労支援の契機,③ 職業リハビリテーションプロセスの実際について,発達障害者の就労上の課題,主な支援機関の役割・機能,就労支援の実際と今後の課題といった3つの観点から概観する.

高次脳機能障害 小田 芳幸 , 高岡 徹
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はじめに

 高次脳機能障害の就労支援では,働くための準備に時間を費やさなくてはならないことが多い.しかし,復職の場合には,限られた期間の中で取り組まなくてはならず,「障害の理解」,「働く力の再獲得」といった支援をどのように組み立てていくのかが課題となる.特に,高次脳機能障害の方が働き続けていくためには,雇用する事業所の理解が必要となることから,事業所への支援も大きな役割となっている.

 高次脳機能障害を伴う中途障害者への就労支援の取り組みを,横浜市総合リハビリテーションセンター(以下,当センター)の実践から述べる.

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 医学部卒業後,市中病院で基礎研修を行っていた1981年,思い立ってリハビリテーション医学の道を志し,公立大学病院リハビリテーション科に入局.リハビリテーション科独自のベッドをもっている大学病院という,当時としては稀少な場に身を置き,リハビリテーションセラピストとともにマットに上がり,医師・セラピスト合同の症例検討会や,大学病院では珍しかった小児超早期療育外来,障害児学校健診,更生相談所事業にまでかかわってきた.在宅訪問も数多く行い,訪問中に車がレッカー移動されたなんていうこともあった.

 その後郊外型の大規模リハビリテーション専門病院や都市型リハビリテーション専門病院での経験を経て,40歳からの16年間,600床規模の公立病院に勤務.リハビリテーション医一人部長という立場でリハビリテーション科ベッドをもって活動していたが,リハビリテーション医療を病院全体に浸透させる必要を感じ,リハビリテーション科ベッドは廃止し病院内のすべての患者さんに深くかかわる方針を明確にした.そして自分の行うべき仕事と判断して,嚥下障害診療や,栄養サポートチーム(nutrition support team;NST)の立ち上げなどを行い,主治医からの併診依頼がなくとも,リハビリテーションや嚥下,栄養の配慮が必要な全科の入院患者に積極的にかかわり,病院全体が良質な医療を実現できるようになることを志した.このことには苦労も多かったが,チーム医療の推進という後押しもあって成果が上がり,自分なりの達成感も得られていった.

入門講座 障害者権利条約・3

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形だけの批准を拒んだ障害当事者団体

 ここまで,障害者の権利に関する条約(以下,権利条約)の制定の経緯や内容の重点事項を概観してきた.今回は,権利条約と日本の障害分野の関係について述べる.優れた権利条約であるが,これとて所詮は手段に過ぎない.大事なことは,権利条約が障害者一人ひとりの人生や暮らしの好転に影響をもたらすことである.具体的には,日本の障害関連政策の改善にいかにつながるかということになる.

 結論から言えば,今日まで,権利条約は日本の障害関連政策に一定の影響を及ぼしている.今回は,この点をできる限り詳しく紹介したい.あわせて,日本での批准の前後の動きについても略述する.なお,権利条約への対応は国によって差異がある.日本の条約一般への対応は,欧州主要国と並んで比較的誠実な立場をとっている.権利条約についても同様で,効力の表れ方の大きな国の1つに数えられよう.

入門講座 物理療法の基本と実際・1【新連載】

温熱療法・寒冷療法 水落 和也
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リハビリテーション医学における物理療法の現状

 1994年,日本リハビリテーション医学会リハビリテーション機器委員会物理療法機器検討小委員会は,物理療法の教育,臨床での利用についてアンケート調査を中心に情報収集と問題点の整理を行い,報告している1).それによると,物理療法とは,「皮膚の表面から物理的刺激を用いて行う治療であり,温熱(ジアテルミー,寒冷を含む),電気,光線,機械的刺激が用いられる.水治療は温熱と機械的刺激(浮力,静水圧,粘性抵抗,振動)の複合刺激と考えることができる.以前は放射線も含まれていたが,現在では分離されている」と定義している.また,「リハビリテーション医療では理学療法に分類され,疼痛の緩解,循環の改善,障害の予防と改善を目的に用いられている.癌に対するハイパーサーミア(温熱療法),新生児溶血性疾患や乾癬に対する光線療法は現在の理学療法の対象には含まれない」と,その範囲を規定している.

 物理療法の問題点としては,医学部学生への教育は全国の大学病院,その附属施設において講義が53%,実習が64%で行われているものの,講義時間の平均は1.2時間,実習は機器の説明か見学のみであり,理学療法士教育現場においては,カリキュラムにおける物理療法時間数の削減,実習の場における体験の機会減少と,医学教育における教育の不足が指摘されていた.

実践講座 体幹装具・下肢装具—私はこう選んでいる・2

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はじめに

 わが国は超高齢社会を迎え,2013年には4人に1人が65歳以上となった.2016年8月1日現在,65歳以上人口は約3,450万人であり,人口の約27.2%に相当する1).骨粗鬆症による脊椎椎体骨折(vertebral body fracture)患者は約640万人2)と推定されており,日常診療でもよく遭遇する疾患となった.要介護認定を受ける原因疾患として,骨粗鬆症による骨折を含めた運動器の障害が上位に位置しており3),今後ますますその対策,予防が大切となってくる.

 脊椎椎体骨折は過屈曲による損傷で,脊椎の前方成分anterior columnが主に損傷される骨折である4).長軸方向への圧縮応力により生じることが多いため,圧迫骨折とも呼ばれる.椎体高の減少を生じ,多くは保存的治療により軽快する.

 本稿では,脊椎椎体骨折のなかで骨粗鬆症に合併した圧迫骨折に対する保存的治療について述べる.

実践講座 小児の痙縮治療・1【新連載】

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ボツリヌス治療は“名脇役”

 脳性麻痺患者の下肢痙縮に対するボツリヌス治療は論文数も多く,ボツリヌス毒素の発売当初など「痙縮治療の第1選択で,奇跡の薬である」かのように宣伝された時期もあった.たしかにボツリヌス治療は外来で実施可能で,筋弛緩効果から歩容の改善や痙縮に伴う痛みが改善できる.しかし,治療効果は一過性かつ限定的であり,ボツリヌス治療単独で成立するものではなく,リハビリテーションによる運動学習の促通や自宅でのストレッチ指導,装具やギプス治療など本来行われるべき治療が十分に実施されなければ満足のいく効果が得られない.ボツリヌス治療はいわば名脇役といった役どころで脳性麻痺患者を診療するうえで便利なツールではあるが,高価で副作用もあるので取り扱いに配慮が要る薬でもある.数多く実施するなかで,ほとんどのケースで奇跡は起きないというのが正直な感想であり,その有効性を振り返るべき時期にさしかかっている.ボツリヌス治療を実施するうえで,筆者が普段こころがけていることを交えて議論したい.

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要旨 【目的】歩行が自立した外来通院中の透析患者における,転倒リスク指標としての歩行周期変動測定の有用性を明らかにする.【対象】屋内歩行の自立した外来通院中の維持血液透析患者207例が対象である.【方法】測定項目は,10m区間内に出現した全歩行周期の平均時間とその標準偏差から算出した歩行周期変動係数,身体機能として握力と除脂肪量,動作能力としてShort Physical Performance Battery(SPPB)とした.2年にわたり転倒の有無を前向きに調査し,測定項目の転倒リスク指標としての有用性をハザード比(hazard ratio;HR)と95%信頼区間(95% confidence interval;CI)から検証した.【結果】歩行周期変動係数が転倒の独立した危険因子として抽出された(HR:1.06,95% CI:1.01〜1.12).なお,年齢,透析期間,栄養状態,糖尿病と整形外科疾患の既往にて調整後も同様の結果が得られた(HR:1.07,95% CI:1.01〜1.12).【結語】歩行が自立していたとしても,歩行リズムの不規則性を捉えた歩行周期変動係数の大きい患者ほど転倒しやすいことが明らかとなった.歩行周期変動係数は,身体機能や動作能力の保たれた透析患者における転倒リスク指標としての有用性が示唆された.

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はじめに

 従来,脳卒中後の歩行障害は発症から数か月間改善し1),慢性期には改善はほぼ期待できないとされてきた2).しかし近年,パワーアシスト外骨格型のロボットスーツHybrid Assistive Limb®(HAL®)を装着して歩行動作をアシストするリハビリテーションを行うことで,慢性期の脊髄損傷や脳卒中患者において歩行障害が改善したと報告されるようになってきた3-6).それはHAL®が,歩行時の筋活動に伴う皮膚表面の生体電位信号を読み取り,その信号に従って装着者の関節運動を正常状態に近い歩行パターンで補助する動作支援を行うことにあるとされる7).しかしHAL®の歩行訓練の効果が得られた限界まで,詳細に訓練経過を報告した例はみられない.今回筆者らは,慢性期の脳出血例に対し,HAL®を用いた歩行リハビリテーションを行い,歩行改善の有効性と訓練の限界について検討したので報告する.

連載 呼吸リハビリテーションの評価

健康関連QOL 角 謙介
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 生活の質(quality of life;QOL)といえば,曖昧で科学的な評価は難しいというイメージをもつ方は多いかもしれない.しかし近年,患者の視点から判定するQOL評価は実地臨床にも直結する重要なアウトカムであり,これは科学的に測定し定量化できるものであるという認識が一般的になっている.

 ただし,実際にQOL評価を行い,臨床や研究に資する際は以下の3点について注意が必要である.

・自作した質問票ではなく,妥当性が検証された質問票を使用すること.

・欧文の質問票を自己流で翻訳して使用しないこと.

・質問票の著作権に注意すること.

連載 認知症の臨床評価尺度

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 認知症の中核症状である認知機能障害の評価を行う際に,被験者が視力障害や難聴などの感覚器機能の障害を有する場合,あるいは麻痺や失調などの運動機能障害を有する場合には検査施行が困難となり,その評価は一部分に限られてしまう.このような際に,普段の日常生活や最近の出来事について家族からの情報があれば,観察式の評価尺度を用いることができる.

 観察式評価尺度は,対象者の知的機能の段階を日常生活におけるその人の言動や行動,作業遂行能力などの観察を通じて評価するものである.対象者本人の協力が得られない場合や質問式が実施できない場合でも判定が可能である.しかし,観察式尺度を用いて正しい判定を行うためには,対象者の日常生活状況を正しく把握する必要がある.そのためには対象者の家族や介護者たちから,いかに正しい情報を引き出すかが重要になる.家族の与えてくれる情報が常に正しいとは限らない.例えば,たまにしか会わない親族や被害妄想の対象となり患者に対して感情的になっている介護者から得られる情報は信頼性に欠ける場合があるだろう.どの人が情報提供者として適切なのかを見極める必要がある.日課,行動範囲,対人関係,趣味や関心事など,対象者の日常生活全般にわたって,情報提供者に具体的に聞いていく作業が必要となる.また,家族は患者の前では真実を語るのを躊躇する場合があり,別々に問診するなどの配慮も求められる.このような状況因を踏まえつつ適切な評価をするために,面接や問診の技術に習熟しておく必要もある.

Sweet Spot 文学に見るリハビリテーション

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 昭和47年に筒井康隆が発表した『乱調人間大研究』(『筒井康隆全集・第13巻』,新潮社)の第7章「気ちがいと紙一重」には,筒井の病跡学的な見解が示されている.

 この作品の冒頭部分で,『天才と狂人は紙一重』という諺は事実だそうである」と語る筒井は,アリストテレスの「狂気を混えない偉大な魂はない」という言葉をはじめ,ショーペンハウエルの「天才は正常よりも狂気に近い」という言葉や,パスカルの「極端な知力は極端な狂気と,きわめて似たものだ」といった言葉を紹介しながら,「実際に精神病患者だった天才は,いっぱいいる」として,次のような例を挙げている.1)「ドストエフスキーは癲癇だった.倒れて口から泡を吹くという発作をよく起した」.2)「ストリンドベルヒは精神分裂病.嫉妬妄想のために『痴人の告白』が生れた」.3)「ゴッホの場合は精神分裂病とも,癲癇質によるものともいわれている.彼は片方の耳を剃刀で落して封筒に入れ,売春婦のところへ持っていき,最後はピストル自殺をした」.4)「ニーチェは梅毒だった.『ツァラトゥストラ』を書いたのは精神病院へ入院する数年前,つまり梅毒の潜伏期だった」.5)「モーパッサンも梅毒.小さい木の枝を折って,これを植えればモーパッサンのせがれが生えてくるといったそうである」.6)「梅毒の音楽家としてはシューマンがいる」.7)「ボードレールはアルコール中毒.梅毒にもかかっていたという説がある」.8)「エネルギーの保存の法則を発見したマイヤーは偏執的で躁鬱的でしかも分裂的で,つまりあらゆる発作をすべて起し,精神病院に入院した」.

Sweet Spot 映画に見るリハビリテーション

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 筆者にとっての広瀬すずは,頭がクラクラするなど体調がすぐれないときのクスリ.「海街diary」,「ちはやふる上の句・下の句」,「四月は君の嘘」,「怒り」がそうであるように,広瀬は常に人や状況を救う役を担っており,そのメカニズムは不明だが,筆者のようなヨレヨレ状態の観客にも力を与えてくれる.となれば広瀬の新作「チア☆ダン」(監督/河合勇人)には一目散に駆け付けねばならない.

 本作は2009年に全米チアダンス選手権大会で優勝した福井商業高校チアリーダー部JETSに材を取った実話もの.開巻一番,優勝の事実が示されるので,ドラマの骨格は,そこに至るまでの対立・葛藤ということになる.

私の3冊

私の3冊 小山 哲男

ニュース

支援学校3,400教室足りない/他1件

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 20年前,発達障害の概念がここまでの広がりをみせるとはだれが想像したであろうか.診察室や教室で「ちょっと気になる」子どもたちは,「障害」という括りのなかでクローズアップされ,その診断,治療,対応,制度の改正などについてさまざまな専門家たちが議論を重ねてきた.

 普通学級に通う子どもたちの約7%が発達障害のスペクトラムをもつ,という文部科学省の衝撃的な発表は話題となったが,発達障害という概念自体がスペクトラムであり正常か異常かの境界線は曖昧なものである.その境に「社会適応」というキーワードは重要であり,実際に社会で「適応」している発達障害のスペクトラムをもつ児(者)の数は想像をはるかに超え,そのなかには異彩を放つ大活躍をしている方々が大勢いると推測される.

お知らせ

CRASEEDセミナー/他1件

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 近藤克則先生が2005年に『健康格差社会—何が心と健康を蝕むのか』を出されたころは,小泉内閣が郵政省を悪者にしたてた「郵政選挙」で大勝し,劇場型政治,ポピュリズムに舵を切ったころである.「20年遅れの新自由主義」といわれ,規制緩和,自己責任,小さな政府がもてはやされたが,旗振り役が規制緩和の恩恵を受ける会社の役員になったり,お仲間に有利な規制緩和があったりと政界には利益相反という言葉は存在しないようである.教育においても独立法人化した大学の授業料は下がることはなく,奨学金の名を借りた高利貸しが跋扈し,大学の偏差値と保護者の収入の相関がいわれ教育機会の均等も怪しくなっている.

 その後,民主党政権と東日本大震災を経て第二次安倍内閣になり,アベノミクスとやらで経済発展のみが強調され,トリクルダウンといいながらも,上のほうのグラスは大きく,いくらついでも下層にはおこぼれは来ないまま経済格差が未曽有に拡大した.まっとうな議論をしないままの立法や強権に忖度する政治がはびこり,報道や人権の抑圧が国外からも指摘されている.

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文献抄録

次号予告

編集後記
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 あっという間に2017年も半分が過ぎました.なんだか年々1年が経つのが早くなってるんじゃね?……という現象を「ジャネーの法則」というそうです.5歳の子供にとっての1年はこれまでの人生の5分の1の長さ,20%に相当しますが,50歳の人にとっての1年はこれまでの人生のたったの2%の長さというわけです.確かに小学校の6年間はすごく長かった.で,ちょっと計算してみたら,なんと小学校の6年間と,入社してからの20ウン年は,体感的にはちょうど同じ長さ! なるほど半年なんてあっという間のはずです.と,長々と書いたのは,例年よりひと月ご報告が遅くなってしまったことの言い訳でした.

 というわけで,「第25回総合リハビリテーション賞」が決定いたしました.加藤貴志先生(井野辺病院総合リハビリテーションセンター)らによる「脳損傷者の実車運転技能に関連する神経心理学的検査について-システマティックレビューとメタ分析」(44巻12号「研究と報告」)です.おめでとうございます! 時間の体感速度を止める方法は「新しいことに挑戦すること」だそうです.ぜひ,「総合リハビリテーション賞」にチャレンジしてみませんか.

基本情報

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総合リハビリテーション
45巻7号 (2017年7月)
電子版ISSN:1882-1340 印刷版ISSN:0386-9822 医学書院

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