臨床雑誌内科 123巻2号 (2019年2月)

特集 易感染患者のマネジメント―“免疫不全” で思考停止にならない

特集のねらい

易感染患者と感染症診療 冲中 敬二
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市中における易感染患者の増加

 近年,市中には何らかの易感染者が増えてきている.代表的なものとして以下のような原因がある.

①2010年に日本は超高齢社会へと突入した.

②2016年には糖尿病患者が初めて1,000万人を超えた.

③平均在院日数短縮に向けた取り組みが進んだ.

 ・がん患者の外来化学療法への移行

 ・手術後の早期退院

④治療の進歩に伴う免疫不全患者が増加した.

 このように,市中には何らかの易感染者が増加してきており,診療所や救急外来を受診する場面も増加していることが予測される.このような易感染者が感染症を疑う症状で受診した場合,どのように考えればよいのだろうか?

Overview:代表的な免疫不全と感染症

細胞性免疫不全 山本 舜悟
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Summary

▪細胞性免疫不全のある患者で問題になる感染症は多岐にわたり,その治療薬は副作用が多いものが少なくなく,治療期間は長期間必要になるものがある.

▪ほかのタイプの免疫不全と比べて原因微生物の特定が重要である.

▪ここでは主にステロイド投与患者の感染症のうち,ニューモシスチス肺炎について概説する.

液性免疫不全 細川 貴弘 , 鈴木 純
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Summary

▪液性免疫は獲得免疫の一つであり,B細胞や形質細胞によって産生される抗体を中心とした免疫系のことを指す.

▪脾臓摘出後,造血幹細胞移植や多発性骨髄腫などで抗体の機能,産生が低下して液性免疫不全が起きる.

▪液性免疫不全では肺炎球菌,Haemophilus influenzae type b,髄膜炎菌などの莢膜を有する細菌が問題となり,これらを予防するためのワクチン接種が必要である.

▪脾臓摘出後患者の敗血症性ショックのような病態のことをOPSIという.OPSIは数時間の経過で病状が悪化するため,早期診断,早期治療が重要である.

好中球減少 羽山 ブライアン
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Summary

▪好中球減少では,細菌・真菌感染症が主に問題となる.

▪好中球減少時は,発熱そのものをFNという疾患と捉えて対応する.

▪世界的にFNの治療期間を短縮する試みがなされている.

▪好中球減少時に問題となる特殊な感染症がある.

バリア障害 久保 健児
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Summary

▪生体の感染防御は,第一段階のバリア機能と,第二段階の免疫反応からなる.

▪皮膚・粘膜バリアの障害は,外傷や熱傷だけではなく,医療そのもの(カテーテル留置,手術,放射線治療,化学療法)によって容易に引き起こされ,医療関連感染症の原因となる.

▪抗菌薬による常在菌叢の菌交代も,バリア機能の障害である.

▪バリア障害の予防のためには,適切な “less is more” 戦略が重要である.

▪バリア障害の代表例として,カテーテル関連血流感染症(CRBSI)と熱傷に伴う感染症を取り上げ,3つのキーポイントを提示する.

基礎疾患と感染症

慢性呼吸器疾患の感染症 皿谷 健
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Summary

▪慢性呼吸器疾患には肺気腫,COPD,肺結核後遺症,気管支拡張症,間質性肺炎など種々の病態があり,症状もさまざまである.

▪一般内科の外来においても先天性肺疾患や悪性疾患の合併症としての感染症が診断の契機となることがある.

▪本稿では数例の症例を提示した.

糖尿病 高倉 俊一 , 本郷 偉元
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Summary

▪糖尿病患者は易感染状態として広く知られており,好中球機能,細胞性免疫,液性免疫いずれの機能も低下すると報告されている.

▪末梢神経障害による感覚障害,自律神経障害を合併すると自覚症状に乏しいため感染症の合併を発見しにくくなり,血管合併症は治癒遅延にもつながる.

▪以上のことが主要因となり,皮膚・軟部組織感染症や尿路感染症をはじめ,結核などさまざまな感染症に罹患しやすくなる.

▪高頻度に耐性菌が関与し,重症化・死亡のリスクも高くなる.

▪糖尿病患者を診療する際は上記を念頭に置き,常に感染の合併がないか意識しておくことが重要である.

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Summary

▪肝硬変患者の免疫不全は複合的な因子で成り立っている.結果として,細菌感染症の罹患リスクや死亡率は高くなる.

▪さまざまな臓器に感染症を起こしうるが,特発性細菌性腹膜炎は肝硬変患者に特徴的な感染症であり,その診断には腹水検査が重要である.

▪肝硬変患者がショック症状や皮疹などを呈した場合はVibrio vulnificusの曝露を想起するべきである.

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Summary

▪慢性腎臓病(CKD)患者は感染症のリスクが高く,保存期CKD患者の約4%,透析患者の約22%が感染症で死亡する.

▪透析患者では,バスキュラーアクセスや腹膜透析カテーテルなど透析アクセスに関連した感染症の頻度が高い.

▪感染症を合併したCKD患者では,CKDの進展が加速し心血管疾患がいっそう増加する.

▪感染症の視点からCKD患者の予後を改善させるポイントは,① 確実にワクチンを接種すること,② 感染症のリスクが高い短期留置カテーテルを使用せず計画的に透析を導入すること,③ 感染症を早期発見・早期治療すること,④ 腎代替療法において腎移植を選択すること,である.

膠原病 村中 清春
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Summary

▪予防できる感染症を予防する.

▪特殊な微生物を想定し,可能な限り検体を採取する.

▪リウマチ性疾患のなかで,とくに易感染性を意識するべき疾患は炎症性筋疾患と血管炎(多発血管炎性肉芽腫症)である.

▪リウマチ性疾患治療薬で,とくに易感染性を意識する薬剤はステロイドとcyclophosphamideである.

▪抗IL-6受容体抗体は感染症があっても,CRPおよび赤沈が偽陰性となりうる.

▪JAK阻害薬は他のリウマチ性疾患治療薬に比べて帯状疱疹が多い.

▪リウマチ性疾患(とくに生物学的製剤使用時)ではHBV,結核のスクリーニングを行う.

原発性免疫不全 上山 伸也
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Summary

▪原発性免疫不全症候群は小児の疾患と考えられているが,意外に青年期以降に診断される原発性免疫不全症候群も多い.

▪そのなかでも頻度が高いのは抗体産生不全症,とくに分類不能型免疫不全症(CVID)と選択的IgA欠損症,Good症候群である.

▪小児期,青年期以降いずれにおいても,原発性免疫不全症候群を疑う徴候を理解するのが最も重要である.

▪青年期以降で免疫不全を疑う場合には,血液悪性腫瘍やHIV感染症などに続発した二次性免疫不全を疑うことも忘れない.

HIV感染患者 上田 晃弘
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Summary

▪HIV感染患者では,CD4陽性細胞数の低下により細胞性免疫障害をきたし,日和見疾患を発症する.

▪日和見疾患の鑑別にあたっては,CD4陽性細胞数と感染臓器から起因微生物を想定する.日和見疾患の予防薬,ARTを行っているか確認する.

▪HIV感染経路が性行為であった場合,他の性行為感染症もハイリスクとなる.

特徴ある患者背景と感染症

ICUにおける感染症 大野 博司
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Summary

▪ICU入室患者の感染症としての原因は,① 6つの医療行為に関連した感染症,② ICU入室となった疾患・基礎疾患による感染症,の大きく2つに分かれる.

▪上記の2つで感染臓器を特定できない場合,ICUでの発熱の原因は非感染性疾患が大部分であり,新たにほかの感染症が起こる可能性は低い.

▪ICUセッティングで感染症が疑われる場合,感染臓器・想定される起因微生物の推定と,とくにグラム陰性桿菌の病院内アンチバイオグラムに基づく適切な抗菌薬選択,および循環・呼吸管理を中心とした全身管理を迅速に行う.

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Summary

▪術後患者における感染症診療で重要なことは,術後の発熱を適切に評価することである.

▪術後の発熱をきたすのは感染症だけでなく,非感染性の状態や疾患もある.

▪術後の発熱は,発熱の時期および感染性・非感染性の軸を用いると鑑別疾患を整理しやすい.

▪どの外科領域にもみられる術後感染症がある一方で,各外科領域に特徴的な外科感染症も存在する.

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Summary

▪新生児・低出生体重児は,さまざまな理由で易感染性である.

▪感染症診療の原則は変わらないが,疫学,問診,診察,検査などさまざまな情報処理に知識や経験を要する.迷ったら専門家に相談すべきである.

高齢者の感染症 藤田 崇宏
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Summary

▪高齢者は,免疫老化により感染症の頻度の高い集団である.

▪病歴は複数の情報源から聴取すること,身体所見ではバイタルサインを重視する.

▪耐性菌保有リスクが高い患者の肺炎では,緑膿菌のカバーがある薬剤を初期投与に用いる.喀痰培養で耐性菌が検出されなかった場合は積極的にde-escalationを行う.

▪無症候性細菌尿と尿路感染症の区別のためには他の部位の感染症の除外が必要である.

▪軟部組織感染症は着衣で隠れた部位にも起きるので,診察の際には注意する.

▪マクロライド系,アゾール系抗真菌薬を用いる際は薬剤相互作用を必ず確認する.

▪腎機能の過大評価に注意して投与量を決定する.

▪終末期認知症患者の肺炎では,個人の意思や生活の質を考慮して治療方針を検討する.

がん患者と感染症

固形腫瘍患者 雨宮 哲郎 , 倉井 華子
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Summary

▪固形腫瘍患者は感染症のリスクを複数もつことが多く,発熱時の鑑別は多岐にわたる.

▪感染症のリスクは「解剖学的異常」「免疫不全」に二分される.腫瘍の部位,デバイス,免疫不全の種類の把握が重要である.

▪解剖学的異常に伴う感染症は複数菌感染が多く,治療にドレナージやデバイスの抜去を要するケースが多い.

▪分子標的薬は従来の殺細胞性抗がん薬に比べ骨髄抑制のリスクは低いが,特有の感染症リスクを有する.

▪免疫チェックポイント阻害薬は,合併症に対するステロイドや免疫抑制薬の併用により感染症のリスクが高まる.

血液腫瘍患者 木村 俊一
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Summary

▪好中球減少が細菌・真菌感染症の最大のリスク因子となる.

▪発熱性好中球減少症(FN)に対しては経験的な抗菌薬投与を,高リスク群における広域抗菌薬不応性FNでは抗真菌薬の経験的/先制治療を適用する.

▪液性免疫不全で莢膜を有する細菌による感染症リスクが増加する.

▪細胞性免疫低下でニューモシスチス肺炎のリスクが高まるため,発症率3.5%以上の治療ではST合剤の予防投与を考慮する.

▪プロテアソーム阻害薬など,VZV再活性化のリスクの高い治療では抗ウイルス薬の予防投与を考慮する.

移植患者と感染症

固形臓器移植 庄司 健介
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Summary

▪固形臓器移植後の感染症では,手術関連と免疫不全の両面について考慮する必要がある.

▪移植からの時期が重要で,一般的に移植後1ヵ月までは手術関連もしくは病院関連感染症,1~6ヵ月までは免疫抑制に伴う日和見感染症,6ヵ月以降では市中感染症の重要性が高くなる.

▪固形臓器移植後感染症の予防には,移植前後の予防接種と,周術期感染予防の手術直前からの抗菌薬,術後日和見感染症の予防(ニューモシスチス肺炎予防のST合剤,サイトメガロウイルス感染症予防(もしくは先制攻撃的治療)のganciclovirもしくはvalganciclovirなど)が重要である.

造血幹細胞移植 大澤 良介
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Summary

▪造血幹細胞移植後患者は,移植前処置による好中球減少や消化管の粘膜障害,移植片対宿主病(GVHD)の予防や治療に使われる免疫抑制薬による細胞性免疫の低下,また,慢性GVHDによる液性免疫と脾機能の低下を原因として,高度の免疫抑制状態にある.

▪感染症の診療に当たっては,移植後の時期(生着前,生着後前期,生着後後期),GVHD合併の有無と投与されている免疫抑制薬の機序を把握し,患者の免疫状態を的確に評価して,どのような微生物(細菌,真菌,ウイルス,寄生虫)による感染症が起こりやすいかを症例ごとに理解することが重要である.

ワクチン

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Summary

▪種々の免疫不全患者に対するインフルエンザのインパクトとワクチンの効果,安全性についてまとめた.

▪免疫不全患者は,インフルエンザ罹患により入院や死亡のリスクが上がる.

▪ワクチンは不活化ワクチンが用いられる.

▪rituximabなどの抗B細胞抗体のように接種時期に注意が必要なものや,免疫チェックポイント阻害薬のようにエビデンス蓄積中のものはあるが,免疫不全患者にとって,ワクチンは免疫正常者に比して効果は劣るものの一定の効果があり,副反応も変わらないことが多い.

▪われわれ臨床医はそれぞれの患者背景を考慮のうえ,免疫不全患者をインフルエンザから守る機会を逃さないようにする必要がある.

肺炎球菌ワクチン 中島 啓
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Summary

▪わが国で使用可能な肺炎球菌ワクチンとして,23価莢膜ポリサッカライドワクチン(PPSV23)と13価蛋白結合型ワクチン(PCV13)の2種がある.

▪2012年に米国疾病管理予防センターの予防接種の実施に関する諮問委員会は,19歳以上の成人の免疫不全患者に対してPCV13とPPSV23の両方を接種することを推奨した.

▪接種法としては,PCV13を接種してから8週以上あけてPPSV23を接種することが示されている.

▪今のところ,わが国では,PCV13の接種対象は65歳以上の高齢者と5歳以下の小児に限られている.

▪免疫不全患者に対する肺炎球菌ワクチン接種のエビデンスはまだ十分とはいえず,今後も,ワクチン接種の有効性および安全性についての臨床研究が必要と考えられる.

トピックス

薬剤耐性菌 原田 壮平
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Summary

▪多剤耐性グラム陰性菌の増加が世界的に公衆衛生上の重要課題となってきている.

▪多剤耐性菌の獲得を防ぐために抗菌薬の適正使用と院内感染対策の遵守が必要である.

▪ESBL産生大腸菌は日本でも増加の一途をたどっている.

▪CREの検出頻度は日本では海外よりも比較的少ないが,今後の動向に注意を要する.

抗菌薬適正使用 堀越 裕歩
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Summary

▪近年の薬剤耐性対策のなかでは,国際的にも国策としても抗菌薬適正使用は不可欠となっている.

▪適正使用の取り組みには,個人の感染症診療の向上と組織的なAntimicrobial Stewardship Program(ASP)の2つがある.

▪ASPでは,処方介入で監査を行い,ガイドラインなどを参考に診療の標準化を行う.

▪免疫不全の患者でも抗菌薬適正使用の推進は可能であり,医療の質を改善させることができる.

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 冲中 本日は,がん患者の感染症をたくさん診ていらっしゃる先生方に,診療について普段考えていらっしゃることを教えていただければと思い,お集まりいただきました.

Book Review

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 本書を手にとってみると,まず表紙が緑の背景に窓のカーテンが風に吹かれ,机にコーヒーと開いたノートとペンが置かれ,著者がいろいろ思いを馳せながら本書を書いていることを想像させる.いかにも落ち着いた雰囲気を醸し出し,気楽に読んでほしいとの意図がうかがえる.実際にページをめくると,私のような高齢者にもメガネなしで読める字の大きさで書かれており,図表がふんだんに使ってあってわかりやすい.

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世界に誇る沖縄式感染症診療のアートと最新のエビデンスが詰まったハンドブック

 日本を代表する臨床感染症の二大巨匠である喜舎場朝和先生と藤田次郎先生が,執筆および監修をされたハンドブックの最新改訂版がついに出た.執筆陣はもちろん沖縄県立中部病院と琉球大学医学部に関係する感染症エキスパートの先生方である.

連載 教えて! レントゲン 胸部単純X線の(得)目付けポイント

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<症例1>

55歳女性の方です.2ヵ月前から空咳がありました.

 ✔1週間前から37°C台の発熱があり受診しました.痰はありませんでした.

 ✔これまで大きな病気をしたことはありません.

 ✔タバコは25本/日を30年間吸いましたが,5年前にやめました.

さて,どこが怪しいでしょうか.

連載 呼吸器内科×○○科で語る! Comorbidity患者さんの診かた

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 今回の患者さんは,間質性肺炎で当科に通院中に労作時の呼吸困難が増悪してきた70歳代の男性です.聴診時の収縮期雑音が目立ったため心エコー検査を行ったところ大動脈弁狭窄症を指摘されたため,循環器内科に相談させていただきました.

連載 プライマリーケア医のがんの診かた ~かかりつけ患者さんのがんと共にたたかうために~

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 第8回では,がんの支持療法を理解するために最近のがん治療の全体像について概説いたしました.年々進歩しているがんの薬物療法はその種類や適応も増加しており,日常診療でもさまざまな有害事象に直面します.もちろん,有害事象の管理はがん治療を担当しているがん治療医が責任をもって対応すべきことではありますが,生活や仕事をしながら治療にあたっている患者さんにとってかかりつけ医は困ったときに頼りになる存在です.今回は,がん治療中の予防接種やインフルエンザを中心にかかりつけ医に求められる支持療法について解説していきたいと思います.

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症 例 69歳,女性.

 脊髄損傷により寝たきりの症例であり,発熱を主訴に受診した.CT検査より右尿管膀胱移行部に尿道カテーテル先端の迷入が疑われた(図1).カテーテル抜去後のCT検査では,カテーテル先端部と一致して尿管が拡張していた(図2).尿沈渣の結果は膿尿であり,尿培養でEscherichia coliが検出された.以上から,カテーテルの尿管迷入による腎盂腎炎と診断した.抗生物質治療により全身状態は改善した.1週間後の造影CT検査では,右尿管の拡張は消失し通過障害をきたすほかの原因は認められなかった.

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 は じ め に ヘパリン起因性血小板減少症(Heparin induced thrombocytopenia:HIT)は,heparin投与後に特異的な免疫応答を引き起こしHIT抗体の出現により血小板減少,血栓塞栓症をきたす免疫異常である1).また,ヒトT細胞白血病ウイルス1型(human T-cell leukemia virus type 1:HTLV-1)の持続感染は,さまざまな組織で異常抗原を発現して免疫応答を惹起し,自己免疫疾患を発症したり種々の自己抗体を産生するとされている2).われわれは,抗リン脂質抗体陽性で下肢静脈血栓症の治療経過中にHITをきたし診断と治療に難渋したHTLV-1陽性患者を経験したので報告する.

基本情報

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臨床雑誌内科
123巻2号 (2019年2月)
電子版ISSN:2432-9452 印刷版ISSN:0022-1961 南江堂

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