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投稿 臨床研究
非血縁者間同種造血幹細胞移植における手紙交換の実態と送付に関わる影響因子の解析
Retrospective analysis of associating factors for exchange of letters in unrelated allogeneic hematopoietic stem cell transplantations
三川 紫緒
1,2
,
大和田 千桂子
2
,
中世古 知昭
2,3
,
井関 徹
1
,
堺田 惠美子
2
S. Mitsukawa
1,2
,
C. Ohwada
2
,
C. Nakaseko
2,3
,
T. Iseki
1
,
E. Sakaida
2
1千葉大学医学部附属病院輸血・細胞療法部
2千葉大学医学部附属病院血液内科
3国際医療福祉大学医学部血液内科学
pp.149-154
発行日 2019年1月1日
Published Date 2019/1/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_naika123_149
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は じ め に 非血縁者間同種造血幹細胞移植は,幹細胞の提供者である非血縁ドナーの存在が不可欠である.非血縁ドナーの幹細胞提供には,完全な自由意思に基づく同意を担保するために,ドナー・レシピエント双方の厳格な個人情報保護が求められる.その反面,ドナーはレシピエントの治療経過を知ることができないために幹細胞提供による達成感が得られにくく,レシピエントは提供に対する感謝をドナーに直接伝えることができないという問題点がある1).日本骨髄バンクでは,「手紙交換制度」によって,ドナー・レシピエント双方が精神的につながる手段を提供している.これは,自発的な自由意思に基づいてドナーおよびレシピエントの間で手紙の交換を行うもので,ドナーの最終同意面談後から移植後1年間,双方2回までの送付が許されている.手紙の内容には,氏名・住所・生年月日・病名・移植後の具体的な経過の記載は許されず,金銭や物品の取り扱いも禁じられている2~4).日本骨髄バンクでは,非血縁者間同種造血幹細胞移植を受けるレシピエント全例に対して,ドナーの最終同意面談後に手紙交換制度の案内と送付用のカードを配布している.しかしながら2015年日本国内のレシピエントからドナーへの手紙送付率は58%,ドナーからレシピエントへの手紙送付率は18%に留まっており,制度が十分に機能しているとはいいがたい.今回われわれは,国内で初めて単施設での手紙送付率とその影響因子について統計学的に解析し,手紙交換に関する課題を検討した.
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