臨床雑誌整形外科 57巻11号 (2006年10月)

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下肢神経根症状を呈する腰椎変性側彎症に対して脊柱管拡大術を行い術後2年以上経過観察しえた22例を対象に、障害神経根、障害部位、側彎形態、臨床成績の経時的推移などについて検討した。合計で36神経根の障害が認められ、L3が5根、L4が14根、L5が13根、S1が4根であった。障害部位は脊柱管内が21根、椎間孔部が14根、椎間孔外における外側ヘルニアでの圧迫を認めたものが1根であった。JOAスコアは術前平均7.2±2.1点が術後6ヵ月時12.5±2.0点、術後1年時11.7±2.5点、最終観察時11.7±2.4点と変化した。臨床成績に影響を及ぼす因子について検討した結果、「側方すべり」が有る群は無い群に比べてJOAスコアの改善率が有意に低かった。また、椎間孔・椎間孔外狭窄群は脊柱管内狭窄群に比べて改善率が有意に低かった。

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2002年1月~2004年10月に治療を行った胸壁悪性腫瘍4例の成績を報告した。男3例、女1例、年齢は33~64歳(平均51歳)、腫瘍の発生部位は肋骨3例、軟部組織1例、組織型は軟骨肉腫3例、悪性神経鞘腫1例、組織学的悪性度はgrade1~2であった。手術は全例に骨性胸壁の切除を行い、切除肋骨数は1~3本(平均2.5本)、切除縁は1.5~2.5cm(平均2.1cm)であった。再建では半層肋骨付き前鋸筋・広背筋弁を2例、前鋸筋弁を1例、腹直筋弁を1例に用いた。手術時間は7時間15分~10時間(平均8時間28分)、出血量は90~1080ml(平均413ml)であった。術後合併症として全例に胸水貯留を認め、トロッカー挿入期間は4~18日(平均11日)、入院期間は20~39日(平均31日)であった。腫瘍の再発は1例も認めていない。

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新たに開発された髄内固定具AO/ASIF,proximal femoral nail-antirotaion(Synthes社製)を15例に使用した。その短期成績を、過去に報告された髄内釘の成績と比較した。手術時間は髄内釘よりも短い傾向にあった。出血量も少ない傾向にあり、荷重開始時期は早い傾向にあった。telescoping量には差異を認めなかった。術後歩行能力が維持できた割合は髄内釘群よりも若干低かったが、術後経過観察期間が短いことを考慮すると満足できる成績と思われた。

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1995~1999年に自己血輸血(液状保存法)で人工膝関節全置換術または人工股関節全置換術を行った56例を年齢層別に65歳未満群、65歳以上75歳未満群、75歳以上群に分け、輸血成績を比較した。術直前・術後のヘモグロビン値、術直前の貧血回復率、同種輸血回避率のいずれにおいても3群間で統計学的有意差は認めなかった

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2005年2月~12月に当科で高悪性度非円形細胞軟部肉腫に対して化学放射線療法を行った6例の有害事象について報告した。化学療法は点滴静脈内注射で行い、ビンクリスチン1mgを第1日に30分間で、ドキソルビシン60mg/m2を第1~3日に合計36時間で、イホスファミド2.5g/m2/日を5時間かけて第1・2・3日に投与した。血液/骨髄に関する有害事象はgrade 2 ~4の好中球減少を認めた。代謝/臨床検査値に関しては血清ALT(GPT)とAST(GOT)がgrade 1~3の上昇を示した。皮膚に関する有害事象は、全例がgrade 1の注射部位の反応を示し、1例ではgrade 2まで悪化した。また全例にgrade 1の放射線皮膚炎を認め、2例ではgrade 3まで悪化した。術後の有害事象では、1例で黄色ブドウ球菌による創感染を生じたほか、2例で創の一部が壊死しgrade 3となった。

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42歳女。2~3年前から軽い腰痛と左下肢の痺れがあり、徐々に症状が進行してきたため受診した。諸検査により第3腰神経から発生した12×8×8cm大のダンベル型神経鞘腫と診断し、手術を施行した。腫瘍が巨大なため後方からの手術に加えて前方からの手術を要し、手術時間は合計8時間5分、出血量は800mlであった。術後に一過性の脱落症状を生じた。術後1年の現在、腫瘍の再発なく経過良好である。

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70歳男。突然腰痛が出現し、体動困難となり受診した。腰椎X線でL4/L5椎間にガス像を認めたが、このときは真空現象などによるガス像と考えた。血液検査で白血球数・CRPの高値を認め、化膿性椎間板炎などを疑ってセフォチアム2g/日の点滴静注を開始した。第2病日に両下肢痛、悪寒、戦慄、意識障害などが出現し、白血球数とCRPは著明に上昇した。敗血症性ショックと考え、血液培養を行うとともに、抗生剤をイミペネム/シラスタチンナトリウム(IPM/CS)1g/日に変更した。血液培養の結果Clostridium perfringensが陽性であった。第5病日のCT検査でガス像が硬膜外腔および腸腰筋内に拡大しているのが認められた。抗生剤をベンジルペニシリンカリウム(PCG)1200mg/日に変更し、第6病日に手術(L4椎弓切除、L4/L5椎間板掻爬、両側腸腰筋切開)を施行した。手術後も炎症所見の改善はなく、第9病日にPCGを2400mg/日に増量し、クリンダマイシン1800mg/日を追加した。第14病日にIPM/CS 2g/日に変更し、高気圧酸素療法目的に他院へ転院となった。高気圧酸素療法は13日間行われた。第30病日に抗生剤投与を終了し、第47病日に安静解除となった。術後1年の現在、感染の再燃は認めていない。

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61歳女。右上腕骨近位端骨折に対してlocking humeral spoon plate(LHSP)による接合術を行い、術後5週時に夜寝返りをうったさい上腕骨骨幹部骨折を生じた。原因として、患者に骨脆弱性があったことに加え、LHSPの強固な固定により応力がプレートを介してプレート遠位端に集中したことが考えられた。

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橈骨遠位端骨折に対する掌側プレート使用骨接合術後に長母指屈筋腱(FPL)断裂をきたした症例を2例経験した。患者は50歳と74歳の女性、いずれも術後8ヵ月時にFPL断裂を生じた。原因については、症例1ではプレート尺側の設置位置が関節面レベルに位置していたことで機械的刺激により断裂したものと推測された。症例2ではプレートの設置位置は良好であったが、高齢による骨脆弱化のため経時的に骨折部の短縮および遠位部スクリューの弛みをきたし、その結果プレートのエッジによる機械的刺激が生じたものと考えられた。

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54歳女。両側先天性股関節脱臼に対して14歳時に左側、15歳時に右側のSchanz骨切り術を受けた。術後は鎮痛薬を使用しながら日常生活を送っていたが、52歳頃から徐々に疼痛が増強し、歩行障害が悪化してきたため受診した。両股関節とも高位脱臼状態であり、大腿骨近位部に著明な変形を認めた。転子下短縮矯正骨切り術を併用した人工股関節全置換術を行い、結果、疼痛は消失し、歩行障害も改善した。転子下短縮矯正骨切り術を併用することのメリットとして次のような点が挙げられる。転子下で骨切りし近位骨片を反転することにより、大転子を切離しなくても良好な視野が得られ、臼蓋コンポーネントの原臼設置が可能。過度の脚延長なく人工関節の設置ができるので神経麻痺を回避できる。一期的な変形矯正が可能。

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81歳男。両膝変形性関節症に対し、20年前に右側人工関節全置換術、18年前に左側人工関節全置換術を受けた。2年前から右人工関節の弛みがあり、徐々に右膝痛が増強してきたため当科入院となった。X線検査で大腿骨内顆の骨欠損と大腿骨コンポーネントの著明な弛みを認め、コンポーネントを抜去した。大腿骨内顆の欠損は55mmにわたっており、表面置換型の人工関節による再建は困難と判断、腫瘍用人工膝関節(rotating hinge type)を使用することとした。脛骨近位はドーム状の骨欠損を呈していたため、遠位大腿骨の海綿骨を細片化し、骨移植したあとにセメントレス人工関節を挿入した。術後8ヵ月の現在、杖を使用して安定した歩行が可能であり、自動ROMは伸展0°、屈曲90°と良好、JOAスコアは術前の40点から75点に改善し、感染徴候は認めていない。

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49歳男。20歳代から両膝関節水腫を繰り返し、近医で関節穿刺などを受けていた。また、両手指と手関節に腫脹・疼痛があり、6年前に関節リウマチ(RA)と診断された。ブシラミンとステロイドで加療され、手指と手関節の症状は軽快したが、膝関節水腫は消退せず、今回当科を受診した。MRIのT1強調像で膝蓋上嚢に脂肪組織と同信号を示す滑膜の増生を認め、同部は脂肪抑制像で抑制されたことから脂肪腫を疑い、確定診断のため関節鏡を施行した。その結果、膝蓋上嚢に黄色泡沫状組織の樹枝状増殖が認められ、これをシェーバーで可及的に切除し、組織標本検査により樹枝状脂肪腫と診断した。症状が出現してから長期間診断されなかった要因として以下の2点が考えられた。疼痛が少ないため患者が精査を希望しなかった。医療者側に"RAによる関節水腫"という先入観があった。

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16歳女。誘因なく左膝痛が出現し、症状が持続するため受診した。X線検査で左脛骨近位内側に骨透亮像を認め、CT検査で同部に嚢腫状の病変を認めた。MRI検査では、病変中心部はT1強調像で低信号、T2強調像で高信号を示し、中心部周囲はT1・T2強調像とも高信号を示した。骨髄炎(Brodie膿瘍)と骨腫瘍の鑑別のため生検を行い、結果、Salmonella O7群による化膿性骨髄炎と診断した。治療は病巣掻爬・洗浄ののちレボフロキサシン投与を行い、感染を鎮静化することができた。術後1年の現在まで再燃は認めていない。

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12歳男児。木に飛び移ろうとして転落し、右上腕骨外科頸骨折および右橈骨・尺骨遠位端骨折を受傷した。X線検査でこれらの骨折に加え、右手根骨・中手骨に小斑点状の骨硬化陰影を多数認めた。骨折は手術により治癒した。術後の経過観察中に骨の斑点について精査を行ったところ、斑点状骨硬化像は両手、両足、両股関節のX線検査においても多数認められ、両手のMRIで手根骨内に多数の無信号域を認めたことから骨斑紋症と診断した。

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55歳男。右腋窩部の腫瘤が急速に増大し、当科入院となった。腫瘤は10×10cmの弾性硬、境界明瞭な皮下軟部腫瘍で、針生検により悪性リンパ腫と診断し、手術を施行した。腫瘍は腋窩動静脈と腋窩神経を巻き込んでおり、完全摘出は困難であったため腫瘍内切除を行い、切除標本検査により瀰漫性大細胞型B細胞リンパ腫と診断した。染色体分析の結果、腫瘍細胞は82-90,XXYYの2倍体を示し、大腸癌に関連する2q31部分の染色体付加や、癌胎児性抗原の遺伝子が存在する19q13での派生染色体などを含む多彩な変化が認められた。術後療法としてシクロホスファミド+ピラルビシン+ビンクリスチン+プレドニゾロンによる静注化学療法を6クール施行し、残存病変は消失した。治療終了後約5年の現在、再発は認めていない。

Vocabulary HMGA 2-LPP 松井 好人

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14歳男。ランニング中に右膝痛が出現し受診した。MRI所見から後十字靱帯周囲に発生したガングリオンと診断し、関節鏡下に摘出した。術後2ヵ月が経過しても疼痛が消失しないためMRIを撮像したところガングリオンの残存を認め、再手術(4ヵ月後)を予定した。しかし4ヵ月後には疼痛はなくなっており、MRI撮像したところガングリオンはほとんど消失していた。このため手術は中止し、経過観察とした。術後約1年の現在、疼痛は認めておらず、ガングリオンは自然消退したものと考えている。

X線診断Q&A 佐藤 栄一 , 浜田 良機

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1995~2000年に千葉労災病院を腰痛・下肢痛で受診した患者のうち、MRIでヘルニアを確認され、その後造影MRIを施行された81例を対象に、造影MRI所見と臨床経過との関連について検討した。造影MRI横断像でヘルニア周囲が全周性に造影された36例をtype I群、ヘルニア周囲が一部造影された27例をtype II群、ヘルニア周囲がまったく造影されなかった18例をtype III群とし、初診からMRI撮像までの期間、MRI撮像から造影MRI撮像までの期間、初診時JOAスコア、施行された治療法などを群間比較した。結果、治療法にのみ有意差が認められ、type I群で保存的治療の割合が高く、type III群で手術的治療の割合が高かった。

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Colles骨折に対する掌側ロッキングプレート固定術では、遠位・近位骨片間における尺側皮質骨の連続性が再建されないまま固定されてしまう症例、すなわち側転位が残存したまま固定されてしまう症例が散見される。この側転位残存への対策として自施設で行っている整復法について実例を示しながら紹介した。近位骨片に筋鉤を引っかけて橈側へ牽引し手関節尺屈を加えることにより側転位は整復できる。

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カップ前捻角とネック前捻角の最適な組み合わせを理論的に算出する計算式を求めた。屈曲110°以上、90°屈曲位内旋30°以上、伸展30°以上、外旋40°以上を必要可動域条件と設定した場合、最適なカップ前捻角(βanat)とネック前捻角(b)の組み合わせは、135°のネックステム角の人工関節のとき、カップ外方角を(α)とすると[(α)+(βanat)+0.77*(b)=84.3]の数式で計算できることが示された。許容できる大きさのセーフゾーンを獲得するためには、少なくとも135°以上のoscillation angleが必要であると考えられた。

基本情報

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臨床雑誌整形外科
57巻11号 (2006年10月)
電子版ISSN:2432-9444 印刷版ISSN:0030-5901 南江堂

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