発行日 2006年10月1日
Published Date 2006/10/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2007037994
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49歳男。20歳代から両膝関節水腫を繰り返し、近医で関節穿刺などを受けていた。また、両手指と手関節に腫脹・疼痛があり、6年前に関節リウマチ(RA)と診断された。ブシラミンとステロイドで加療され、手指と手関節の症状は軽快したが、膝関節水腫は消退せず、今回当科を受診した。MRIのT1強調像で膝蓋上嚢に脂肪組織と同信号を示す滑膜の増生を認め、同部は脂肪抑制像で抑制されたことから脂肪腫を疑い、確定診断のため関節鏡を施行した。その結果、膝蓋上嚢に黄色泡沫状組織の樹枝状増殖が認められ、これをシェーバーで可及的に切除し、組織標本検査により樹枝状脂肪腫と診断した。症状が出現してから長期間診断されなかった要因として以下の2点が考えられた。疼痛が少ないため患者が精査を希望しなかった。医療者側に"RAによる関節水腫"という先入観があった。
©Nankodo Co., Ltd., 2006