臨床室
四肢切断術が奏効せず救命できなかった急性感染性電撃性紫斑病の1例
遠藤 康広
1
,
加藤 雅敬
,
宇田川 和彦
,
鈴木 亮
,
高橋 正明
1国立病院機構東京医療センター 整形外科
キーワード:
Streptococcus pneumoniae
,
X線診断
,
壊死
,
下肢
,
抗感染剤
,
口唇
,
再発
,
肢切断術
,
上肢
,
肺炎球菌感染症
,
メチシリン耐性
,
致死的転帰
,
電撃性紫斑病
Keyword:
Anti-Infective Agents
,
Amputation
,
Lip
,
Necrosis
,
Pneumococcal Infections
,
Radiography
,
Recurrence
,
Streptococcus pneumoniae
,
Methicillin Resistance
,
Fatal Outcome
,
Upper Extremity
,
Lower Extremity
,
Purpura Fulminans
pp.334-337
発行日 2016年4月1日
Published Date 2016/4/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2016279875
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61歳女性。前日から39℃台の発熱と嘔吐が生じ、翌日、床に倒れているところを発見されて救急搬送された。入院時、意識レベルはJCS 10、体温は38℃、血圧141/124mmHgで、呼吸数は21回/分、酸素飽和度は測定不能であり、顔面と四肢体幹にチアノーゼと網状紫斑が認められた。血液検査では敗血症性ショックとDICを呈しており、血液培養から肺炎球菌が検出された。そこで、人工呼吸や昇圧剤を用いて循環器管理を行い、抗菌薬は経口ペネム系薬とバンコマイシン塩酸塩を選択して集中治療室で治療を開始した。また、DIC療法と持続的血液濾過透析を連日行なうことで、呼吸循環器動態と意識レベルは次第に改善した。だが、鼻部と四肢の色調は徐々に悪化し壊死に陥り、入院後1週間時点で急性感染性電撃性紫斑病(AIPF)と診断された。以後、壊死部に対し局所デブリドマンと洗浄処置を続けたが、MRSEによる二次感染を併発し、再度敗血症を呈したため第43病日目に両下肢大腿切断術を、第71病日に両上肢上腕切断術を施行した。しかし、切断術後も局所および全身の感染症を制御できず、患者は第90病日目に敗血症にて死亡となった。尚、AIPFは集中治療室での治療が主体となるため壊死部の二次感染のみならず、医療従事者を介した接触感染の予防にも十分に配慮すべきと考えられた。
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