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【要 旨】
目 的:頚椎症性脊髄症(cervical spondylotic myelopathy:CSM)のMRI上髄内輝度変化(increased signal intensity:ISI)の術後変化と臨床成績の関連性に注目した報告は少ない.本研究の目的は,CSMにおけるISIの術前後変化を分類し,術後ISI消退が臨床成績に影響を与えるか検討することである.
対象および方法:椎弓形成術後1年以上経過観察できたCSM 505(男性311,女性194)例を対象とした.手術時の平均年齢は66.6(41~91)歳,平均罹病期間は15.4(1~200)ヵ月であった.術前後MRI T2強調矢状断像で狭窄部位でのISIを以下の3群に分類した.0度:輝度変化なし,1度:淡い高輝度変化,2度:濃い高輝度変化.CSMの臨床成績は日本整形外科学会頚髄症治療成績判定基準(JOAスコア)とパフォーマンステスト(上肢機能は手指10秒テスト,体幹下肢機能は10秒足踏みテスト)を用いて評価した.術前にISIを認めた症例のうち,術後ISIが0度になった症例を消退群,0度にならなかった症例を遺残群に分け臨床成績を比較した.また分類間での変化における術後成績についても調査した.
結 果:ISIは術前337例(66.7%),術後295例(58.4%)に認めた.術前ISI分類では0度168例,1度169例,2度168例であり,術後では0度210例,1度94例,2度201例であった.術前にISIを認めた337例の内,42例(12.5%)でISIが消退した.消退群42例は遺残群295例よりJOAスコアの改善率が良好であり(58% vs. 48%,p=0.04),術後パフォーマンステストの実施回数も多かった.ISIが消退した症例は術前に1度であり,術前2度の症例ではISIが消退することはなかった.術前1度の症例が術後2度となった場合,JOAの改善率は45%と成績不良であった.
結 論:CSM症例のMRI T2強調矢状断像における術前後ISIの変化は,術後成績に影響を与えていた.術後ISIの消退した症例は臨床成績がよく,濃い高輝度変化となる症例は成績が不良であった.
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