発行日 2012年4月1日
Published Date 2012/4/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2012220023
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透視下整形外科手術における放射線被曝について検討するため、3ヵ月間に行われた手指・前腕骨骨折34例(A群)、大腿骨近位部骨折21例(B群)、大腿骨・下腿骨骨幹部骨折2例(C群)の計57例の手術を対象に、術者のプロテクター前面に線量計を装着して術中放射線被曝量を計測した。その結果、総被曝量はA群0.5mSv、B群1.7mSv、C群0.3mSvで、1手術あたりに換算するとそれぞれ0.014mSv、0.08mSv、0.15mSv、平均透視時間は311秒、343秒、887秒であった。また透視のX線管と増圧器の間に線量計を置いて600秒間透視したところ、被曝線量は1.7mSvであった。3ヵ月間の7名の各整形外科医の総被曝量は平均0.88mSvで、年換算では3.5mSvであった。この値は法令で定められた安全域の実効線量限度(50mSv未満/年)を満たしていたが、妊娠中の女性腹部表面に対する透過線量限度(2mSv未満/年)は超えており、スタッフの個人的背景に配慮する必要があると考えられた。
©Nankodo Co., Ltd., 2012