胸部外科 58巻13号 (2005年12月)

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弁置換術を施行した慢性透析患者41例を対象に,術後成績について検討した.術前の平均透析期間は7.1±6.3年で,原疾患では慢性糸球体腎炎が,弁膜症では大動脈弁単独疾患が最も多かった.術式別では大動脈弁置換術(AVR)が19例で,機械弁のみ使用は35例であった.早期成績では30日死亡を含む病院死亡は9例で,遠隔成績では病院死亡を除く30日以後死亡は17例であり,全例で人工弁機能不全及び再手術は認めなかった.又,脳血管障害を含む出血合併症は17例20件で,発症率は41%であったが,血栓塞栓症の発生は見られなかった

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日齢34の男児.子宮内胎児発育遅延と診断され,帝王切開で出生後は経過観察となったが,SpO22の60%低下を認め入院となった.右鎖骨下動脈を用いたright modified Blalock-Taussigシャント(RMBT)を施行し,延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)人工血管で体肺動脈短絡を作成した.術後のSpO22は60%前後で,その後も低酸素血症は改善せず,更に1日2~3回SpO2が40%台となった.体肺動脈短絡量の不足が原因と考え,腕頭動脈-肺動脈幹遠位部間の体肺動脈短絡及び動脈管切離術を施行した.術後,SpO2は改善したが,高肺血流による高度心不全を認め,RMBTを離断した.その後は血行動態は安定し,経過観察となった.1歳5ヵ月時に施行した心エコーで肺動脈及び両心室の良好な発育を認め,左室流出路形成+右室流出路形成術を施行し,術後も経過は良好であった

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69歳男.15歳時に肺結核で化学療法と人工気胸療法を施行した.治癒後から,右慢性結核性膿胸によるMRSA感染で入院治療を繰り返していたが,膿血痰と発熱を認め,抗生物質で効果が得られず入院となった.右慢性有瘻性結核性膿胸と診断し,胸腔ドレーンにより悪臭を伴った膿性茶褐色胸水が排液された.その後,全身状態が改善したが,継続する発熱と,痰及び排液からMRSAが検出されたため,開窓術を施行した.術後5ヵ月に開窓部からのアプローチで石灰化胸膜の完全除去を行い,連日続いた発熱が改善した.更に,術後22ヵ月には胸郭形成及び広背筋弁充填術を施行した.術中,術後の膿胸腔排出液はいずれも陰性で,術後17ヵ月経過現在,膿胸の再燃は認めず,外来で経過観察中である

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弓部修復+Jatene手術を施行した4例の手術成績について検討した.内訳は両大血管右室起始3例と完全大血管転位I型1例で,動脈弓部の異常は大動脈離断(IAA)と大動脈縮窄が各々2例であった.第一期手術時の平均日齢は6日で,第二期根治術までの期間は平均5.4ヵ月であり,手術死亡,遠隔死亡及び再手術は認めなかった.術後の心エコーは全例良好であった.肺動脈絞扼術を施行した3例では,Jatene手術までの期間が長い症例で血流速度が強い傾向があり,内2例では大動脈弁逆流が軽度に見られた.又,弓部狭窄をIAAの1例に認め,根治術後20ヵ月に施行した経皮的大動脈拡大術で改善した

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症例1:65歳男.歯科治療後の顎下腺炎で入院加療中に,血液培養でStreptococcus oralisを認め,抗生物質投与により軽快したが,退院後,呼吸苦が出現した.症例2:51歳男.以前から指摘されていた心雑音を放置していたが,歯科処置後に微熱の遷延と体重減少を認め,血液培養ではStreptococcus intermediusを認めた.両症例共に僧帽弁閉鎖不全(MR)及び感染症心内膜炎(IE)と診断され,手術を施行した.右側左房切開で僧帽弁の観察を行った結果,症例1は前交連~前尖の一部,症例2は後交連部の腱索断裂と疣贄を認めた.心停止の後,弁尖の切除と5-0ポリプロピレン糸による縫合を行い,弁輪形成と補強にはCarpentierリングを用いた.術後の心エコーでMRは認めず,弁口面積は良好であった

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生後3ヵ月の男児.出生時,頻呼吸及び肝腫大を認め,心エコーにより心室中隔欠損+心房中隔欠損+肺高血圧(PH)と診断され,利尿剤投与で経過観察となった.生後2ヵ月時に左室拡大と重症PHに伴う有意な大動脈縮窄と動脈管開存を認め,大動脈縮窄解除と心室中隔欠損閉鎖に対して手術を施行した.術後10時間頃から肺動脈圧(PAP)の上昇を認めたため,一酸化窒素吸入(iNO)を開始し,翌日には経鼻胃管からsildenafil citrate(SIL)投与を開始した.SIL投与時に,等圧発作は消失し,iNOを漸減中止したが,PAP及びSao2は良好で,SIL投与終了後の心エコーではPHの残存は認められなかった

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75歳女.遺伝性出血性末梢血管拡張症であり,繰り返す鼻出血と,軽労作での胸及びと呼吸困難を認め,大動脈弁狭窄と診断された.術中・術後出血の遷延を予防する目的で黄体・卵胞混合ホルモンを2日間内服し,大動脈弁置換術を施行した.高齢で,心拍が洞調律であり,遺伝性出血性末梢血管拡張症による出血傾向等により,術後の抗凝固療法を避ける目的で生体弁を使用した.術中出血は246mlと少量で,出血遷延による人工心肺からの離脱困難等は見られなかった.術後は経過良好で,鼻出血も改善した.術後に外来で行った合併症の除外検査で異常は認められなかった

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日齢4の女児.出生1日目に多呼吸,チアノーゼ,哺乳不良を認め,左心低形成症候群(HLHS)と診断された.ICU入室後は,窒素による低酸素人工呼吸管理で高肺血流を抑制し,循環動態の維持と播種性血管内凝固(DIC)の治療を行ったが,DICの進行と全身臓器能の悪化を認め,両側肺動脈絞扼術(BiPAB)を施行した.術翌日にSao2の上昇と収縮期血圧の低下を認めたが,窒素吸入により改善した.術後123日に人工心肺を用いたNorwoodと両方向性Glennを施行し,経過良好である

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19歳女.約10ヵ月前の検診で胸部X線上の異常陰影を指摘されたが放置していたところ,乾性咳嗽が出現した.画像検査により血流が豊富な肺良性腫瘍が考えられたが,悪性疾患も否定できず,腫瘤摘出術を施行した.病理組織学的診断は硝子血管型のCastleman病で,リンパ濾胞の増生とリンパ球の規則的な同心円上の層状配列を認めた.術後4年経過現在,再発なく経過良好である

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症例1:79歳男.検診の胸部X線で指摘された腫瘤影が,経気管支鏡的肺生検で左S6腺癌IA期と診断され,左後側方開胸による左下葉切除を施行した.術後,左上葉の含気低下により呼吸不全状態となり,左上葉の無気肺の感染と判断し,開胸術を施行した.左上葉の捻転を認めたため,捻転整復後に上葉切除を行った.術後も人工呼吸器から離脱できず,右側の肺炎悪化による呼吸不全で死亡した.症例2:24歳男.上咽頭癌への化学放射線療法で著効(CR)となった5年後,胸部X線で右中肺野の腫瘤影を認め,経気管支肺生検で上咽頭癌の肺転移と診断された.他臓器への転移は認めなかった.胸腔鏡下右上葉切除術を施行し,術後は継続する高熱と頻繁な血痰を認め,胸部X線では悪化する中葉の無気肺が見られた.右中葉の軸捻転が疑われ,開胸術を施行し,中葉切除を行った.術後経過は良好で,右下葉の肺炎も消失した

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62歳男.約15年前に,側壁梗塞に対して左内胸動脈グラフト(LITA)-左冠状動脈前下行枝(LAD),大伏在静脈グラフト(SVG)-右冠状動脈(RCA)の2枝再冠状動脈バイパス術(2枝CABG)を行い,術後3年で胸痛が出現し,その後もSVGの閉塞や心機能低下を認め,繰り返す心不全を主訴に入院となった.画像検査で3枝の完全閉塞と側壁のviabilityを認め,回旋枝領域へのCABGを施行した.前側方開胸を行い,下行大動脈への吻合は石灰化により困難のため,SVGを用いてLCx#14へのバイパスを行った.術後経過は良好で,画像検査所見も改善した

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症例1:61歳男.高血圧で通院加療中に心エコーで左房内腫瘤と診断された.又,画像所見では乳頭状線維弾性腫が疑われ,腫瘍切除術を施行した.腫瘍は心内膜と共に切除し,切除部の内膜欠損は直接縫合で閉鎖した.人工心肺からの離脱も問題なく,術当日には気管内チューブを抜去した.症例2:60歳女.出生時に指摘された先天性心疾患を放置していたが,下肢のむくみへの内服加療中に喘鳴が出現した.画像検査で重度三尖弁閉鎖不全と可動性の腫瘤による右室流出路狭窄を認め,右室腫瘍,心室中隔欠損,心房中隔欠損に対して手術を施行した.腫瘍は右室心筋内膜と共に切除し,術後は人工心肺からの離脱も問題なく,術翌日には気管内チューブを抜去した.両症例共に,腫瘍は有茎性で繊毛が放射状に伸び,イソギンチャク様の構造であった.又,術後経過は良好で,問題なく退院となった

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20歳女.統合失調症で入院加療中に胸痛及び頻脈が出現し,心疾患が疑われた.画像検査で,心臓左側に液体が貯留する心臓とほぼ同じ大きさの腫瘤を認め,左肺は無気肺状態であった.全身状態改善後に手術を予定したが,精神科病棟での管理であったため胸水及び心嚢液の排液が行われず,炎症所見の改善が見られなかった.臨床所見より奇形腫の胸腔内穿破が疑われ,患者の状態から手術及び集中管理が可能と判断し出術を施行した.心嚢切開後,心嚢液と胸水を吸引し,心嚢と癒着が強い左横隔神経を合併切除した.腫瘍は厚い壁を有し,中心部には表面に毛髪が見られる白色の結節を認め,一部に膵組織が見られた.術後経過は良好で,炎症所見及び全身状態も改善した

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64歳女.過敏性肺炎の経過観察中に,画像検査で左下葉の腫瘤陰影を指摘され,気管支鏡下組織診断は低分化型腺癌であった.遠隔転移は認めず,左原発性肺癌と診断し,左下葉切除術及び縦隔リンパ節郭清を施行した.術後経過は良好であったが,術14日後に咳嗽後の胸背部痛が出現し,画像検査で縦隔陰影の拡大と造影剤の流出及び貯留を認めた.気管支動脈からの縦隔内出血との診断で,経動脈的塞栓術を施行した.術後の造影CTで血腫の縮小を認め,経過良好で退院した.術後3年経過現在,癌の再発及び重篤な合併症は認めていない

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32歳男.過去4ヵ月間で気胸を3回発症し,胸腔鏡下手術を1ヵ月前に施行したが,数日前から右胸痛を認め,気胸の再発が疑われた.画像検査で,軽度の虚脱を右肺に認め,再発例のため手術を施行した.胸腔内に少量の混濁した胸水が貯留し,心膜横隔膜部には周囲と連続性のない結石を認めたため摘出し,上葉に数ヶ所認めた肺嚢胞は自動縫合器で処理した.術後経過は良好であった

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69歳男.左側胸背部痛を主訴に受診し,画像検査で左第8肋骨の骨融解と胸部腫瘤及び左胸水を指摘され入院となった.抗生物質でCRPは改善したが,左側胸背部痛の改善が見られず,左第8肋骨と腫瘍を切除した.迅速病理診断は異型性をもつ小円形細胞性腫瘍で,病理組織学的診断は肋骨原発の非Hodgkinリンパ腫であった.病理診断後,Gaシンチグラムで異常集積は認めず,化学療法を施行した.術後1年半経過現在,再発を認めていない

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60歳女.多発性の関節痛と関節腫脹及び体重減少を認め,胸部X線で右肺門の腫脹を指摘された.血清B19-IgM抗体価が弱陽性,IgG抗体価が強陽性を示し,PCR検査ではB19-DNAが陽性であった.多発関節炎が合併した右上葉原発の扁平上皮癌と診断され,右上葉切除及び縦隔リンパ節郭清術を施行した.病理組織学的診断は中分化型扁平上皮癌であった.術後3ヵ月に施行した骨シンチグラムでは関節炎の軽減を認め,術後3年経過現在,症状の再発は認めていない

胸膜脂肪腫の1例 早川 正宣
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63歳男.神経内科に通院中に,胸部X線で胸腔側へ突出した円形の腫瘤を指摘された.増大傾向を認めたため胸腔鏡補助下腫瘍摘出術を施行した.病理組織学的診断は良性の脂肪腫であった.術後4年経過現在,再発は認めていない

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67歳男.食道癌への根治術を施行後から乳白色の胸水が胸腔ドレーンより認められ,乳び胸と診断された.絶食及び高カロリー輸液による効果がなく,胸部CTでは心横隔膜付近に液体の貯留を認め,胸腔鏡下胸管クリッピングを施行した.術後は経過良好で,胸水の貯留も認めず,退院となった

基本情報

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胸部外科
58巻13号 (2005年12月)
電子版ISSN:2432-9436 印刷版ISSN:0021-5252 南江堂

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