まい・てくにっく
冠状動脈ボタン再建のコツ
島本 健
1
,
宮本 伸二
2
1京都大学心臓血管外科
2大分大学心臓血管外科
pp.580-581
発行日 2025年8月1日
Published Date 2025/8/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_kyobu78_580
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- 文献概要
Carrelパッチが基本である.過去に2例で鍔部分が瘤化して再手術になっているので,鍔(大動脈壁)部分は小さく,かつ人工血管側と鍔との口径比はあまりつけないようにする(人工血管側も若干大きめ).こうすることで病的大動脈壁が残らないようにできるうえに,連続吻合の最後の数針も簡単になり,ドッグイヤー(DE)形成も防げる(図1a).ただし厚いフェルトで補強する場合,フェルトが内側に多く残るように縫うと,フェルトで冠状動脈が変形(狭窄)するので注意する.吻合後は必ず人工血管内側から縫合の様子を確認し,幅広い箇所,DEのようになっているところがあれば追加単結節針(内外,内外)をおく.この作業を丁寧に(時に数針)行えば,絶対に吻合部からの出血はない.まれに再手術時などで癒着が高度の場合はくり抜かず直接(in-situ)細径の人工血管を吻合するが,このときは単結節吻合で8針結び下ろした後,さらに人工血管を引き上げながらより深く大動脈壁にかかるように運針し,すべての糸間に計8針追加する.胸腹部大動脈瘤手術の肋間動脈の再建なども同じであるが,くり抜いて吻合するほうが楽にしっかりと深く全層に針がかかり,かつ無駄な組織が挾まらないためDEになりにくく,止血点の特定も容易であり止血もしやすい(図1b,c).
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