Hospitalist 7巻4号 (2019年12月)

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ホスピタリストに限らずすべての内科医は,内科エマージェンシーに遭遇する可能性を抱えていることと思います。また,実際にそうした局面を経験した医師も少なくないのではないでしょうか。

 一方で,未曾有の超高齢社会を迎え,救急搬送件数は右肩上がりのなか,救急医は増えていません。救急医の立場からすれば,すべての救急搬送は救急医が責任をもって診療したいのですが,現在の救急専門医の数,そしてこの数年の専門研修の人数をみると,現在,そしてこれからもそうなることはないでしょう。

総論(CPA+バイタルサインにかかわる異常)

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[要点]

●心肺停止は,どの医師でも遭遇し得る緊急事態であり,迅速な対応が求められる。

●最新のガイドラインを踏襲したうえで,患者の状態に応じてどこまで侵襲的な蘇生治療を行うか,蘇生中止を行うか,判断する必要がある。

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[要点]

●(外因,内因にかかわらず)生前診療にかかわる傷病で死亡した場合以外は,死体検案書を作成する。

●作成する書類が死亡診断書か死体検案書かにかかわらず,薬物や外力などの外因が死因に関与した場合(疑い含む)や,死因が明らかでない場合,入院中の予期しない死亡については,総合的な死因判断のために警察への異状死届出を行う。

●画像などの検査所見などで直接死因が推定される場合でも,原死因としての外因の関与が否定できない場合は,異状死として届出を行う。

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[要点]

●上気道閉塞しないように注意しながら迅速に病態を把握,救急医や麻酔科医など気道管理に長けた医師への応援要請をためらわない。

●上気道狭窄/閉塞は換気・挿管困難であり,通常の気管挿管以上に入念な戦略が必要となる。

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[要点]

●緊急性の高い場面だからこそ,迅速な病態把握と気道管理の適応決定を行う。

●重症患者の気管挿管は合併症が多く,安全な気道管理のために挿管の手段,使用薬物の選択を患者の状態に合わせて行う必要がある。

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[要点]

●酸素化の評価だけでは気管挿管などの介入必要性は判断できない。

●呼吸数や呼吸様式の観察から,呼吸仕事量の推定や原因へのアプローチが可能になる。

●さらに聴診や肺エコーを組み合わせて,画像検査の前に診断推定を行おう。

●酸素療法では,吸気流速を意識して酸素投与量やデバイス選択を行おう。

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[要点]

●救急外来では限られた情報のみで判断しながら呼吸不全に対応せねばならず,常に診断や治療内容が正しいかを再評価しなければならない。

●人工呼吸自体はあくまで「対症療法」であって「治療」ではない。呼吸不全に至った原因の評価と治療が大事である。

●重症呼吸不全には侵襲的人工呼吸器で対応すべきだが,心原性肺水腫か慢性閉塞性肺疾患(COPD)が疑われる状況であれば,重症例でも非侵襲的換気療法(NIV)を試みる価値がある。

●「結果的にNIVで対応できなかった症例にNIVを試みた」ことが問題なのではなく,「NIVで対応できなかったときに気管挿管に移行するタイミングを逃す」ことが問題である。

●人工呼吸管理を開始したあとも,分単位での変化に対応が必要である。

●重症呼吸不全の管理は専門的な治療であり,精通したチーム/施設が治療しないと予後に影響し得ることを認識しておかなければならない。

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[要点]

●ショックの初期対応では,病歴とエコーでどのショックか当たりをつけ,数分以内に初期治療を開始する。

●急性期輸液の目的は1回拍出量を増加させること(ERではバイタル安定化が目標,ICUではモニタリングを開始,輸液反応性を確認しながら輸液するかどうかを決定)。

●一部の血液分布異常性ショックを除き,治療はショックソースのコントロールが必須(輸液やカテコラミンの立ち位置:現状より悪化させないこと,ソースコントロールまでの時間を確保すること)。

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[要点]

●循環血液量減少性ショックを疑ったら,出血検索を行う。

●出血性ショックを疑ったら,まずどれぐらい輸血のストックが病院内にあるか,取り寄せる必要があるかを確認。

●damage control resuscitationの戦略を行う(表1)。

●抗血小板薬/抗凝固薬内服中の患者では,ビタミンK,プロトロンビン複合体製剤(PCC),新鮮凍結血漿(FFP),中和薬の使用を考慮。

●大量輸血プロトコル(MTP),REBOAやSBチューブなどは,必要時にすぐ対応できるよう,日頃からシミュレーションを行い,関係各部署全員でトレーニングしておく。

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[要点]

●ABC(気道・呼吸・循環)や血糖などから,迅速な対応が必要な病態をまずは評価する。

●原因は多岐にわたるため,まずは要点を絞った病歴聴取・身体所見・神経診察から,脳器質的異常なのか,びまん性神経障害なのかを大まかに鑑別する。

●原因が不明の場合は,詳細な病歴や診察を行ったうえ,追加の検査(頭部MRI・MRA,髄液検査,脳波検査,薬物・ホルモン・ビタミン検査)を検討する。

各論(緊急度と頻度の高い疾患を中心に)

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[要点]

●くも膜下出血(SAH)の原因のほとんどは動脈瘤であり,再破裂を予防できれば予後を良くすることができる。

●再破裂させないために,降圧や止血などの適切かつ迅速な初期治療を行う。

●CTで出血が陰性のときに腰椎穿刺やMRIを行う意味を理解し,実践する。

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[要点]

●てんかん重積状態はできるかぎり早く停止させる。

●第1段階治療薬はベンゾジアゼピン系薬物を使用する。

●第2段階治療薬はホスフェニトイン以外にも,近年,レベチラセタムの有用性が報告されている。

●発作の臨床徴候が改善しない場合や意識が改善しない場合は,持続脳波モニタリングを検討する。

●発作の停止もさることながら,迅速な原因精査が重要である。

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救急外来において,意識障害は非常に多い症候であり,その鑑別疾患は多岐にわたる。AIUEO TIPSで記憶されている読者も多いであろう。てんかん患者の発作後に継続する意識障害や意識の変容は1900年代初頭から報告されており,脳波学の発展とともに,非痙攣性てんかん重積状態non-convulsive status epilepticus(NCSE)の存在が注目されるようになった1)

 本稿では,NCSEを想起すべき臨床所見や鑑別疾患,脳波検査について解説し,最後に治療と予後に関してまとめる。

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[要点1:総論]

●心不全やCOPD・気管支喘息による呼吸不全は,迅速な初期診療が予後を左右する。

●心不全に対しては,クリニカルシナリオ(CS)に従って初期診療を開始しつつ,呼吸仕事量が多ければ早期から非侵襲的換気療法(NIV)を導入する。多くのメタ解析が予後改善効果を示しており,強く推奨される。

●呼吸不全を呈している患者では,気管挿管手技に割ける時間は限られている。準備から手技施行に至るまでの各段階に万全を期すことが,予後改善につながる。

[要点2:COPD・気管支喘息]

●COPDの急性増悪に対しては,ABCアプローチを行いつつ,呼吸仕事量が多い場合や呼吸性アシドーシスの強い場合はNIVを導入する。

●気管支喘息の発作に対するNIVのエビデンスは確立していないため,施行に際しては早期の導入と,COPDよりも低い気管挿管への移行閾値が必要である。

●COPD・気管支喘息に対する気管挿管,人工呼吸器管理は,呼気時間を十分に確保しオートPEEPを防ぐ。その結果生じる高二酸化炭素血症は許容する。

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[要点]

●Killer chest painは死亡率が高く,急変し得るため,時には瞬時の対応や決断が迫られる。

●初療時は初期評価を行いながら同時並行で治療を進めていく診療速度が求められる。

●重篤な疾患であるにもかかわらず,必ずしも教科書どおりの病歴ではなく,また救急車ではなく歩いて来院する患者も少なくない。

●Killer chest painの患者を見逃さず正しくマネジメントすることは,多忙なERにおいては容易ではない。どのように初期評価・対応し,専門医につなげばよいか,また胸痛患者でkiller chest painが否定できない場合にどのように考え,除外していけばよいか理解しておく。

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[要点]

●心原性失神のRed flagを押さえたうえで,原因疾患を鑑別していく。

●心房細動による失神,徐脈性失神,いずれの場合も循環動態が破綻している場合は緊急カルディオバージョンを行う。

●原因疾患に応じた治療やDecision Makingをする。

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[要点]

●カリウム異常は緊急性の高い病態であり,迅速な診断と治療が必要である。

●高カリウム血症への対応にはさまざまあるが,何をどのぐらい投与し,いつ再評価するのかなどを知っておく。

●低カリウム血症の補正方法,原因検索について知っておく。

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[要点]

●「血管」による腹痛は致死的な疾患であるため,常に腹痛の鑑別疾患に挙げる。

●腹部大動脈瘤(AAA*1)破裂はエコー検査で存在診断,即座にコンサルトする。

●腸間膜虚血は病歴で疑って,造影CTは「ダイナミック」で撮る。

●絞扼性腸閉塞は「持続痛+closed loop」で診断する。

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[要点]

●酸塩基平衡の正しい評価は患者評価の羅針盤となる。

●各STEP(図1)に沿って血液ガスを評価することで,もれなく確認ができる。

●DKAは酸塩基平衡異常に加え,多くの電解質異常をきたす内分泌緊急疾患である。

●短時間で大きく値が変化するため,時間軸を意識して介入を遅らせない。

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[要点]

●吐下血は,原因によっては刻々と患者状態が変化し,ABCを脅かしかねない危険な主訴である。

●原因検索と迅速な病態の把握,緊急処置を同時並行で行う必要がある。

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[要点]

●気道・呼吸・循環(ABC)の安定化と復温を同時並行で行う。

●腋窩温ではなく,中心部体温を評価する。

●偶発性低体温では,先行する疾患・外傷,二次性低体温を鑑別する。

●復温時の血圧低下に注意し,加温輸液を十分に行う。

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[要点]

●敗血症は早期診断,早期治療が最も重要であり,ERでは迅速な判断と介入が求められる。

●蘇生は心肺停止の状態だけに実施されるのでなく,敗血症でも初期蘇生が求められる。適切な輸液,酸素投与,人工呼吸管理,血圧管理などが初期蘇生で重要である。

●初期蘇生が終われば,抗菌薬の投与が次のポイントで,そのタイミングを逸してはならない。Gram染色や血液培養結果などを参考にしながら適切な抗菌薬を選択し,敗血症患者の予後改善に努める。

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感染症の治療において,抗菌薬のみで治癒が目指せる疾患と,外科的介入によるソースコントロールが必要な疾患が存在する。疾患によっては境界が不明確な場合もあるため,その判断は時に難しいことがある。

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2019年9月14日と15日に,佐賀県にて第19回日本病院総合診療医学会総会が開催され,9月16日に,同学会のポストコースとして第11回JHNセミナーを開催しました(共催:佐賀大学医学部附属病院 総合診療部)。テーマは「心不全」で,86名の方にご参加いただきました。

 現代は心不全パンデミックと称され,循環器内科医だけでは心不全診療に対応することが困難な時代です。また,患者の高齢化により,複数の併存疾患や認知症などを伴う症例が増加しており,臓器横断的かつ全人的に診療を行うホスピタリストの役割も増えてきています。

 本セミナーは,ホスピタリストが知っておくべき心不全の基本から,最新のエビデンスまでを紹介し,さらには臨床現場で遭遇する悩ましいシチュエーションにもふれ,ホスピタリストの「かゆいところに手が届く」内容となりました。

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今回のセミナーでは,Hospitalistの「心不全」特集(2018年,vol.6 no.4)に沿ってトピックスを選択しました。私からはまず総論として,超高齢化に伴い心不全患者が増えていること,高齢患者では糖尿病や慢性腎疾患,悪性腫瘍,慢性肺疾患,認知症などの合併疾患も多く,社会的支援や,アドバンス・ケア・プランニングを導入することの大切さなど,心不全診療においては総合内科力が必要とされることを説明しました。

 続いて,急性心不全の治療に関しては「血行動態の適正化」「それにおける利尿薬と血管拡張薬の役割」を説明しました。急性心不全でのホスピタリストの武器は,利尿薬と血管拡張薬,非侵襲的換気療法(NIV)による減負荷です。ここでは,ぜひとも押さえておきたい「血行動態の適正化」について復習したいと思います。

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症例

28歳の女性。会社員。特記すべき既往歴,内服歴なし。数日前から頻尿を自覚していたが様子をみていた。受診当日に下腹部の違和感と排尿時痛,残尿感を新たに自覚したため,救急外来を受診した。最近の性交渉歴や妊娠の可能性はなく,帯下の性状変化はない。来院時バイタルサインは,意識清明,体温36.2℃,血圧116/72mmHg,脈拍数70bpm整,呼吸数16/min,SpO2 99%(室内気)。身体所見上,腹部は平坦,軟で恥骨上部に圧痛あり。肋骨脊柱角の叩打痛なし。これらの臨床所見から,急性単純性膀胱炎が疑われた。この患者に尿定性検査を行うべきか?

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1.Effect of filgotinib vs placebo on clinical response in patients with moderate to severe rheumatoid arthritis refractory to disease-modifying antirheumatic drug therapy:The FINCH 2 randomized clinical trial. JAMA 2019;322:315-25.PMID:31334793

[研究デザイン]

第Ⅲ相国際無作為化プラセボ対照試験

[背景・目的]

生物学的疾患修飾性抗リウマチ薬(bDMARDs)による治療にもかかわらず,疾患活動性が高い関節リウマチ(RA)患者には新しい治療が必要である。1剤以上のbDMARDs治療へ不応性のRA患者において,プラセボと比較したfilgotinib(低分子JAK1阻害薬)の症状の改善効果を検証する。

[対象]

18歳以上の次を満たすRA患者:①ベースライン,スクリーニング時に66関節中6関節以上の腫脹,68関節中6関節以上の圧痛,②スクリーニング時の中央検査室でのCRP 4mg/dL以上,③従来型合成DMARDsの治療下でも疾患活動性が高く,bDMARDsへの反応不十分または忍容性がない(114施設,2016年7月〜2018年6月)。

[介入・方法]

filgotinib 200mg群(経口200mg 1日1回),filgotinib 100mg群(経口100mg 1日1回)またはプラセボ群に無作為に割り付けた(隠蔽化あり,患者-検者盲検)。地域,先行するbDMARDsの使用経験数(3剤未満,3剤以上),血清抗体(RF,抗CCP抗体)の有無で層別化。

[プライマリアウトカム]

12週間後のACR20の達成率(per-protocol解析)

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目次

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基本情報

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Hospitalist
7巻4号 (2019年12月)
電子版ISSN:2433-510X 印刷版ISSN:2188-0409 メディカル・サイエンス・インターナショナル

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